飾られた駒ケ岳の岩石

2012-09-23 | 日記

             

このオブジェは、昨日の越後駒ケ岳登山の形見である。アンドレ・ブルトン ( 1896-1966 ) 所蔵作品のオークションカタログ全8巻 ( “ Andre' Breton 42 rue Fontaine ” CalmelsCohen 2003 ) に飾ってみた。駒ケ岳の岩盤から剥がれた小さな一枚の鋭い岩石である。ここにも一個の孤高の名山がある、と思う。

テネリフェのテイデの山頂は、トレドの美女たちが昼夜肌におしあてている、遊びの短剣の光からできている。  ( ブルトン著・海老坂武訳 『 狂気の愛Ⅴ 』 より引用)

山の頂が、美しい女たちが肌身に付けている短剣の光でできている、というイメージが面白い。例えば、このオブジェの鋭い先端に蒼白い月の光が当たる時、 “ 山の精 ” の美女たちが舞い降りてくるかも知れない、という幻想。テネリフェはカナリヤ諸島では一番大きな島、標高 3,718mの火山テイデ山はその中心にある。ブルトンは1935年5月4日から27日までこのテネリフェに滞在した、という。

夢の中で、霧がかかる山岳の巨大な岩石に、よく見ると、太古の三日月の光が茶褐色に化石化していた。