バイユー ゲイト 不定期日刊『南風』

ブルース、ソウルにニューオーリンズ!ソウルフルな音楽溢れる東京武蔵野の音楽呑み屋バイユーゲイトにまつわる日々のつれづれを

被災報告

2014-12-12 | オシラセ
12月7日の被災から5日が経ち、少し状況も整理されてきたのでご報告いたします。
あの夜バイユーの前で延焼しないよう、祈るような気持ちで消火活動を見守っていました。しかし火の勢いは次第に増し、暫くして元教会であるバイユーの建物のドーム型屋根から黒煙が吹き出し火の手が上がりました。同時にバイユーの入り口からホースを持った消防隊員たちが中に突入。「ああ、とうとうか」。
実はそれまで「なんとか延焼を防いで欲しい!」という気持ちからと、脱出したお客様方に現場を離れて頂きひとりになった安心感からか…。遅々として進まない消火状況に少し取り乱していたのですが、延焼が始まったらなんだか冷静になってしまいました。
3月11日の東北大震災の時、町を飲み込む津波を高台から眺めている人たちという映像を見たことがあるのですが、「こんな感じだったのかな?」と思ったりしました。周りで写真を撮っている人たちにも特にハラもたたず「この絵はそりゃ撮るよなぁ」と漠然と考えていました。
全てが焼ける、となったら「なんだかもうしゃーないな」と…。

鎮火し、中に入れたのは11時半頃。天井から滝のように水が降っていました。これでもだいぶ浸水が収まったのだとのこと…。
意外なことに店内に直接の放水はされなかったようで、想像していたような破壊された状態でも黒こげでもありませんでした。
消防隊隊員さんに頼んで、今更ではありましたがレコード棚や機材にビニールシートをかけて、壁にかけていた額類を取り外し持ち出しました。そして心配して集まってくれた方々の居る店に行き、そのお店の好意で預かっていただきました。

現場検証は翌日。なんと、水浸しではあるもののバイユー店内は燃えていませんでした。かなり細かくチェックしましたが厨房も含め燃えていませんでした。ただ、バイユーの建物自体は(表からは見えませんが)2階裏側は激しく焼け、屋根が崩れ空が見えている状態という甚大な被害でした。でも予想外の消失物なしに少し安堵しました。

翌日、オーナーが建物自体にかけている保険会社の調査員が現れ検査。建物自体は保険で直せない程ではないとのこと。あとはオーナーが建物を壊さず直そうとするかどうか、とのこと。ただバイユー店舗のダメージは「見た目で甘く考えてはいけません、酷いダメージです」と言われてしまいました。

少ししてバイユーが入っている保険会社の調査員もやって来た。結果は全損。またもや「見た目は一見まともですが、什器(バイユーの所有物)はほぼ全滅だと考えて下さい」。保険金は支払われそうですが「上限の決まっている契約ですからね…とても原状回復は無理でしょう」。
ちなみに、店の全ての物を新しくできるほどの額ではありませんが、僕の(安い)感覚だとモノに関しては最低限なんとかまかなえるのではないか?という金額が支払われそうです。

というわけで前日の安堵感とうってかわって、あまりの酷い有り様評価に少し意気消沈しそうになった日でもありました。

ただ、建物がオーナーにより保険で修理してさえもらえば、バイユーは不完全な形でも再開は可能である!と解釈しました。

それには電源の回復が最低条件なのですが、目下、そのめどは全く立っておりません。
建物の屋根に穴があいているため雨水の流入が有り、屋根が塞がれた後、建物内部の濡れた電気系統の安全が確認できない限りなんの予定もたてられないとのことです。
ただしこれも、天井の屋根さえ塞ぐことができれば内部の電源回復を待たずに仮電源を引くことを考えています。
それができれば片付け作業も本格的にできますし、オーナーによる建物の安全な修理を待つという「はっきりした方向性のある体勢」になることができるでしょう。

しかし現在はそれらがまったく見えない状況で、自分が保証等で損をしないように諸々の手続きに忙殺されているところです。
皆さんへのご連絡、御礼、状況報告などが滞っていて申し訳有りません。

あと、火元の保険は延焼賠償の保険には入っていないようです、自分としては営業保証を支払っていただけなければ再開の準備に専念できませんし、生活もままなりませんので法的に賠償を請求していくことになります。
でもそれよりも早く自活したいので、出来ることから再開に向け次の手を打って行くべきだな、と考えています。

応援してくれている皆様におかれましては、どんなかたちでもバイユーゲイトを続けてゆくつもりでありますので新たな動きがあった際にはどうか応援よろしくお願い申し上げます。

最後に、支援サイトの動きには本当に感謝しています。様々な形での多様で多大な応援声援にただただ驚いております。
皆様の声を聞くにつけ、すでに自分だけの場所ではないバイユーであることを強く感じました。
ただ、あたりまえかもしれませんが。…くれぐれも各自、無理のない範囲で。再開後の応援ご声援でも十分であります。

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