石鹸と女優

2012-09-24 | 日記

             

今、僕が使っているソープ “ marie claire PARIS Lavender Soap ”。 「 お肌をしっとり保つ天然保湿成分ラベンダーエキスを配合したソープです。お肌へのやさしさだけでなく華やかなバスタイムを演出します。」 と、能書きに言う。でも使って見て、ラベンダーの香りがとてもいいのだ。だから使うだけでなく、一つ、包装の封を切って部屋に置いたので、僕の部屋は仄かに “ ラベンダーの精 ” が漂っている。毎朝のひげ剃りにこの石鹸を使うとき、鼻腔に香りが特に強く、一日の始まりを感じさせてくれるのである、ラベンダー・ソープ、マリー・クレール。

その昔、詩人ステファヌ・マラルメ ( 1842-1898 ) の良き恋人に、才色を兼備した女優メリー・ローランがいたが、マリー・クレール、メリー・ローラン共に発音の響がとても優しい、と思う。そしてメリー・ローランとすれ違う時、ラベンダーの仄かな香りは、パリの男たちを魅了したに違いない。と、勝手に思う。

私はあなたを愛しています。それもさまざまのやり方で。あなたは申し分のない、心やすまる、陽気な友です、と同時に無上の喜びを注ぎ込んでくれる唯だ一人の人です。あなたと遠く離れて、私の眼は風景だけを眺めることはありません。あなたがいつもそこに割り込んできますから。 ( 1982年筑摩書房刊 柏倉康夫著 『 パリの詩 ( うた ) ・マネとマラルメ 』 より )

これはマラルメからメリー・ローランへの手紙の一節である。

 


飾られた駒ケ岳の岩石

2012-09-23 | 日記

             

このオブジェは、昨日の越後駒ケ岳登山の形見である。アンドレ・ブルトン ( 1896-1966 ) 所蔵作品のオークションカタログ全8巻 ( “ Andre' Breton 42 rue Fontaine ” CalmelsCohen 2003 ) に飾ってみた。駒ケ岳の岩盤から剥がれた小さな一枚の鋭い岩石である。ここにも一個の孤高の名山がある、と思う。

テネリフェのテイデの山頂は、トレドの美女たちが昼夜肌におしあてている、遊びの短剣の光からできている。  ( ブルトン著・海老坂武訳 『 狂気の愛Ⅴ 』 より引用)

山の頂が、美しい女たちが肌身に付けている短剣の光でできている、というイメージが面白い。例えば、このオブジェの鋭い先端に蒼白い月の光が当たる時、 “ 山の精 ” の美女たちが舞い降りてくるかも知れない、という幻想。テネリフェはカナリヤ諸島では一番大きな島、標高 3,718mの火山テイデ山はその中心にある。ブルトンは1935年5月4日から27日までこのテネリフェに滞在した、という。

夢の中で、霧がかかる山岳の巨大な岩石に、よく見ると、太古の三日月の光が茶褐色に化石化していた。

 


越後駒ケ岳、標高 2003 m

2012-09-22 | 日記

      

                       登り途中、前方に駒ケ岳を見る

      

                                          山頂に立つ

      

          下山途中、霧も晴れ画面右奥に奥只見湖が細長く白く光って見える

今日、思い立って友人と駒ケ岳に登った。山頂付近の岩場で左足にアクシデントがあったが、友人に助けられて何とか登頂できた。山頂では偶然、この駒ケ岳が深田久弥 ( 1903-1971 ) の 『 日本百名山 』 登頂の完登という、 「 百名山登頂達成 」 のお二人の方に出合った。ご婦人の方は16年かかって達成したという。偶然とはいいながら、何かの縁でこういう人たちに出会えたのは面白いものだと思う。

    ― 岩道を足を引き摺り登り行く 頂は 「 祝・百名山登頂 」 ―

下山後、長時間酷使した体を近くの温泉、 「 白銀の湯 」 でいたわった。すっかり暗くなった六時過ぎの空にオボロの上弦の月が露天風呂の木立に見えていたから、心と体に人生の一日が満たされるのである。 

 


「 西脇物語 」

2012-09-21 | 日記

         

あの有名なミュージカル 「 WEST SIDE STORY 」 のことを西脇順三郎は、それは俺の物語か、と言ったという。なぜか可笑しみのある話である。こういうのを何というのだろう、ユーモアではないな … 。これはやっぱり、可笑しみなんだなー … 。

 


晩夏な日々

2012-09-20 | 日記

         

ある日の夏の風景。今日から秋の気候になったから、過ぎてしまえばあの暑い夏の日差しが懐かしい。この日の夜、星座が瞬いて、静寂の中にあらゆる賑やかさがあった。