BIKEBIND自転車日記ブログ2

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ヒュンダイの考え方

2011-03-07 01:23:00 | 自転車
私はトヨタ万歳主義ではありません。しかし同社の作り方、経営姿勢は世界に通用するものであり、一流だと思っています。なんだかんだ言っても日本国内の部品調達率は国産クルマメーカーの中では最も高いようですし。

しかしトヨタ式の前はなにかしら他の形式がスタンダードだったことは間違いなく(アメリカ式ですね)、今後新たな形式が取って代わることも十分にあり得るでしょう。

以下引用
 
「現代自動車」躍進の真因は「脱トヨタ生産方式」にあり 現場にはカイゼン活動を極力させない/井上 久男
韓国の現代自動車が世界各国で販売を伸ばし、躍進しているニュースが日本でもよく報じられるようになった。その理由についてデザイン戦略や品質力の向上が指摘されている。しかし、その本質的な原因についてはあまり触れられていない。

 現代自動車の躍進の理由はずばり、トヨタ生産方式(TPS)を敢えて捨て、自前の方式を編み出したことにある、と筆者は感じている

 その詳細を説明する前に現代自動車の躍進ぶりを紹介しよう。

 子会社の起亜自動車を含む現代の2011年のグローバル販売計画台数は前年比10%増の約633万台。この計画値を達成すれば、トヨタ自動車、米ゼネラル・モーターズ(GM)、独フォルクスワーゲン(VW)に次ぐ世界4位の座を確保することになるだろう。

 世界第1位のマーケットとなった中国では、GM、VWについで3位を維持している。欧州の販売では2010年、初めてトヨタを追い抜いた。日本メーカーにとって厄介なのは、これまでドル箱市場としてきた北米市場で現代が怒涛の勢いで販売を伸ばしている点だ。

 米国の乗用車販売で9年連続1位のトヨタ「カムリ」の10年の販売台数は前年比8%減の約37万台。これに対して現代「ソナタ」は50%増の約18万台と勢いでは勝る。10年の米国でのメーカー別販売を見ても、1位がGMで前年比7%増の約221万台、2位がフォードで20%増の約193万台、3位が 0・4%減のトヨタで約176万台、4位がホンダで7%増の約123万台、5位がクライスラーで10%増の約109万台、6位が日産自動車で18%増の約 91万台、7位が現代(起亜を含む)で22%増の約89万台。トップテンの中では現代の伸び率が最も高く、日産の背中が見えている。00年の現代の販売台数は約40万台であり、約10年間で2倍以上に膨らんだ。

 品質面でも「ソナタ」は米運輸省の衝突安全基準で最上級の5つ星を獲得した。動力系統の保証期間も「10年で10万マイル」。「カムリ」や「アコード」はともに「5年で6万マイル」であり、比較しても遜色ない。

 米調査会社JDパワーによると、米国で新車を購入して最初の90日間での100台当たりの不具合の指摘数は、1998年にはトヨタが162件で現代が 269件だったのが、06年に初めて逆転してトヨタの106件に対して現代は102件となった。07、08年に2年連続でトヨタが逆転したが、09年は再び現代に逆転され、トヨタの101件に対して現代は97件だった。



 1980年代に現代は北米に進出して品質問題を起こし、一時撤退を余儀なくされたが、それも昔の話だ。

 品質が向上した本質的理由が、TPSからの「卒業」なのだ。

 現代は90年代まではトヨタに追いつくことに躍起になり、「カイゼン活動」などを積極的に導入した。しかし、00年代に入って方針転換した。その理由は、雇用慣行や労使関係など基本条件がトヨタと違う中で同じ手法を導入しても、現場が混乱するだけでかえって製品に不具合が生じる傾向にあったからだ。

 TPSの場合、「カンバン」などの方法論が注目されるが、長期雇用や労使協調、徹底した人材育成による動機づけなどトヨタの雇用慣行という「基本ソフト (OS)」の上に成り立つシステムである。チームワークを大切して、就業後にサービス産業で居残ってまでも同じ班内で話し合いをしながら生産性向上のための提案活動を行う。こうしたプロセスを通じ、作業者は熟練度を深め、同時に複数の作業をこなせる「多能工」が育つ。

 しかし、現代では労使対立によるストがよく発生する。生産ラインの作業者の賃金制度は時間給で、努力して熟練度を高めても待遇は向上しないとされる。TPSが機能しづらい労働条件にあると言える。

 多くの企業がTPSを導入してもトヨタ以上の成果が得られない理由については、90年代後半、ハーバードビジネススクールのケント・ボウエン教授が「トヨタ生産方式の遺伝子を探る」という論文を発表し、産業界で注目されたことがある。その主な内容は、教育や動機づけなど表面からは見えづらい「ソフト」がトヨタの経営の中に長年にわたって染み込んでいるからというものであった。まさしく、経営の「DNA(遺伝子)」とは何かを示した論文であった。

 日本の企業でもTPSを導入している企業は多いが、成果が出ている事例はあまり聞いたことがない。日本郵政ではTPSを導入したことが現場の混乱を招き、それが原因で遅配などのトラブルが起こったとされる。TPSを知ったかぶりの経営コンサルに多額のお金を払い、全く成果が出ていない企業もある。

