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その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

2024年秋 箱根の紅葉

2024-12-08 07:19:39 | 旅行 日本

先月下旬、紅葉狩りに箱根を訪れた時の記録です。

時期的にも混雑間違い無しでしたので、同行の母のリクエストで箱根美術館の一本勝負。敷地内にある神仙郷という春の新緑とともに紅葉の美しさでも知られている庭園がお目当てです。(私は秋の訪問は初めて)

前日に箱根入りしたので、朝、10時過ぎに入園。朝陽に照らされる紅葉の木々が眩しいほどに輝いていました。

途中、真和亭という休憩所でお茶を一杯頂き、リラックス。古代土器や日本各地の焼き物などが展示される美術館本館も覗いて、1時間半余り、今年の秋を満喫しました。


[本館から相模湾を望む]

お昼時には山を降り、小田原で地酒と地魚も入った海鮮丼を頂き、満足満足。

 

2024年11月24日

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ルイージお初の「展覧会の絵」: ルイージ/N響 スラブ系プログラム

2024-12-07 07:33:45 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

仕事都合で振替で1日目に変更。私にとっては、今年最後の演奏会であり、サントリーホールであり、N響です。

スタートはスメタナの「売られた花嫁」の序曲。このオペラは、以前、亡きビエロフラーベク指揮のBBCSO(演奏会方式)で聴いたことがありますが、この序曲がすべてを表すような陽気で楽しいオペラ。ウオーミングアップどころか、冒頭からエンジン全開で、キレのある演奏を聴かせてくれました。序曲だけではもったいない。そのままオペラに突入してほしい。そんな思いです。

続いては、ネルソン・ゲルナー独奏によるラフマニノフのピアノ協奏曲第3番。丁度、1年前の昨年12月に指揮ルイージ/ピアノ河村尚子で2番を聴いているのですね。ルイージさんにとっては連続性も意識されてるのかしら。

2番に比べると、私が実演に接ししてる機会もずっと少ないので多くは語れないのですが、ゲルナー(一見、年齢不詳な感じ)のピアノは正統派のど真ん中のストレートとでも言うような、奇を衒わない純な音に聴こえました。清らかでとっても瑞々しい。陽が反射して眩しいほどの清流の水面を鮎がピチピチと弾けるように飛び跳ねる印象です。そして、N響も伴奏に徹するというよりは、まさに共創。独奏者との相乗効果が心地よい。とりわけフィナーレの盛り上がりは素晴らしく、悶絶。

後半はムソルグスキーの「展覧会の絵」。N響のポストで知ったのですが、信じられないことにルイージが初めて振る曲とのこと。冒頭の菊本さんのトランペットがホール一杯に鳴り響くと、全曲を通じてN響のメンバーの金管・木管・弦・打楽器の面々の個人技が次から次へと披露されました。ルイージさんの指揮は、とっても劇的ですが、スラブっぽい響きというよりは、純粋にこの楽曲の多彩さ、ラヴェルの編曲の素晴らしさが強く出た作りだったと思います。フィナーレの盛り上がりもまさに大団円で、私の本年最後の演奏会を締めてくれました。

都合で来週のリストの「ファウスト交響曲」を聴けないのはとっても残念ですが、今年も一杯楽しませて貰いました。年明けは、ソヒエフ祭り。期待の演奏会は続きます。

 

定期公演 2024-2025シーズンBプログラム
第2026回 定期公演 Bプログラム
2024年12月5日(木) 開演 7:00pm [ 開場 6:20pm ]
サントリーホール

曲目
スメタナ/歌劇「売られた花嫁」序曲
ラフマニノフ/ピアノ協奏曲 第3番 ニ短調 作品30
ムソルグスキー(ラヴェル編)/組曲「展覧会の絵」

[アンコール曲]
12/5:ラフマニノフ/リラの花 作品21-5番
ピアノ:ネルソン・ゲルナー

指揮: ファビオ・ルイージ
ピアノ:ネルソン・ゲルナー

Subscription Concerts 2024-2025Program B
No. 2026 Subscription (Program B)
Thursday, December 5, 2024 7:00pm [ Doors Open 6:20pm ]

