モンブランへご来店の皆様、こんばんは。
しゅんけいは今日、6年生の卒業式に出席してきました。
昨日のリハーサルでは、泣いてしまう6年生の女の子がちらほらいたそうですが、意外なことに本番では、昨日より泣く子は少なかったそうです。
その分、式典にたっぷりと涙を補給したのが、担任の先生とお母さん方だったとか。
私も再来年、しゅんけいの卒業式で涙だーだーになっちゃったりするんでしょうか。
さて、先日、生物本の奇書と呼べる「鼻行類」をご紹介したところ、いろいろとコメントをいただけて嬉しかったです。
今日はまた別の、ちょっと珍しい本をご紹介しましょう。
アフリカ・ナイジェリアの作家、エイモス・チュツオーラの幻想的な小説「やし酒飲み」です。
日本にいるとどうしても、海外文学を読むというとアメリカや欧州のものが中心になりますね。
でもその他の国にも偉大な作家は多く、例えば南米コロンビアの作家、ガルシア=マルケスはノーベル文学賞も受賞しており、私もその独特の作風が大好きな作家です。ご存知の方も多いのではないでしょうか。
とはいえ、「アフリカの作家、文学」というと、さすがに日本ではほとんどなじみがないと思います。
でも、原稿が英語で書かれていたりするので、少ないながらも意外と日本語訳が出ているんですよ。
その中でもたぶんかなりキャラが立っている作品がこれです。
英語版の出版は1952年。日本語版は1970年に出ています。
冒頭部分、
「わたしは、十になった子供の頃から、やし酒飲みだった。わたしの生活は、やし酒を飲むこと以外には何もすることのない毎日でした。当時は、タカラ貝だけが貨幣として通用していたので、どんなものでも安く手に入り、おまけに父は町一番の大金持ちでした。」
そんな主人公の男が、死んでしまった自分専属のやし酒作り名人を取り戻そうと、「死者の町」への旅に出るのです。
あやしい生き物や精霊たちが待ち受けるアフリカの深い森を、「ジュジュ」という魔法の力を借りて姿を変えながら、様々な冒険をしてやし酒飲みは「死者の町」へ向かいます。
その奇抜なストーリー、湿った土と森の香りのする呪術的な発想は、上で触れたガルシア=マルケスの世界とはまた違う強烈な存在感で、先日書いた「ゲゲゲの鬼太郎」とか京極夏彦作品などとも全然違うインパクトがあります。
で、アフリカのそういう精霊やあやしい生き物というのは、わりと住みかをわきまえているというか、人間の村にむやみと襲ってくるわけではないんですね。
人間の世界とは区切られて、深い森の中に存在しているという感覚のようです。
はるか昔、ぱぴりおとの新婚旅行には、ケニアに行って動物をたくさん見てきたのですが、
川のそばのロッジで夜になると月明かりの下でカバが「ぶおっほっほっほっ!」と鳴いたり、
別のロッジでは夜中に庭の池で水を飲みに、ゾウやサイ、バッファローがやってきて、
ブシューッ!と水を吹いたりしていました。
そんなふうにたくさんの生き物の気配を生々しく感じながら、空が星でいっぱいの夜を過ごしていると、アフリカには何か、そういう原始的な神々や精霊が未だにしっかりと住みついているかのように感じました。
地球上のいろいろなところにたくさん人が住んでいて、それぞれずいぶん違う文化があるのですね。
その文化の一つの結晶ともいえる、いろいろな土地の文学を読んでみるのも楽しいかなー・・・と思います。
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