愛知学院大学青木ゼミのブログ

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2012年03月07日 | Weblog
東大が国際化を進めるため9月入学全面移行検討を発表してから,大学に関する報道はこの話題中心です。東大は旧帝大やそれに匹敵する格の11大学で協議すると発表したので,いわゆる難関エリート大の改革問題であると受け取られています。

日本の大学で,留学生の受け入れが多い大学トップ3は,早稲田,東大,立命館アジア太平洋です。学術レベルが高いか,国際化を建学理念にした大学です。うちのような中堅以下の私立大学などは無縁かなと思わないではありません。

しかし,留学生受け入れ数4位以下の大学には,中堅以下の私立大学がたくさん並んでいます。その中には,全学生に対する留学生の割合において,早稲田や東大よりもはるかに高い大学が存在します。こういうことを大学関係者の私が指摘するのは穏当ではないかもしれませんが,留学生の受け入れでようやく入学定員を充たしている私立大学が日本にはいくつも存在しています。

そうなると,国際化,9月入学問題は難関エリート大の改革問題ではなく,幅広い日本の大学に関わる問題であるといえます。

9月入学全面移行案で気になるのが,「進んだ」欧米先進国に合わせよう,追いつこうという発想がどこか見え隠れすることです。

日本の教育改革,とりわけ高等教育改革にはこの手のものがいくつもありました。ロー・スクール,ビジネス・スクール,大学院重点化,共通一次試験,センター試験などなど。欧米先進国,とりわけアメリカの教育制度に合わせて導入されたものばかりです。理念先行で,具体的に社会的ニーズがあるのかどうか分からないような改革でした。

その結果,あからさまに「失敗だった」と指摘されるもの,意図通りではなく「裏目に出た」と評価されるものがあります。

先日早稲田がクォーター制導入検討を発表しました。1年を4学期に分けて,各学期で教科を学生に履修させ,その単位を取得させる制度のことです。この場合,9月入学を基本とするアメリカのような大学だけでなく,9月や4月以外に入学月を設けている国にある大学との間の学生交換にもフィットするそうです。早稲田はクォーター完結の教科を増やして,学生の留学機会を増やす一方,4月入学の現行制度は基本的に変えないそうです。

外に出る学生も,受け入れる学生も,全学生の中では一部にとどまることを考えれば,早稲田の案の方が東大の案よりも現実的だと思われます。

ちなみに,多くの大学では1年を2学期に分け,各学期で教科を学生に履修させ,その単位を取得させるセメスター制を既に実施しています。実はこのセメスター制をきちんと実施していれば,9月入学を取り入れることは可能になります。本学も数年前から実施しています。しかし,不完全な実施です。

本学では,もともと通年科目であったものを,単純に2つに分けただけで(例えば4単位科目を2単位2つにする),内容的にセメスター完結になっていないものが多く存在しています。私が担当している科目でもそうなっているのがあります。学生からは何のためにセメスター制になっているのかという素朴な疑問を毎年受け取ります。これを本来のセメスターの主旨に沿ったものにすれば,9月入学は可能になるでしょう。ただ,外から見れば当たり前のことをきちんとできないのが大学というところです。
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