旧型Vmax最終型も製造から18~16年(最終型初期モデルは2005年製造)が経過しているので、整備に持ち込まれる最終型も各部が劣化してきている車両が増えてきました。昔からですが、中古車を購入する場合は、年式や走行距離ではなく、車両自体の状況で決めた方が良いと思います。個人売買は安かったり、カスタムされていて割安な感じがするものが多いですが、自分で整備できる方以外は、購入後の補償や修理の件もあるので、大手ショップやYSP店で購入した方が良いと思います。車やバイクは、買う時も高いですが、買って維持をしていく方が大変です。中古車の場合は、購入後修理が必要な場合が多いので、購入金額プラス修理金額の合計で予算を考えた方が良いです。
コンディションレベルチェックパックと車検整備及び継続検査でお預かりです。先にコンディションレベルチェックパックを行い、結果をオーナーにお伝えしつつ車検整備を並行して行います。点検から始めます。バッテリーは、液式純正バッテリーで、追加配線もあり、配線関係の収まりが良くないです。
配線関係とボルトナット類の取り付けが違います。ラジエター下のオンオフバルブからクーラントが漏れています。クランクケース合わせ面前側からエンジンオイルが滲んでいるようです。
ウォーターポンプの下側の穴からクーラントが滲んでいます。クーラントの交換時期不明です。
クーラントは、エンジンオイル混入は無さそうです。エアクリーナーは、純正コピー商品で、フィルター部の素材が違い、吸い込みが悪いようです。
ダイヤフラムは、回転や作動不良は見られないので平気そうです。スパークプラグは、NGK製JR8Cで、今回は、点検清掃のみです。
リアバンクのイグニッションコイルとプラグコード部が腐食していました。バッテリー交換の際に、外してしまう場合が多いようですが、この部分は、カプラーのような構造ではないので、新品交換時以外は外さないことになっています。接触が悪いとここで火が飛び、腐食し、点火不良の原因になります。ガソリンタンクは、給油口付近以外は錆は無いようです。
フロントフォークは、オイル漏れは無いようですが、クリップの錆が出ています。
リアサスは、新車時の部品のようで、オイル漏れは無いですが、底付き防止のバンプラバーが劣化しています。
フロントキャリパーは、パッド残量はありますが、要清掃です。また、左側キャリパーは、押え板の向きが逆方向です。パッド押さえ板が、回転方向にパッドを押し、キャリパーにほぼ接触させている理由は、ブレーキ作動時にパッド裏板(鉄製)とキャリパー(アルミ製)に隙間があると、裏板がキャリパーに当たりキャリパー側に打痕が付きパッドの動きが悪くなるのを防ぐ意味あります。
リアキャリパーは、パッド残量はありますが、要清掃なことと、パッド裏のシムが逆方向に入っています。リア側のような2ポッドキャリパーは、パッドがブレーキ作動時に回転方法に引っ張られますので、回転方向向きに斜めに減る傾向があります。そのためパッドがある程度減って斜めになるとピストンが斜めに出ることになり引っかかって作動が悪くなることが多いです。このため回転方向にシムが入っていますので、外さない方が良いです。今回は、逆向きに入っていたので、余計に悪化します。2ポッドキャリパーは、パッドを均等にローターに当てるため、同径4ポッド、異形4ポッドの順に進化しました。2ポッドでもXJR系で使用されていたMOSキャリパーの2ポッドの場合は、パッドとピストンのセンターをずらしてなるべく均等にパッドを押すようになっています。キャブレターですが、パイロットスクリュー部に圧入栓が入っているので、点検調整ができないので、抜きます。
エンジン始動前と始動後のオイルの油面です。(オイル交換前です。)
Vブーストジョイントとインシュレーターの間のゴムがバンドよりはみ出しています。この場合は、ほぼ切れています。
フルードは、フロント&リアブレーキ、クラッチの3か所とも劣化しており、交換時期不明です。
点検結果をオーナーに伝えて、作業に入ります。
キャブレターを外して、Vブーストジョイント部のゴム交換です。水漏れ修理の前にクーラント全量抜きです。
水漏れ修理とウォーターポンプオーバーホール中です。バッテリーは、お持込のVmax専用バッテリーに交換です。その際、配線関係も元に戻し、追加配線もまとめ直します。
前後キャリパーは、点検清掃し、各装着位置をもとに戻しました。
キャブレターは、パイロットスクリュー部の圧入栓を抜いたので、点検調整と同調を行います。
エンジンオイル、オイルフィルター、ギアオイル交換中です。シフト周りですが、シフトリンク部のカバーが切れていたので、交換し、グリスアップしました。先端のゴムカバーも切れていたので交換です。
フルードは、フロント&リアブレーキ、クラッチの3か所とも交換です。
フロントフォークオイル交換中です。ダストシールとトップキャップOリングも交換です。
車検は、多摩陸事です。今回交換した部品類です。水回りは他店で修理した形跡がありましたが、部品交換せず、液状ガスケットを塗って応急処置されていたので、掃除が大変でした。書き忘れましたが、フロントタイヤが、ダンロップ純正、リアがブリジストン純正で交換時期が異なっています。充電電圧は測定しましたが、写真を忘れました。
最終チェックと試乗です。現時点で要注意や改善点は、エアクリーナ交換と次回タイヤ交換、状態では、エンジン始動直後の吹き返しの改善、エンジン前側のオイルの滲みチェックです。無事納車になりました。
2023.01.28 作業担当 ヤダ(矢田)