*** 1ラインの工程数は日本メーカーの2倍 ***
 現代の話に戻るが、現代の新しい生産方式の主な特徴は、作業者にカイゼン活動を極力させないことにある。トヨタでは製造工程で品質を造り込んでいくために作業者が知恵を出し合いカイゼン活動に取り組むが、現代では指示された仕事をこなすだけでよい。その代りカイゼン専門の担当者を置き、そこにエリート人材を起用した。

 現代の生産現場では「リモートコントロール方式」を採用し、ひとつの生産ラインに約300台のビデオカメラを設置しているケースもある。不具合が発生すると、カイゼン担当者がリプレイして作業をチェックして問題の原因を突き詰めていく。世界中の工場のカメラがインターネットを介して韓国の本社に接続され、全体状況を本社で把握できるシステムになっている。

 また、生産性向上のため、自動車の工場では工程数を減らしラインの長さを短くすることが常識だが、現代はこれも否定した。逆にできるだけ工程を細分化して工程数を増やすことで仕事を単純化し、一人の作業者が複雑な仕事をしなくて済むようにした。現代の1ラインでの工程数は日本メーカーの2倍の300近くあるという。このやり方だと、言葉が通じにくい外国人労働者の指導もしやすい。初心者への指導が短期間にできて海外工場の生産性を高めることにもつながり、グローバル化を推進する「武器」になった。



 こうした独自の生産方式の確立によって、現場の混乱が減り、品質が飛躍的に向上したと言われる。経営スタイルを自分の頭で考え、自分の会社に合うように編み出していくのは経営の基本だと思うが、日本企業では「コンサル丸投げ」なども散見される。


*** デザインのプロを呼び戻したトヨタ ***
 もともと現代は、欧州のデザイン開発拠点を強化するなどデザイン力には定評があっただけに、デザインという目に見える「表」の競争力と、現場での生産性向上という外部からは見えづらい「裏」の競争力が融合して、企業としての力をつけていったのだ。

 こうした現代の躍進に焦っているのがトヨタだ。今年モデルチェンジが予定されている「カムリ」の開発では、「ソナタ」に負けるなとの厳命が経営陣から下っている。役員人事でもトヨタは豊田章男社長自らの指示で、今年1月1日付で役員人事を断行。通常、役員人事は6月なので異例の時期だった。

 関連企業の関東自動車工業に出向・転籍していた元デザイン統括部長の福市得雄氏を復帰させ、常務役員に抜擢したのだ。福市氏は多摩美術大卒でデザインのプロ。名車と言われたミニバン初代「エスティマ」のデザイナーを務めたほか、トヨタの欧州のデザイン開発会社に駐在経験もある。

 この人事の背景には「デザインで現代に負けている」といった危機感がある。トヨタでは役員以上にデザインの専門家が不在で、現在は「プリウス」のチーフエンジニア出身で門外漢の内山田竹志副社長がデザイン本部を担当している。今後は福市氏が同本部を仕切っていくと見られる。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110306-00000001-gendaibiz-bus_all
引用終わり


しかしまあ、現場を馬鹿にした形式に見えますなあ。私には耐えられないですね。個人的には、最終的にその製品の善し悪しを決めるのは現場の人間だと思っていますから。机上ではやはり空論しか生まれません。3Dや優秀なソフトで、試作工程はかなり省けるようになってきましたが……。

ヒュンダイのこのやり方は、社員をただの歯車にしてしまうように見えます。どの立場にいようが、自分がしていることが今製品の出来を左右するという自覚はとても大切だと私は思うのです。

しかし、日本企業が海外に進出して壁に当たってきたのも、この部分です。日本人のような自覚を求めても無理なことが多いそうです。今ではトヨタのカンバン方式は世界に受け入れられていますが。

発展途上国に生産拠点をシフトしていくことは、もう避けられません。日本人とは気質が全くと言っていい中国やアフリカの人たちに生産させるのは、こういったヒュンダイのやり方は有効なのかもしれませんね。もっとも中国からは移転する流れが急加速していますけど。

でもなあ、それでいいんですかね? ベルトコンベア式というか流れ作業でなにも考えなく作っていくことなわけで。私は会社や仕事というものは、人や社会の役に立ってこそ存在を許されるのだと思っています。今の経済至上主義では社会のために会社があるのではなく、会社のために社会があるという逆転現象が起きていいますけど。

そして仕事を通じて人は育っていくのだと思うのです。自分のことだけの仕事は往々にして破綻します。他に利する仕事でなければ、受け入れてもらえません。故に会社で地位の高い人は尊敬され、働く人たちは無職の人に比べ、信頼されるのだと思います。子供達もそういう背中を見るからこそ、親という存在に敬意を払うようになっていくのだと思います。定年された方は除きますよ? あと私は特に会社のお偉いさんに引け目があるわけではありません(苦笑)。あくまで一般概念です。

ただ熟練していくだけの仕事、向上意識のない人が作るもの。それにどれほどの価値が、未来が、矜持があるのでしょう?

例え歯車であっても、意志ある歯車でありたいと私は思います。




皆さんもうすうす気がついていると思いますが、文が増えてきていることからもおわかりのように段々復調してきました。数日後から返信をしたいと思っています。書き込んでくださった方々、大変お待たせしました。

え? 待っていない?

済みません……。