国立西洋美術館で開催中のハプスブルグ展に足を運んだ。日本・オーストリア友好150周年記念に相応しい充実の企画展であった。15世紀から19世紀に渡るハプスブルグ帝国の王家所蔵の絵画、武具、工芸品などのコレクションが惜しみなく展示されている。展示品の多くはウィーン美術史美術館からのもの。
絵画で目立つのは王族たちの肖像画。壮麗な王家の肖像画の数々は眩いばかり。本展の目玉とも言えるのが、ポスターにもなっているベラスケスのマルガリータ・テレサの肖像画。青と緑のドレスでそれぞれ1枚ずつ計2枚が展示されているが、幼い王女の困惑したような表情とドレスの豪華さの対照性は不安定な気持ちにさせられる不思議な絵だ。マルガリータ以外にも、マリア・テレジア、マリー・アントワネット、エリザベトらの皇妃、王妃たちの威厳ある美しさは立ちすくむ。
肖像画以外では、レンブラントの<使徒パウロ>、ハルス<男性の肖像画>などのオランダ絵画、ヴェロネーゼ<ホロフェルネスの首を持つユディット>などヴェネツィア派の絵が個人的には好みだった。
絵画のほかで目を引いたのは、甲冑などの武具。個人的にはあまり興味がある分野ではないはずなのだが、その豪華さ、精巧さは思わず見とれる。実際、あんな重装備なものを着て戦えるのかは疑わしかったが、芸術品としての美しさは疑いの余地はない。一見の価値がある。
平日昼間にもかかわらず会場はとっても盛況で、その8割が女性だった。女性の方がこうした煌びやかな世界を好むのかな。
<銀杏をバックにロダンの彫刻>
2019年12月6日