バルテュスの絵は断片的に目にしたことがある程度だったので、特に自分の中でビットが立っていたわけでは無かったのですが、今回初めて、この画家の生涯を通じた様々な絵に触れることができました。シュルレアリスムとも取れなくもないし、マティスやピカソにも通じるところがあるような、でもどこにも属さない。モデル(主に少女)の姿勢、漫画っぽいともいえるデフォルメされた顔の表情など、個性豊かな絵が印象的です。
ポスターにもなっている《夢見るテレーズ》は、少女と大人の女性の狭間の女性の不安定さがが緊張感あふれる空間の中に描かれていて、刺激的です。同様に、《美しい日々》もソファで胸を半分のぞかせながら手鏡を見る少女と暖炉に薪をくべる男とのコントラストが強烈。こうした着眼点が、凡人とは違うところなのでしょう。風景画や静物画もありますが、私は人物画が一番好きですね。
《夢見るテレーズ》1938年 油彩、カンヴァス 150x130.2cm メトロポリタン美術館
《美しい日々》1944-1946年 油彩、カンヴァス 148x200cm ハーシュホーン博物館と彫刻の庭
展覧会では、画家のスイスのアトリエが再現され、また画家が着用した衣類や愛読した本などの身の回りの品々も展示してあり興味深いものでした。私もあんな美しいスイスの村で太陽と緑を浴びながら、生活出来たらなあ~と無いものねだりの欲望が起きるのでした。
会期は今月22日までですので、未見の方は是非行かれることをお勧めいたします。
2014年4月19日(土) ~ 6月22日(日)