ヤマハ専門に、30年間2輪業界に在籍、主にVmaxの整備中心です。意見感想は、個人主観です。連絡先はカテゴリに有ります。
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前回、フロントフォークのダンピングと構造の件で、簡単に書きすぎた為に、うまく伝わらなかった件が、有りましたので、追加です。ちょっと面倒な話ですが、フロントフォークを分解、組み立てを行なった経験があれば、感覚的に分かると思います。



当店で加工している部分は、写真左下の穴径ですが、この部分は、圧縮時と伸長時の両方の場合に、オイルが通過します。また、真ん中丸印の部分にも穴がありますが、この部分については、43mmフォークでも2003年式までと2004年式以降では構造が違っています。



インナーチューブの先端のバルブやオイル通路も上記年式で変更になっています。正立フロントフォークの場合、インナーロッドがインナーチューブ先端部分に有り、アウターチューブと固定されます。



2001年式のフロントフォークを分解しているので、例とします。



2001年式の純正インナーロッド先端の穴です。一般的には、オイル通路とかオリフィスと表示されています。



インナーロッド上側の穴と白いカラーがバルブです。



インナーチューブ先端で、内部に見えるのがインナーチューブ側のバルブです。一番沈んだ場合は、この位置に白いオイルロックピースがはまります。



2001年式のインナーチューブ横のオイル通路です。その上は、スライドメタルです。この穴は、2003年まではありますが、2004年式からインナーロッドが変更されている為、構造が変わり、2004年式からは、穴がありません。



カットモデルが作れないので、並べてみました。この位置がサスが伸びきった位置になります。インナーチューブ上の白い楕円が先程のバルブの位置になります。この間にリターン側のスプリングがあるので、これ以上は、伸びません。ただ、リターン側のスプリングが若干伸縮するので、その分は、伸びます。



白い四角の空間(実際は円筒形)は、2個のバルブとインナーロッド、インナーチューブに囲まれていて、通常は、オイルが入っています。



フルストローク手前の位置ですが、沈んでいくストローク量に従い、白い四角の空間が伸びます。通常沈んでいくとインナーロッド先端の穴から、オイルがチューブ内に流入し、インナーチューブ内の油面が上昇します。それに伴い、チューブ側のバルブが開き、四角い空間にオイルが流入します。この2系統のオイルの流入による抵抗が沈みこみ側のダンピングになります。

逆に沈んでから、伸びる場合は、インナーチューブ内部からロッド先端の穴を通りオイルが移動し、また、四角い空間からオイルが流出するので、この2系統のオイルの移動が伸び側のダンピングになります。ただ、バルブの動きにより、沈み込み側のオイルの流量より伸び側のオイル流量が少ないため、伸び側の抵抗(ダンピング)が強くなります。

フロントサスのオイル交換の経験があれば、エア抜き中に、沈み込み側より、伸び側のほうが抵抗があることが記憶にあると思います。単純にスプリングが入っていないので、オイルの抵抗のみです。

当時は、一般的な制御方法ですが、RZ250Rの正立サスは、このインナーロッドが2重になっており、ストローク量によりオイルの抵抗がバリアブルになっていました。

1980年代に、急激に各オートバイの性能が進化し、倒立サスが出てきました。もともとは、オフロード用だと思いますが、フロントの剛性アップと捩れ荷重が掛かったときのサスの作動性アップが目的だと思います。読んで字のごとく、倒立なので、正立の逆ですが、そのままひっくり返すと当然オイルが下に落ちますので、オイル通路の構造を変えないと、ダンピングが発生しません。構造的には、カートリッジタイプといわれるものです。構造的には簡単で、インナーチューブの中に水鉄砲(もしくは、注射器)に似た構造を入れ、上から、棒(ロッド)で押したり、引いたりしてダンピングを発生させています。水の中に水鉄砲(注射器)の先端を入れ、棒を押したり引いたりすると先端の穴の大きさで抵抗が変わってきます。この穴の大きさを変えることがダンピング調整です。水鉄砲(カートリッジ)の利点ですが、押すときと引くときの通路を別に出来るので、伸び側、縮み側のダンピング調整が可能になります。

ヤマハの同時期のリッターバイクの正立タイプフォークの車種で、XJRが有りましたが、1200の初期は、Vmaxに近い構造でしたが、途中で、カートリッジ式になり、フルアジャスタブルになりました。Vmaxも期待しましたが、国内仕様の販売が終わってしまったことと、おそらく海外での要望が少なかった為、フルアジャスタブル化等の変更は、見送られたのではないかと思います。

その後、GKデザインのスペシャル外装が、販売された際に、ヤマハ関連会社の創輝製の前後サスキットが限定で有りましたが、そのときのフロントサスは、縮み側のみダンピング調整があり、伸び側は、ありませんでした。装着車両に試乗した事があるのですが、純正とは、動きが全く違い、うらやましく思った記憶が有ります。その後、これをプロトタイプとし、オーリンズがフルアジャスタブルタイプを生産したのではないかと思っています。

カートリッジ式は、進化しており、スーパースポーツ系においては、ダンピング調整が高速側(高加重)低速側(低加重)で変更できたり、倒立サスで、剛性に問題が無い場合、左右のサスで、伸び側、縮み側が別の構造も出てきました。

当然、伸び、縮みが別に設定できるので、新型VMAXにも正立カートリッジ式フルアジャスタブルタイプが採用されています。

書き忘れましたが、インナーロッド先端の穴径を変更して加工していますが、穴径を小さくしすぎると縮み側のオイル流量が減る(抵抗が上がる)ため、高速度高加重の際に、ダンピングが効き過ぎ、うまく沈まず、フロントが跳ねて路面に追従しない場合があるので、加工を行なった場合は、実走確認が必要です。メニューで行っている加工については、何パターンか実走し、問題が出ない程度にしてあります。


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今回は、1993年式のフロントフォークのオーバーホールです。消耗部品は、チェックの上、交換です。



全分解の上、各部清掃し、少し磨きました。



インナーピストンは、加工済みです。穴径を変えることにより、ダンピングを変更しています。ただ、Vmaxの場合、調整できないことと、伸びと縮みが同じになってしまうことが難点です。



1993年式は、43mmのフォークですが、ドレンボルト付です。1994年式から廃止になりました。



カラーも少し錆びていたので、錆を落とし磨きました。消耗部品は、全交換し、スライドメタルも磨耗していたので、交換です。

組立時は、各部を擦りあわせし、スムーズに動くように調整しました。新車でも慣らしが終わった時点で、フォークオイル交換を行うと、より乗りやすくなります。低年式の場合は、消耗部品を交換するだけで、動きがかなり良くなります。

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