元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ゴシカ」

2009-08-17 19:17:59 | 映画の感想(か行)
 (原題:GOTHIKA )2003年作品。身に覚えのない夫殺しの罪で逮捕された精神科医が遭遇する超常現象。夫が管理・統括している女性専用刑務所の精神病棟で働いていたヒロインは、ある夜、帰宅途中に奇妙な少女と遭遇、そのまま気を失ってしまう。意識を取り戻した彼女は、夫が惨殺された上に自分がその容疑者となり、それまで働いていた精神病棟に収容されていることを知る。担当医師に、自分の無罪を懸命に訴える彼女だったが・・・・。

 ハル・ベリーとペネロペ・クルスが共演しているので、それだけで満足してしまいそうだが(笑)、一歩引いてみると何とも気勢の上がらない怪異譚であることが分かる。そもそも科学者であるヒロインが、どのようなプロセスで超自然現象の世界を信じるようになったのかが全然描かれていない。患者の言い分をほとんど“妄想だ!”と片付けてしまう彼女である。そう簡単にオカルト方面に理解を示すわけがなかろう。

 背景となる連続少女失踪事件の全貌も大雑把で、すぐにネタが割れてしまう。設定がいい加減である反面、怪奇描写が妙に理詰めなのも興醒めだ。少なくとも“得体の知れない恐怖”を扱った和製ホラーを見慣れた側としては、ちっとも怖くない。マチュー・カソヴィッツの演出は「クリムゾン・リバー」みたいに自爆せずに脚本を淡々と追っている分、逆に意外性が無くてつまらない。大仰なだけでまったく印象に残らないジョン・オットマンの音楽も願い下げだ。

 いずれにせよ、今やこのような“合理的な結末が付くゴースト・ストーリー”はアメリカ人から見ても“古い”と思われるようで、近年「リング」や「呪怨」などの方法論を“輸入”していることを見ても、ハリウッドがホラー映画の新機軸を打ち出そうとしていることは確かのようである。ただし、それが満足出来る“成果”を上げられているのかどうかは、あまりコメントしたくない(爆)。
コメント
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