海に吹く風

海の大好きな私
ここで皆さんとお話しましょう

日々思うこと、短歌についても書いていきます

蝉の歌

2010-08-23 19:52:16 | 短歌

蝉の声の音量が少し前より落ちてきた気がする。
まだまだ暑いが季節は変わろうとしているのだろう。
先日も書いた『パン屋のパンセ』杉崎恒夫 には蝉の歌が多くある。
拾い出してみた。
それのすべてが盛りを謳歌している蝉ではなく、命を落とした蝉の歌である。
庭や道端にも蝉のなきがらを見るようになった。
その姿を観察すると以下の歌のとおりだなと思って、観察力と詩的な表現に感心する。

蝉たちは天への回帰うたっても地におちて死ぬ100パーセント

蟻たちに曳かれゆきつつ昏睡の蝉の複眼みらかれいる

かの猫に食われた蝉の薄い羽ナプキンのように置かれてあった

けいけんな信徒かもしれない落ち蝉は六本の足を胸にたたんで

八月の末のあわれは蝉立ちの空へかえっていったテノール

ひとかけらの空抱きしめて死んでいる蝉は六本の足をそろえて

わが胸ぶつかりざまにJeとないた蝉は誰かのたましいかしら

生きている蝉の数より落ちている蝉の数のが多い不思議
コメント
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