昨日発売の『ボクシングビート』誌の表紙は、来る18日にアメリカで世界的ビッグネーム、ポール・ウィリアムス選手とノンタイトル12回戦を闘う石田順裕(のぶひろ)選手。
元世界スーパーウェルター級暫定チャンピオンで現在は無冠の石田選手。とかく評判の悪い暫定王者だが、彼は好んでこの地位に甘んじたわけではなく混迷する世界王座の権威の犠牲者の一人で「一般的注目を集めなかった」という点でもっとも気の毒な存在でありました。不可解な経緯で暫定王座を失い、35歳(当時)という年齢からこのまま去ってゆくのかと思いきやアメリカを舞台に現役続行。ラスベガスにて、27戦全勝(24KO)という驚異的な戦績の次期チャンピオン候補の選手と対戦。1RKOで破り遂に世界的注目を集めるに至った苦労人、いや魂の人。このあたりの経緯についてはこちらの拙文をご参照いただければと思います。
ボクシング専門誌の表紙というのはファン、ボクサーにとってはまさに栄光の象徴。しかも世界王座奪取時でさえなれないことがある単独表紙!ビート誌の英断に拍手。本屋さんの店頭で目にした時の驚きといったら!正直、グッときました。
ボクシング専門誌斯くあるべきだと思います。なぜなら「専門誌」なのですから。ボクシングファン以外の人が「なんでこの人が表紙なの?」と思って知りたければパラパラと立ち読みをしてみれば良いのです。そういうプライドって必要だと強く思います。
昔から苦々しく思っていたのがいわゆるスポーツ新聞。スポーツ新聞なのにスポーツのビッグニュースを芸能人の「熱愛発覚」が押しのけて一面を飾る…。
個人的に忘れられないのは20年近く前、プロ野球でライオンズが優勝した翌日のスポーツ紙。当時、下井草に住んでいたのですが(思えば1年だけだ)さすが西武線沿線、駅には「おめでとうライオンズ!」の文字が並んでいました。特に野球に熱心ではない僕も「ほう」と思ったものですが、駅の売店に並ぶ「スポーツ」新聞の一面トップはすべて「貴花田?宮沢りえ婚約」でした。ライオンズファンでもなんでもないのですが憤りを感じたもんです。
スポーツ&芸能新聞に名前を変えればいいのに…。最近では大きな事件があると一般紙と同じ見出しの時もある、違いは内容がかなり柔らかい…。変なプライドはいらんけど真っ当なプライドは必要なのではと思います。
ボクシングビート誌は前身のワールドボクシング時代からそういった意識の高さを感じさせる存在でしたが、一時休刊を余儀なくされる等経営的に非常に苦しい状態が続く中「らしさ」を見せてくれました。国内で大きな世界戦がなかったとはいえ「表紙は石田選手でいきましょう!」となった編集会議を思うと胸が熱くなります。超のつく強豪、ウィリアムス選手に石田選手が勝利するという保証はなく(可能性がないという意味ではありません!)彼の存在を称えるにはこれ以上ないタイミングだったのではないでしょうか。
先月号で判定問題について(バイユーではお馴染み)中屋ジム中屋会長のインタヴュー記事が掲載されたのにも感銘を受けました。
頑張れボクシングビート!このブログを関係者が読むとは思えないけど心から応援してます。「ボクシング好きだよ」な方は印象に残った試合があった翌月だけでもけっこうです。是非ビート誌のご購入を!
そして石田順裕選手の勝利を祈ります!!彼のブログを見ると肩書きに『元WBA世界スーパーウェルター級 ‘暫定’ チャンピオン』とハッキリと書かれています。「元」と「暫定」をしっかりと記す潔さ(なかなかこうはいかんのです)。更に上を目指す意志が感じられます。
アメリカメディアの予想では圧倒的不利のようですが「もう一度驚かせて欲しい」と強く思っています。
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