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石田順裕ラスベガスで快挙!

2011-04-12 | ボクシング

ボクシングです。

先日のトリプルタイトルマッチは西岡選手粟生選手が見事にKO防衛したものの、長谷川選手がジョニー・ゴンサレスにKO負け。強豪相手の防衛戦だっただけに敗戦の可能性は認識していましたが…やはりショック!営業中だった為まだゆっくりと観直していないので詳しくは語れませんが、バンタム級時代のようなスピードとタイミングに溢れた好戦的なアウトボクシングを展開することはできませんでした。打ち合いも厭わないソウルフルな立ち姿もそれはそれで魅力的なのですが長谷川選手のスタイルではないように思います。それとゴンサレス選手との相性の問題もあったのではないでしょうか?とはいえ3人の挑戦者がこの非常時に来日してトリプルタイトルマッチが開催されたことの意義は大きいと思います。

と、長谷川選手の敗戦にガックリしているところに凄いニュースが飛び込んできました。

元WBA世界Sウェルター級「暫定」王者、石田順裕(のぶひろ)選手がアメリカ、ラスベガスのビッグマッチのアンダーカードで次期世界王者候補として名高いジェームス・カークランド選手とノンタイトルで対戦し、1Rノックアウトで勝利したとのこと!!これは快挙です!

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石田選手は国内で何度も挫折を味わいながら世界戦線に浮上し王座挑戦のチャンスをうかがい続けたものの、アメリカが主な舞台となる階級のため困難を極めた末、WBA暫定王座を奪取したという経歴を持つ選手ながら知名度は極めて低い。
その理由としては彼の獲得したタイトルが暫定のうえ、決定戦であったということが上げられる。しかし、彼の場合は正規の挑戦者決定戦を制したものの王者がスター選手との大試合を希望し防衛戦を行わないという状況の中、待たされに待たされた末に救済策として組まれた決定で仕方のない一面もあった。しかし対戦相手は挑戦者決定戦で一度勝利した相手であった為、勝利し王座に就いても一般マスコミ、ボクシングファンどちらからも高い評価を得ることはできなかった。
本人は「すぐに正王者と決定戦をやって暫定の文字を取りたい」とアピールを繰り返したが東洋の暫定王者に試合の声はかからず、仕方なく暫定王座の防衛戦を戦わざるをえなかった。初防衛に成功するものの試合は井岡選手のノンタイトル戦の前座で行われるという不遇を味わった。
WBA王座は結局、防衛戦よりも大試合を望むチャンピオンがスーパーチャンピオンという摩訶不思議な地位に格上げされ空位となった正チャンピオンを決定戦で決めるということになり、本来昇格するべき暫定チャンピオンはメキシコで行われた正王座決定戦へ出場を求められた。あまりにも不当な裁定で陣営や協会はWBAに抗議したが石田選手は潔くリングに上がり微妙な判定で(不可解な判定と騒がれた)破れ、無冠となった。

ボクシングファンにとって「石田順裕」といえば評価はそれほど高くはないが気の毒な選手というイメージが固まり、引退か?と囁かれていたところにラスベガスで再起戦!とのニュースが流れたのが2週間前。
僅か2週間の準備期間だけでなく驚かされたのがその対戦相手。暫定とはいえ世界王者経験者の再起戦というと比較的リスクの少ない相手が選ばれることが多いが、石田の相手カークランドは超のつく強豪。アマチュアで146戦(134勝12敗)~プロ入り後、北米タイトルを獲得するなどして世界1位まで躍進したものの違法行為のため戦線離脱。その後リング復帰を果たした為、世界王座にこそ就いていないが本場のリングが認めるスーパースター候補。戦績は27戦全勝(24KO)。1RKOも多い黒人のハードヒッターで直前の試合決定ということからもこれはどうみても石田選手の方が「かませ犬」。甘く見られている日本人の元暫定王者は調整相手として絶好と判断されたらしい。
この2週間ボクシングファンの間では「無謀なマッチメイク」「頑張って欲しいけど…」「無理」など悲観的な意見が多く見られた。石田選手の実力以上にラスベガスで日本のボクサーが勝つイメージを持てないということも多かったのだろう。西岡選手や長谷川選手のようなところまで辿り着いて初めてあの舞台に立てる。そう思っているからか冷ややかな意見もあったようだ。

それを覆しての1ラウンドKO勝利!!既に海外のサイトでは「大番狂わせ」と大評判になっていてyoutubeでの映像をいろいろなところで目にすることができる。スピードとと技術に裏付けられた素晴らしいノックアウト。3度のダウンを奪っての勝利に文句のつけようはありません。
勿論この試合はノンタイトル戦なのでチャンピオンになったわけではないですが、暫定タイトルより価値ある快挙です。全米に生中継されていたこの試合、ISHIDAの名前は一気に世界に広がったようです。
WBAの迷走によりタイトルの価値が低下した現在の世界のプロボクシングではタイトルよりも印象的な試合をした選手が優遇される傾向があります。WBAの王座乱発によるタイトルの価値低下の犠牲になった石田選手が今度はその恩恵を受けることになるのではないでしょうか。世界ランクも上がって次はより大きな試合が組まれるはずです。不遇に腐らず踏ん張った石田選手に心から賞賛を送りたいと思います。

息の詰まるような毎日に届けられた素晴らしいニュースでした!


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