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元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ダイ・ハード3」

2007-05-02 07:40:37 | 映画の感想(た行)
 (原題:Die Hard with a Vengeance )今年4作目が公開される(かつての)人気シリーズの3作目で、95年作品。面白くない。正直言うと、この3作目がクランクインする前段階で失敗することはわかっていた。限定された舞台(状況)のもとで、限りなく凡人に近い主人公マックレーン刑事(ブルース・ウィリス)が凡人なりのこだわりを捨てず大事件に立ち向かっていくストーリーが売り物のこのシリーズ。第一作の高層ビルや第二作の大空港という設定はそれだけで魅力的だった。

 当然パート3は船舶関係(?)が舞台になるだろうと思っていたところ、「沈黙の戦艦」のような三流映画にアイデアを取られた、という理由にもならない理由(異論もある)でシナリオが二転三転し、結局ニューヨークを舞台に爆弾魔と戦うといった芸のない筋書きに落ち着きそうだ、との情報が入った時点で“ああダメだ”と思ったね。いくら悪役にジェレミー・アイアンズを持ってきても、相棒にサミュエル・L・ジャクソンをキャスティングしても、この設定では焼け石に水だ。

 ニューヨークの街全部を舞台にする(大げさではなく、まさしく全部だ)今回の映画では、話が総花的にならざるを得ない。断っておくが“舞台設定うんぬんと話が総花的になるのとは関係ない。シナリオの工夫次第だ”という反論はピント外れだ。舞台が主人公の地元のニューヨークであるということは、マックレーンの上司や同僚、警察当局や一般市民などを登場させ、一通りの描写を挿入しなければならない。対して第一作と第二作は舞台設定においてそんなことをする必要はなかったし、その分ドラマに集中できた。

 結果、極めてバタバタとした尻の軽い映画となった。暗示も伏線もへったくれもなく、行きあたりばったりに展開するアクション。実は2作目もそれに近かったのだが、今回は呆れ果ててしまった。確かにアクション・シーンは凄い。でも凄い見せ場だけを羅列しても映画にはならないのだ。特に主人公が橋から貨物船に飛び乗るシーンなんてのは、ほとんど007と一緒で、第一作の等身大のヒーローはどこに行ったのかとガッカリした。

 話の展開がメチャクチャで、御都合主義的にホイホイ進行させる能天気さには“オマエら脳味噌にシワがねーだろ”とグチのひとつも言いたくなる。手持ちカメラによる不必要にブレた映像にもウンザリ。第一作の足もとにも及ばない徒花みたいなシロモノだ。ジョン・マクティアナン監督も本作で“終わって”しまった。
コメント
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