夜のテールライト

2012-09-02 | 日記

               

                  フロントガラス越しに前方のクルマのテールを撮る。

 

1926年11月発行の文芸同人誌 『 山繭 』 に 「 富永太郎 」 と題して、小林秀雄 ( 1902-1983 ) は友人について書く。

“ 然し、白銀の衰弱の線條をもつて、人生を縁取つて逝つた詩人よ! 僕は、君の胸の上で、ランボオの 「 地獄の一季節 」 が、君と共に燒かれた賞讚すべき皮肉を、何と言ひ得よう? 君の苦惱が、生涯を賭して纏縛 ( てんぱく ) した繃帶を引きちぎつて、君の傷口を點檢する事は、恐らく僕に許されてはゐないだらう。 ( 中略 )  「 おい、此處を曲らう。こんな處で血を吐いちや馬鹿々々しいからな 」 ― 僕は、流鼠 ( りゅうざん ) の天使の足どりを眼に浮かべて泣く。彼は、洵 ( まこと ) に 、この不幸なる世紀に於いて、卑陋 ( ひろう ) なる現代日本の産んだ唯一の詩人であった。”