先週は日本に戻っていました。東京はまだ肌寒い日が続いていましたが、ロンドンに戻ってみるともう初夏のような陽の輝き。夏時間になっているし、鳥がそこらじゅうで囀っていて、この1週間で街の雰囲気が大きく変わっているのに驚かされました。
飛行機の中で、三谷幸喜さん監督の最新作「ステキな金縛り」を観ました。三谷さんの作品は、ちょっと一捻りした笑いや皮肉っぽい笑いがとても私の好みで、数少ない、この人の作品なら映画・TVを問わず観る劇作家・演出家・監督です。
話は、冴えない若手女性弁護士(深津絵里)が、手掛けた事件の重要な証人となる落ち武者の幽霊(西田敏行)と織りなす法廷コメディです。三谷作品らしい笑いがいたるところに詰め込まれていて、140分と長目の上映時間を全く感じさせません。
ただ、私としては、これまでの三谷監督作品と比較すると、もう一つ乗りきれませんでした。一つは、幽霊が裁判の証人に立つという、あまりにも現実離れした設定に、どうしても馴染め無かった。前作の『ザ・マジックアワー』でも、ありえんだろうという設定はあるのですが、あれは状況自体が映画のセットとして作られているので、現実と虚構がごっちゃになった面白さがありました。それ以外の作品は、どこにでもありそうな現実に、一歩下がって、皮肉って笑いを取るというところが、私は好きなのですが、今回の設定は無理があるような気がします。
また、主役の深津絵里は、彼女の良さが出し切れていないんじゃないかとも思いました。おっちょこちょいで、出来の悪い若手女性弁護士には、ベテランの域に十分達している深津さんよりも、仲間 由紀恵とかのが合う(幽霊が出ていたのでただ単に「TRICK」の印象が重なったのかもしれません)と思います。「春琴」で深津さんの迫真の舞台を目にしたイメージが残っていたのかもしれませんが、熱演ではあるものの、この映画ではやや上滑り感が残りました。これは深津さんの演技と言うより、キャスティングの問題だと思います。
一方で、深津さんと対決する検事役の中井喜一の存在感は素晴らしかった。ぴしっと決めたスーツ姿の格好いいこと。彼が出ると映像がぐっと締まります。あんなふうにスーツを着こなせるようになりたい。あと、深津さんのボス役の阿部寛も良い味だった。落ち武者幽霊の西田敏行は、何をやっても西田敏行なのですが、流石です。
時間内十分に楽しませてもらったのですが、今までと比べると、ちょっと物足りなさが残った作品でした。
飛行機の中で、三谷幸喜さん監督の最新作「ステキな金縛り」を観ました。三谷さんの作品は、ちょっと一捻りした笑いや皮肉っぽい笑いがとても私の好みで、数少ない、この人の作品なら映画・TVを問わず観る劇作家・演出家・監督です。
話は、冴えない若手女性弁護士(深津絵里)が、手掛けた事件の重要な証人となる落ち武者の幽霊(西田敏行)と織りなす法廷コメディです。三谷作品らしい笑いがいたるところに詰め込まれていて、140分と長目の上映時間を全く感じさせません。
ただ、私としては、これまでの三谷監督作品と比較すると、もう一つ乗りきれませんでした。一つは、幽霊が裁判の証人に立つという、あまりにも現実離れした設定に、どうしても馴染め無かった。前作の『ザ・マジックアワー』でも、ありえんだろうという設定はあるのですが、あれは状況自体が映画のセットとして作られているので、現実と虚構がごっちゃになった面白さがありました。それ以外の作品は、どこにでもありそうな現実に、一歩下がって、皮肉って笑いを取るというところが、私は好きなのですが、今回の設定は無理があるような気がします。
また、主役の深津絵里は、彼女の良さが出し切れていないんじゃないかとも思いました。おっちょこちょいで、出来の悪い若手女性弁護士には、ベテランの域に十分達している深津さんよりも、仲間 由紀恵とかのが合う(幽霊が出ていたのでただ単に「TRICK」の印象が重なったのかもしれません)と思います。「春琴」で深津さんの迫真の舞台を目にしたイメージが残っていたのかもしれませんが、熱演ではあるものの、この映画ではやや上滑り感が残りました。これは深津さんの演技と言うより、キャスティングの問題だと思います。
一方で、深津さんと対決する検事役の中井喜一の存在感は素晴らしかった。ぴしっと決めたスーツ姿の格好いいこと。彼が出ると映像がぐっと締まります。あんなふうにスーツを着こなせるようになりたい。あと、深津さんのボス役の阿部寛も良い味だった。落ち武者幽霊の西田敏行は、何をやっても西田敏行なのですが、流石です。
時間内十分に楽しませてもらったのですが、今までと比べると、ちょっと物足りなさが残った作品でした。