愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

卒業に際して 2013年度

2014年03月16日 | 運営
昨日,愛知学院大学は学位授与式(卒業式)を挙行しました。うちのゼミでは,10名の学生が卒業しました。

この卒業生たちのうち,元々うちのゼミを希望していた者は少数です。商学部でもっとも不人気なこのゼミでは,2年次のゼミ生募集時,3次募集で何とか最低員数を集めました(定員は充足せず)。大半は,このゼミの学習内容や担当教員の私に関心を持っていたわけではありません。他に選択肢がないので,「しかたなく」配属されたのでした。

ゼミに配属後,学習内容に興味を持つことができた者はいると思いますが,卒業まで違和感を持ち続けた者もいるでしょう。それでも,何とか課題をこなし,卒論を書きあげ,無事全員卒業することができました。

嫌々ながら課題をこなしたことは不幸だったのでしょうか。私はそうとは思いません。開き直りと思われるでしょうが,教育的意義があったと考えています。

組織で働く際,自分の希望する業務が与えられることはまれです。自分の思うように仕事をこなすことができる機会は少ないでしょう。同僚,先輩,上司たちの中には,「嫌な」「苦手な」人がたいてい存在しています。組織は理不尽なことでいっぱいです。社会に出る前には,それらに対する耐性を身につけておく必要があります。

希望しなかった,好きでもない教員が指導するゼミで過ごした2年半において,組織で働くことに関する適応力が少しは身についたのかもしれません。そう考えれば,「しかたなく」課題をこなしたことは不幸ではなかったでしょう。

さて,卒業生に言葉を贈ります。

「大いに屈する人を恐れよ,いかに剛にみゆるとも,言動に余裕と味のない人は大事をなすにたらぬ。」

これは,伊藤博文の名言です。この言葉を素直に受け取ると,「とても腰の低い人を恐れなさい。強そうに見えても,言葉や行いに余裕と面白味のない人(虚勢を張っているような人)は,大したことはできない」という意味にとれます。本当に恐い人(すごい人)は腰の低い人なのだと。

明治時代に近代日本を作り上げた大政治家の一人,伊藤博文は,10代のころ松下村塾に学びました。その時すでに,師匠吉田松陰に「俊輔(伊藤の名),周旋(政治)の才あり」と評されたことは有名です。政治家として,人を見る目が必要ですが,その要諦があの言葉に表現されたのかしれません。あるいは,自身の処世訓として発言したのかもしれません。

卒業生には,是非「大いに屈する人」を目指して欲しいと思います。働き始めると,多くの意のままにならないこと,理不尽なことに出合います。その際,突っ張って,わが意を押し通す努力をするという選択肢があります。この場合,うまく意に沿う結果を得ることができるかもしれません。しかし,反発を招き,摩擦によって自身も周囲も疲弊してしまうことでしょう。逆に,腰を低くして,柔軟に意のままにならないことに対応する選択肢があります。この場合,自分にとっては不本意な対応であっても,周囲から支持を集める可能性があります。長い目で見ると,周囲からの支持によって,自分の意を実現する可能性が出てくるのです。

4月にいよいよ新キャンパスが稼働します。卒業生は,是非一度は,新キャンパスを訪ねて,母校の発展を確認してください。もちろん,今年度の卒業生だけでなく,すべての卒業生を歓迎いたします。

なお,今年度卒業式当日1枚も卒業生たちの写真を撮る機会がありませんでした(ゼミ生以外も含め)。私が撮られることもありせんでした。その結果,ここに写真を掲載することができず,なんだか残念です。まあ,不人気の私にふさわしいわけですが。
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