その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

N響 6月定期演奏会 Aプロ/ 指揮 ウラディーミル・アシュケナージ

2014-06-10 22:12:01 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)
アシュケナージさんの指揮を見るのは何年振りだろう。ロンドンでもフィルハーモニア管でたまに出演されていましたが、なかなかご縁が無く、随分久しぶりに足を運ぶことができました。

 今日の楽しみの一つプロコフェフィのヴァイオリン協奏曲第2番。コパチンスカヤさんを初体験です。モルドヴァ生まれとのことで、日本人好み(私だけか?)の東欧風のチャーミングな方ですが、弾きっぷりはとっても豪快でした。ただ、残念ながら、私とは波長が上手くかみ合いませんでした。大きな動きの割には音が届いてこず(貧民席にいる方が悪いのか?)、音も美しいというよりは鋭利ではあるがガサガサした感じ。逆に、オケの方は、丸みを帯びた音色で、プロコらしい緊張感が感じられず、ヴァイオリンと相補うというよりはちぐはぐな感じ。ただ、第2楽章だけは別物で、室内楽のような美しい音色には、耳をすまして聴き入りました。このギャップは何だろう~。

 しかしながら、比較的空席が多かったこの日ですが、終演後、会場からは割れんばかりの大拍手だったので、主張が明確な奏者の演奏に私が慣れていなかったのだと思います。アンコールは、ホルヘ・サンチェス・チョンの作曲によるクリン。弾きながら奏者が喋る、というか発声する短い小品でした。

 この日のもう一つの楽しみは、チャイコフスキーのくるみ割り人形第2幕。絶対、この音楽はN響と合うだろうと思っていましたが、その通り。管楽器のふくよかな響きとN響の美しい弦のアンサンブルがミックスして至福の時間でした。この音楽は理屈抜きで人を幸せにしますね。アシュケナージさんもノリノリでした。久しぶりに、愛想をふりまく元気なアシュケナージさんを見て、こちらも嬉しくなってしまいます。

 まあ、こんな幸せなコンサート体験だったのですが、ひじょうに不愉快なこともあったので、一応記しておきます。自由席のE席で、座る人の当てもない席に私物を置いて、あたかも人が来るような形で、席をブロックしていました。過去にも同様の行為を目にした経験がありますが、この日もE席の中でも良いところ(D席エリアの隣席)を、自分勝手な中年オヤジが、自分の隣席を空席にするために、私物(本とメガネケース)を置いてブロックしてました。N響の会場係はこういう不届きものを是非、しっかり注意してほしいです。自由席なんだから、一人でも多くの人が少しでも良いところで聴けるように配慮するって、当たり前のことですよね。見た目は紳士然とした男でしたが、サイテーの男です。ホント、不愉快不愉快極まりないです。今度、同じことやってたら、絶対注意してやる。


≪4階の通路からみた梅雨空。下界には冬は代々木公園が見えるのですが、すっかり葉に覆われています≫



第1784回 定期公演 Aプログラム
2014年6月8日(日) 開場 2:00pm 開演 3:00pm
NHKホール

グラズノフ/交響詩「ステンカ・ラージン」作品13
プロコフィエフ/ヴァイオリン協奏曲 第2番 ト短調 作品63
チャイコフスキー/バレエ音楽「くるみ割り人形」作品71から第2幕 「トレパーク」「あし笛の踊り」「花のワルツ」ほか

指揮:ウラディーミル・アシュケナージ
ヴァイオリン:パトリツィア・コパチンスカヤ

No.1784 Subscription (Program A)
Sunday, June 8, 2014 3:00p.m
NHK Hall

Glazunov / “Stenka Razin”, sym. poem op.13
Prokofiev / Violin Concerto No.2 g minor op.63
Tchaikovsky / “The Nutcracker”, ballet op.71 - Act II

Vladimir Ashkenazy, conductor
Patricia Kopatchinskaja, violin
コメント (4)
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