西岡選手、やってくれました!
ラスベガスのメインイヴェントで強敵(世界的著名選手マルケス)相手にチャンピオンとして鮮やかにタイトル防衛。日本のボクシングファンの長年の悲願、まさに「夢物語」を遂にかなえてくれました。
一度は多くのボクシングファンから「終わった選手」と思われていた西岡選手。そういう僕も、アキレス腱断裂による1年間のブランクから復帰しての3度目の世界挑戦が分の悪い引き分け(負けていたと思う)に終わった国技館の2階席で「もうだめか」と思い、その後2004年に4度目の対戦で明白に敗れる姿をTV観戦し「とうとう世界には届かなかったなあ」と思ったものでした。あれから7年…。こんな日が来るとは。
その後、2008年に暫定王座の決定戦という微妙な形でチャンピオンとなった西岡選手がリング上で涙する姿を見ても「終わった感」は消えませんでした。
それだけに正規王者となりハイレベルなボクシングを披露するようになった彼の姿は感動的でした。そしてメキシコでのジョニー・ゴンザレス選手(後に長谷川選手にKO勝ち)を相手にしての衝撃的なKO防衛…。
西岡選手、悪かった!僕には見る目がありませんでした!!そんな気分でありました。
ラスベガス、巨大な会場ではなかったけれど夢の第一歩はすべてが感動的でした。リングに登場した夫を見て奥さんが涙ぐむ姿だけでその特別さが伝わってきたものです。ジミーレノンJrによる選手コールで「フロム アマガサキ~」と紹介され笑みを浮かべる西岡選手。すべてが感慨深かった。
そして緊迫感に溢れた試合。リードブローの差し合いで若干の遅れをとったか手数を抑えられる西岡、予想と違って丁寧にジャブをつき試合を組み立ててくるマルケス選手に僅かながらポイントが流れていそうな展開。難しい駆け引きが続く。本当に僅かではあったけれどマルケスが距離を掌握しつつあるように見えた序盤。ただ西岡選手は冷静でした。5R、6Rあたりから距離感と回り込み方をかえて左ストレートの当たる態勢を作り上げたように感じた…すると散発ながら、ジョニゴン(笑)を失神させたあの左ストレートが命中し始める。何度かグラつかせる。一気に距離も掌握。中盤以降、西岡選手が圧倒して勝利を掴んだ。ポイントこそ競っていたものの終盤にはノックアウトの期待も高まるようなシーンもあり完勝といっていい内容だった。
正座して観てました。最後の2Rは珍しくテレビの前で声が出ました。勝利の瞬間、一気に体温があがったものです。それくらいにボクシングファンにとっては大きな勝利でした。
最終ラウンド微かに涙声だったゲスト解説の香川照之さん。試合後、西岡選手を前にして「30数年ボクシングを観てきてこんな日がくるなんて…(絶句)本当にありがとう。」再び絶句すると西岡選手に向かって両手を併せ拝む仕草をした後、涙を流したものでした。彼のこの過剰な反応を笑う人も気持ち悪い~と思う人もいるのかもしれませんが…香川さん!俺には気持ちがわかるぞ~!!
月並みな表現の連発、なんとかならんのかと思いますが。歴史的快挙、勝利でした。西岡選手、葛西トレーナーそして帝拳ジムさんおめでとうございました。
偉業に対してあまりにも小さい扱いです。
最年長防衛記録を強調しているのにも違和感を感じました。
とにかく凄いことなのです。