やっと歌集を読む心の余裕が出来ておとといから読んでいる。
歌集を読んでいると歌が浮かんだりする。
歌を真似するということではなく、読んでいる歌から違うイメージが出たり、歌の中の一つの言葉からイメージが浮かんだりする。
イメージがまったく浮かばない状態はどうしようもないけれど、イメージはあるが言葉がうまく行かないのであればとりあえず不出来でも作っておいて後で推敲すれば歌になるときもある。
やっとそういう状態まで回復したということだ。
義父母の用事の忙しさが歌のできない一番の原因だったのだなぁ。
昨日読んだのは『パン屋のパンセ』杉崎恒夫
身近なものや気象(空・雲・星)に題材をとりながらメルヘンチックで、それでいて上質なユーモアがあり、また静かな悲しみや寂しさもある。
90歳という年齢ゆえさりげなく自分の死のことを詠っている歌もある。
読んでいて心が洗われる。
上質な詩を読んだときと同じなのだろう。
噛むほどに五月の風も吹いてくるセロリーは白い扇状台地
濁音を持たないゆえに風の日のモンシロチョウは飛ばされやすい
ぼくの去る日ものどかなれ 白線の内側にさがっておまちください
仰向けに逝きたる蝉よ仕立てのよい秋のベストをきっちりつけて