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その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

短編集の面白さ凝縮!: 小川哲『スメラミシング』(河出書房新社、2024)

2025-05-21 07:30:01 | 

骨太の歴史長編『地図と拳』以来の小川哲。今回は短編集であるが、テーマ(多くは「神」に関連)やストーリー展開は引力が強烈で、読書の楽しさを満喫した。

テーマ・時空ともにスケールが大きいSF(「七十人の翻訳者たち」/「神についての方程式」/「啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで」)、日常に潜む歪みや人間・社会心理(「密林の殯」、「スメラミシング」)、ほろっとする人情SF(「ちょっとした奇跡」)など、その作風の振れ幅も短編集ならではの面白さがある。

硬軟を組み合わせた作品の並べ方も編集の妙。最後に「ちょっとした奇跡」が置いてあるのは、その前の2作が短編とは思ないほど思考の汗をかいた後の清涼剤で、デザートのシャーベットのような爽快な読後感が得られた。

 

【目次】

七十人の翻訳者たち

密林の殯 (※読み方「もがり」)

スメラミシング

神についての方程式

啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで

ちょっとした奇跡

 

 


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