「 ブランコの家 」 にて

2012-09-16 | 日記

           

「 大地の芸術祭 」 最終日前日の今日、真っ青な空の下、巡礼のように黙々と巡ってきた。でも黙々とでもなくて、どうってこともなく勝手なことを喋りながら真摯に “ 現代アート ” を見てきたのである。土地の人々が暮す中での、外部から見るとまるで浮き足立っているようなアートであったが、それは誤解で、実際、見に来て体感してみると、これはこれでアートと土地が密接な繋がりがあるのを感ずるのである。エトランジェとしての鑑賞者も、快くこれらの土地と地元の人たちが受け入れてくれるのを直感するのである。だからそれぞれの出品作品の前ではゆっくり鑑賞できて、たくさんのヒントを得ることができる。掲載の写真はフィンランドのマーリア・ヴィルッカラ作 「 ブランコの家 」 の二階のテーブルに設置された作品。古びたテーブルに、単に古典絵画のコピーを切取った絵と刷毛と金粉が散らかっているだけのインスタレーション作品。あまり光の入らない陰影のある部屋の雰囲気が、どうってことないこの作品を一層引き立てている。鑑賞するにはただ明るければいいという訳ではない、むしろ 「 空間 」 こそが作品なのであって、この  「 空間 」 がなければ作品自体はあまり意味がないのである。身体全体で見るのであり、また「 時間 」 というものも見るための重要なファクターであろう。面白い 「 家 」 であった。