Suntory Hall

Program
Smetana / The Bartered Bride, opera―Overture
Rakhmaninov / Piano Concerto No. 3 D Minor Op. 30
Mussorgsky / Ravel / Pictures at an Exhibition, suite

[Encore]
December 5: Rakhmaninov / Lilacs, Op. 21-5
piano: Nelson Goerner


Conductor: Fabio Luisi
Piano: Nelson Goerner

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日本のオペラ上演史に1ページ追加:新国立オペラ/ロッシーニ「ウイリアム・テル」(指揮:大野和士、演出:ヤニス・コッコス)

2024-12-05 08:58:01 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

遅まきながら「ウイリアム・テル」の感想です。もともとスケジュールがうまく合わなかったことと、5時間の上演時間にも怯んで、半ば観劇を諦めていたのですが、日本初のフランス語での本格上演、しかも好きなロッシーニの滅多に上演されないオペラということで、半日休暇を頂いてマチネ公演に突撃。でも結果として、本当に行っておいて良かった。

歌手陣、合唱、オーケストラ、演出にグランドオペラらしいバレエも加わり、夫々が持ち味を存分に発揮。その上に、その相乗効果が作品としての一体性を高めた名舞台でした。

一番印象に残ったのは、新国立劇場合唱団の合唱。場面、場面で農民、狩人、愛国者、民衆と兵士たちと様々な合唱が多用されますがが、どれもその一体感、迫力、清らかさなど、聞き惚れるものばかり。素晴らしかったです。

歌手陣も、外国人・日本人問わず、しっかり夫々の存在感を示していました。題名役のゲジム・ミシュケタのバリトンは物語の軸を支え、アルノルド・メルクタール役のルネ・バルベラのテノールは伸びやかで、声量たっぷりの美声。劇場に響き渡ります。マティルド役のオルガ・ペレチャッコマティルダは繊細で清らかなソプラノで、とっても気品がある。第2幕の独唱やアルノルドとの二重唱は、劇場が雑音0で一体となって聞き入っていたのが感じ取れるほどでした。日本人歌手でも妻屋秀和の悪役ぶりも堂に入ったもの。ジェミ役の安井陽子の子役ぶりは、溌溂としていて、第4幕の歌唱も美しかったです。

大野和士率いる東フィルも良かった。直前に大野さんが首(?)の治療で12月の演奏会は急遽お休みというアナウンスがされていたので、まさかこの公演シリーズも途中交代?と冷や汗出ましたが、そんな雰囲気は微塵も感じさせないリード振り。序曲のチェロから、物語の世界にぐぐっと引っ張り込んでくれました。4時間半にわたり、ロッシーニの変化に飛んだ名曲群を躍動感や情感たっぷりに聴かせてくれました。時折、もっと畳み込むような勢いがあっても良いかなと感じる場面もあったのですが、初めて聞くオペラだし、楽譜も知らない(まああっても読めない)ので勝手な印象です。

スイスの山村をイメージしたような青基調の舞台も美しいです。ドラマの場を的確に提供していて、下支えしています。自然で無理がない演出の素晴らしさは、先月物議を醸した、演出の自己主張ばかりが鼻についた読替えオペラとの差が顕著でした。フィナーレでステージ奥のスクリーンに現代のウクライナで被弾した建物の映像が投影されているように見えましたが、最上階二列目からでは三分の一ぐらいしか見えず、全体像がつかめず残念。スイス独立を目指す物語であるので強国からの自立闘争としての現代とのつながりを意識したものであるようです。

日本オペラ史に記録されるであろう、この公演に立ち会え、なんとも嬉しいオペラ体験でありました。

2024年11月26日

2024/2025シーズン
ジョアキーノ・ロッシーニ
ウィリアム・テル<新制作>

Guillaume Tell / Gioachino Rossini
全4幕〈フランス語上演/日本語及び英語字幕付〉

公演期間:2024年11月20日[水]~11月30日[土]
予定上演時間:約4時間35分(第1幕75分 休憩30分 第2幕55分 休憩30分 第3・4幕85分)

スタッフ
【指 揮】大野和士
【演出・美術・衣裳】ヤニス・コッコス
【アーティスティック・コラボレーター】アンヌ・ブランカール
【照 明】ヴィニチオ・ケリ
【映 像】エリック・デュラント
【振 付】ナタリー・ヴァン・パリス
【舞台監督】髙橋尚史

