海に吹く風

海の大好きな私
ここで皆さんとお話しましょう

日々思うこと、短歌についても書いていきます

終戦記念日

2019-08-15 10:08:19 | 日記

このブログを作ったのはネットで知り合った人たち或いは不特定多数の方に私の歌を読んでもらいたかったから。
いわばネットの歌集。
それでたまに感性を刺激する一人旅のこと以外は日常のことや心に思うことは書かないことにした。
しかし今日は終戦記念日・・心に浮かんだ戦争にまつわることを書いてみようと思う。
私の父は商社に勤め戦争中はマレーシアにいた。
現地で招集されたが、軍に関係する仕事をしているというので免除された。
戦後帰ってみると・・・妻と二人の子供は静岡の空襲のあとの大火で亡くなっていた。
そしてしばらくして私の母と再婚し私が生まれた。
父が先妻と子供たちのことを語ることは一切なかった。
私が12歳のころだった。
父と二人で生駒山縦走のハイキングに出かけた。
目的地近くで父の知人に出会った。
その人が私を見て「二番目の奥さんの子供さん?」と聞いたのだった。
父は「ええ」と短く答え、私に最初の奥さんと子供が戦争で亡くなったことを短く説明した。
あとにも先にも父がこの方たちの事を話したのはこの時一回切り。
私たちへの遠慮と言うより、悲しみが深すぎて私たちにはわからないことだから言わなかったのだと思う。
それ以来私は3人のことが戦争で死ななければ私は生まれて来なかったことを意識するようになった。
生まれてきたことは私の罪ではないが、人は原罪みたいなのを持っているのかなと思った。

父の先妻は父が不在だから戦時中実家に帰っていて亡くなった。
その時祖母(父の母)は「(姑と暮らさず実家にいたから)罰が当たったのだ」と言い放ったそうだ・
なんという冷酷な言葉だろう、同居していて血のつながった祖母だが私はこれを聞いて祖母を憎んだ。
まして先妻の兄弟の方たちの嘆きと憎しみは。。
兄弟の方が「姉さんはあの姑がいなかったら死ななくて済んだはずだ」と言っていたと漏れ聞いた。
祖母はきつい姑だった、母もずいぶんいじめられ泣いていた。
先妻だって父が不在の時くらい実家へ帰りたかったはずだ。

あれは先妻の17回忌だったのだろう、私たちも参列した。
祖母はもう亡くなっていた。
本来うちでやるべき法事を先妻の実家でしていること自体、身内の方たちの祖母への怒りが見える。
お経の途中で先妻の身内の方たちが激しく泣き始めた
私と母はここにいるべきでない気がして、身の置き所がなかった。
その方たちの悲しみを私たちは共有することはできないからだ。

年に2回お墓参りに行くと墓石の後ろに29歳9歳5歳の名前が同じ日の命日で刻まれている。
しみじみと悲しい。
18年前母が亡くなってからお墓参りに行くようになり、いつだったか住職さんが「先妻さんの兄弟の方がいらっしゃって、「もうすぐ命日だから供養してください」と頼んでいかれました」と聞いた。
私が墓参りしたとき少し前からお花が供えられているときがある
きっと先妻の身内の方が来ていらっしゃるのではと思う。
ご兄弟は高齢でもしかしてその子供が気持ちを受け継いできていらっしゃるのかもしれない。
戦後何年経とうと戦争で家族を亡くした悲しみは消えない。
そのあとで生まれてきた私たちはその方たちの犠牲の上に成り立っている今の平和を維持していかなければならない。


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
戦争の傷跡 (まめ)
2019-08-16 16:30:28
そうだったのですか。
ご家族の辛い歴史ですね。
そう、私にもあります。
私も後妻の子です。
複雑な家族関係の中で育ち、それが私の現在の性格を作ったと思います。
同年代の人には戦後生まれなのに戦争の傷跡を持っている人は多いのだろうと思います。
それは生きづらさになっている事もありますが、人間としての深みともなっているかも知れないと思います。
辛い記憶があるから、良くしたいと頑張る。
頑張っている知人が多いです。
沙羅さんもそのひとり。
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まめさん (沙羅)
2019-08-16 18:54:09
私は祖母が母をいじめて家庭内が暗かった以外は一人っ子でのほほんと育ち苦労はしていないのです。
母が苦労した分を私に期待しすぎてそれが重かったですが。
私たちは戦争後に生まれましたが、何かの形で戦争の影響を受けていますね。
父親は戦争で地獄を見て辛くも生き延びてきた人がほとんどでしょうし、母親は銃後で苦労しました。
そういう環境から戦争について考えるようになったとおみますね。
返信する
戦争というもの (ひまわり)
2019-08-17 13:49:04
 こんにちは。

 戦地で地獄を見た人も、銃後の守りの家族も、戦争は人に地獄をみせるものですね。
 
 命からがら、戦地から帰ってきたお父様が見た家族全員の死。なんという悲嘆でしょう!

 再婚なさって人生をやり直すことができてよかったですね。
 沙羅さんと言う最愛の娘さんに恵まれたこと、どんなに嬉しかったでしょう。その一方で、亡き人たちのこともどんなに想ったことでしょう。

 またお母様からみると後妻と言う立場も複雑だったでしょうね。
 戦争は目に見える形、見えない形で影を落としている事を思います。

 次世代を受け継いだ私たちは二度と戦争をしないことを固く守りたいです。

 こうしてブログから生の体験談を語ることも大切なことだとしみじみ思います。

  またそれを聞けたことに感謝します。

 
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ひまわりさん (沙羅)
2019-08-17 15:14:04
このブログではプライベイトなことは書かないようにしてきましたが、機が熟したのでしょう。
8月と言うことでTVの戦争特集の番組や、いくつかのブログで戦争にまつわる記事を読むと、自然と文章が浮かんできました。
この記事に書いたことが私が戦争について考える原点です。
自分たちは経験していなくても親世代から聞いたことを伝えていかなければいけませんね。

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