海に吹く風

海の大好きな私
ここで皆さんとお話しましょう

日々思うこと、短歌についても書いていきます

抜海駅

2010-08-28 12:52:26 | 日記

北海道宗谷本線の稚内の2つ手前に抜海(ばっかい)駅がある。
最北端の無人駅・・木造駅舎である。
最近の秘境駅ブームもあり、ここを訪れる旅人が多いという。
『な~んにもない駅』というのがキャッチフレーズになっている。
訪れる旅人たちは口をそろえて「何もない、だからいい」という。
何もないといいながら旅人たちは何かを求めてここに来る。
それは心の癒しや、明日を生きるための元気かもしれない。
駅の周辺には何もない・・しかし少し歩けば原生花園があり20分歩けば日本海に出てその視線の向こうには利尻島。
利尻富士と言われる流麗な山そのものの形をした島が幻のように浮かんでいる。
駅にはノートがあり、旅人たちがそれぞれの思いをつづっている。

おとといNHKでここを取り上げた番組があった。
取材をした人・・仮にAさん、Bさんと呼ぶ。

Aさん
福島県からはるばる列車を乗り継ぎ年に6回もここへ来ている。
13年前結婚したが奥さんは産後うつ病になり、まだ治療中。
Aさんは家事育児の多くを分担しながら早朝からの仕事もこなしてきた。
弱音は誰にもはかなかった。
そのAさんが唯一心を癒し元気を取り戻せる場所がここ。
列車が抜海駅に近づくとAさんの顔が輝き始める。
「もうすぐですよ。アドレナリンがわぁ~と沸いてきます」
(わかるな~この気持ち。
私も衝動的に新幹線に飛び乗り何度瀬戸内海の小島を見に行ったことか。。
忠海駅に降り、港の堤防に座ってただぼーと大久野島を眺めていた。。
<余談>昨日の夕方NHKのニュースで大久野の島の映像が出てきた。
懐かしかった)
Aさんはお気に入りの丘に登り、日本海をただ眺めている。
あるいは海岸まで歩いて利尻島を眺める。
夕暮れ・・紫にけぶった利尻富士は蜃気楼のように美しかった。

Bさん
Bさんは春にリストラにあり、秋には再就職が決まった。
その間を利用して全国をバイクで旅をした。
最後に落ち着いたのが利尻島。
そこのラーメン屋でアルバイトをしている。
そこである女性と知り合い付き合うようになった。
まだ付き合って間もない頃二人で抜海駅に来てノートにそのときの気持ちをつづった。
今日は一人で来てホームを行ったりきたりしながら物思いにふけっている。
その女性には6歳の娘がいる。
結婚したいが再就職先に連れて行くのは出来ない。
仕事を捨てて利尻島にとどまるか、別れて仕事につくか・・・Bさんは気持ちを決めるため抜海に来た。
後日・・・Bさん、女性とその娘が3人そろって抜海駅を訪れた。
Bさんは利尻島にとどまる決心をして結婚を申し込んだ。
警察官になるため猛勉強中だという。

駅は例えれば人生の分岐点、人と人が出会ったり別れたりする場所・・そこにはドラマが生まれる。
又人は駅に自分の思いを重ねる、心の癒しを求める。
小さい無人駅や木造駅舎だからこそ、そういう思いを重ねやすい。
私もそのような場所が好きだからその気持ちはよくわかる。
抜海駅・・・私も40年前に通り過ぎたのだがもちろん覚えていない。
旭川を過ぎてしばらくして稚内に着くまではずっと原野だったことくらい。





コメント
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