気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

与謝野晶子 温泉と歌の旅

2011-04-22 21:10:07 | つれづれ
人の世を楽しむことに我が力少し足らずと歎かるるかな
(与謝野晶子)

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いま、『与謝野晶子 温泉と歌の旅』という本を読んでいる。著者は杉山由美子、小学館発行。
与謝野晶子は、中年になってから、おびただしい数の温泉旅行をしている。しかしこれは単なる楽しみのためでなく、11人もの子供の学費や生活費を稼ぐための手段でもあった。若くして恋の歌で有名になり、鉄幹と結ばれて、歌人としても充実し、順風満帆な人生を歩んだ人だと、与謝野晶子のことを思っていたけれど、そうとも言えないことが、この本を読んでわかってきた。
著者でフリーライターである杉山由美子は、自分自身と晶子を重ねて、本音で語っている。
引用した歌について、杉山は次のように書く。
 苦笑している晶子が見えるようだ。楽しむことが下手で、なんでもむきになり、ひたすら精進して取り組んでしまう自分。でも晶子はそんな自分を許している。・・・と。