元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「嗤う伊右衛門 Eternal Love」

2007-05-27 08:05:11 | 映画の感想(わ行)
 2003年作品。蜷川幸雄は「魔性の夏」(81年)に続いて再度「四谷怪談」を取り上げたことになるが、思い入れのある題材にもかかわらず、自身の時代劇作りの下手さ加減はまったく如何ともしがたい。

 とにかく全編にわたってカメラが腰高で、時代劇らしい深みのある雰囲気や映像が皆無。カット割りや殺陣の段取りもテレビドラマ以下の展開しか示せない。

 伊右衛門役の唐沢寿明や、脇の六平直政、池内博之、香川照之などはまあいいとして、女優陣が壊滅的。前作「青の炎」でも感じたが、蜷川監督は(少なくとも映画では)女優の扱い方が本当に下手である。

 特に酷いのが岩に扮する小雪で、京極夏彦の原作は岩を現代的に捉えているのが特徴だが、いくら性格がモダンだからといって、立ち振る舞いまで現代風にする必要はなかったはずだ。これではどう見たって武士の妻ではなく、単なる若いOLではないか。しかも(前々から思っていたが)小雪は演技が出来ない。ハッキリ言って女優に向いていない。今後一切スクリーン上で見たくない。

 脚本は筒井ともみだが、今回は原作通りにシナリオを起こしているため、彼女にしては珍しくあまり破綻がない。唯一の映画独自の仕掛けであるラストのCG処理には“オッ”と思ったものの、ここまでやるならいっそ舞台を現代に移す等の思い切った脚色をした方が良かった。
コメント
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