キャスト
【ギヨーム・テル(ウィリアム・テル)】ゲジム・ミシュケタ
【アルノルド・メルクタール】ルネ・バルベラ
【ヴァルテル・フュルスト】須藤慎吾
【メルクタール】田中大揮
【ジェミ】安井陽子
【ジェスレル】妻屋秀和
【ロドルフ】村上敏明
【リュオディ】山本康寛
【ルートルド】成田博之
【マティルド】オルガ・ペレチャッコ
【エドヴィージュ】齊藤純子
【狩人】佐藤勝司
【合唱指揮】冨平恭平
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

2024/2025 SEASON
New Production

Music by Gioachino Rossini
Opera in 4 Acts
Sung in French with English and Japanese surtitles

OPERA PALACE
20 Nov - 30 Nov, 2024 ( 5 Performances )

Running time is approx. 4 hours and 35 mins including intervals.
Tue, 26 November 2024, 14:00

CREATIVE TEAM

Conductor: ONO Kazushi
Production, Set and Costume Design: Yannis KOKKOS
Artistic Collaborator: Anne BLANCARD
Lighting Design: Vinicio CHELI
Video Scenography: Eric DURANTEAU
Choreographer: Natalie VAN PARYS

CAST

Guillaume Tell: Gezim MYSHKETA
Arnold Melchtal: René BARBERA
Walter Furst: SUDO Shingo
Melchtal: TANAKA Taiki
Jemmy: YASUI Yoko
Gesler: TSUMAYA Hidekazu
Rodolphe: MURAKAMI Toshiaki
Ruodi: YAMAMOTO Yasuhiro
Leuthold: NARITA Hiroyuki
Mathilde: Olga PERETYATKO
Hedwige: SAITO Junko
Un chasseur: SATO Shoji

Chorus: New National Theatre Chorus
Orchestra: Tokyo Philharmonic Orchestra

 

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日本企業の現場力は死んだ? : 遠藤功『新しい現場力』(東洋経済新報社、2024)

2024-12-04 07:30:41 | 

筆者は、日本企業の強みである「現場力」の重要性を20年以上にわたって訴えてきた「現場力おじさん」(敬意を持って勝手に名付け)である。その筆者が、昨今の日本企業の現場力の劣化を憂い、「現場力は死んだ」とまで言わざるを得ない状況が日本企業を覆っていると述べている。本書は、様々な事業環境の変化を踏まえ、「新しい現場力」を構築する必要性について論じる。

本書で言う「新しい現場力」とは、①競争戦略、②現場力、③組織・カルチャーという事業経営の3つの要素が、「経営理念・ビジョン」によって一貫して繋がっているものである。本書では、その具体的な内容や実践企業の例が紹介されている。

正直、これらのフレームワークは既存の経営理論の焼き直し感もあるが、本書の指摘にはいくつか気づかされる点があった。

後半では「新しい現場力」を実現するために必要な「新しいリーダーシップ」について解説されている。「ビジョナリー」と「キャプテンシー」の2つを備えた「溶け込むリーダーシップ」が重要であるとの指摘だ。キャプテンシーとは、スポーツチームにおけるキャプテンのように「フィールドで汗をかき」「ハンズオン(自ら参加し、手を動かす)」で動くことだ。「新しいリーダー」には監督とキャプテンの2つの役割が求められるのだ。私自身、これまで欧米の起業家経営者たちと接してきた体験から常に感じていたのは、まさにこのキャプテンシーの強さであったため、この主張には大いに賛同できる。

また、これは野中先生の主張の紹介ではあるが、日本企業をダメにしてきた3つの過剰についても全くその通りだと思う。「分析の過剰」、「計画の過剰」、「管理の過剰」である。これは、まさに「あるある」である。

キャプテンシーとは少し異なるが、「経営者は数字を語るな。『大義・大志』を語れ」というのも非常に納得できる意見である。「パーパス経営」というバズワードもここ数年の流行りではあるが、「大義・大志」と言った方がしっくりくる。数字や個々の事業戦術ももちろん大事だが、働く者としては、リーダーには大義・大志を語ってもらいたいと強く感じる。

非常に読みやすいので、出張時のお伴に良い。既知のことも多いかと思うが、どこか自分の関心にひっかかるビジネス・パーソンは少なくないと思う。

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ルイージ/N響 シェーンベルク/交響詩「ペレアスとメリザンド」ほか

2024-12-02 07:29:44 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

今日はワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」の「前奏曲と愛の死」とシェーンベルクの「ペレアスとメリザンド」にR.シュトラウスの歌曲が挿まれるという後期ロマン派を集めた垂涎のプログラム。今週は「ウイリアム・テル」に「サイモン・ラトル/バイエルン放送響」があって、フルコースでもうお腹一杯のところに、更に大好物のとんかつ定食が出てきたような感覚です。

冒頭のワーグナー/楽劇「トリスタンとイゾルデ」─「前奏曲と愛の死」はN響らしい精緻で整ったアンサンブルが、この曲の緊張感や危うい雰囲気を余すことなく表現していました。早くこのコンビでオペラやってほしいです。

続いてはR. シュトラウスの愛を歌った短めの歌曲が5作品。クリスティアーネ・カルクさんは初めて聴く方です。清らかで透明感あふれるソプラノはとっても落ち着いていて優しい。声量で圧倒するようなところは微塵も無いですが、自然に会場隅々まで届いていきました。きっと、これらがドイツのリートの美しさの真髄なのだろうと、勝手に感じた次第。

休憩後は、先月20日にサントリーホールで小泉/都響の公演で聴いたばかりのシェーンベルクの「ペレアスとメリザンド」。ルイージさんの運びは、とっても劇的でオペラの場面が走馬灯のようにまぶたに浮かびます。N響も個々のソロから合奏まで、ルイージさんのタクトにしっかりと応えていて、素晴らしいパフォーマンスでした。この11,12月の最大と言っても良い収穫は2回も生で聴きたかったこの曲が聴けたこと。ますますこの曲が好きになって、感謝です。

ちょっと残念だったのはホールの響きかな。多くの方がXでポストしていましたが、確かにN響はこのホールの音の出し方を心得ていて、非常に音が良く飛んできました。ただ、それでも、この「ペレアスとメリザンド」の幻想的で官能的な世界観はサントリーホールのような残響豊かなホールの方が良く表れる気がしました。

今月はCプロは都合で行けないので、次回のBプロが今年最後のルイージさんの演奏会。沈みかかった西日が代々木公園の木々を黄金色に照らす中、年の瀬を感じながらホールを後にしました。

 

定期公演 2024-2025シーズンAプログラム
第2025回 定期公演 Aプログラム
2024年12月1日(日) 開演 2:00pm [ 開場 1:00pm ]

NHKホール

曲目
― シェーンベルク生誕150年 ―
ワーグナー/楽劇「トリスタンとイゾルデ」─「前奏曲と愛の死」
R. シュトラウス/「ばらの花輪」作品36-1*、「なつかしいおもかげ」作品48-1*、「森の喜び」作品49-1*、「心安らかに」作品39-4*、「あすの朝」作品27-4*
シェーンベルク/交響詩「ペレアスとメリザンド」作品5

指揮:ファビオ・ルイージ
ソプラノ:クリスティアーネ・カルク*

【開演前の代々木公園】

Subscription Concerts 2024-2025Program A
No. 2025 Subscription (Program A)
- The 150th Anniversary of Arnold Schönberg’s Birth -

Sunday, December 1, 2024 2:00pm [ Doors Open 1:00pm ]
NHK Hall

Wagner / Tristan und Isolde (Tristan and Isolde)—Prelude and Liebestod
R.Strauss / Das Rosenband Op. 36-1 (The Rose Chain)*, Freundliche Vision Op. 48-1 (A Welcome Vision)*, Waldseligkeit Op. 49-1 (Bliss in the Woods)*, Befreit Op. 39-4 (Released)*, Morgen Op. 27-4 (Tomorrow)*
Schönberg / Pelleas und Melisande Op. 5 (Pelléas and Mélisande)

Conductor: Fabio Luisi
Soprano*: Christiane Karg

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