春休み中の読書案内パート2です。今回は企業事例を取り上げたビジネス書を紹介します。
今もっとも日本で注目されている企業といえばファーストリテイリング(ユニクロ)です。それを取り上げたビジネス書は書店にたくさんに並んでいます。私がお勧めするのは,ファーストリテイリング現会長・社長柳井正さんが書いた『成功は一日で捨て去れ』新潮社です。
これには,2005年に3年ぶりに社長に復帰してから最近までのトップの目から見た事業活動の足跡が書かれています。単に活動事例が記述されているだけでなく,それに対するトップの思いや,活動の成果が出た後の評価が書かれている点が興味を引きます。
ユニクロの成功事例が書かれ,それに対するトップの感想や内部事情が語られているのは興味深いでしょう。しかし,とくに面白いのが,ユニクロの危機として安定志向病が蔓延していることが指摘され,これを如何に払拭していくかということがしつこく語られている点です。また,野菜販売,海外進出,企業買収での失敗を率直に失敗と認めその原因と影響について当事者の視点で語られている点も目を引きます。
この手の本ではことさらに成功事例が強調されるものです。今破竹の勢いで成長を続けるファーストリテイリングなら成功事例のオンパレードになってもおかしくありません。しかし,現役のトップにしてみれば,成功に酔うような余裕や隙はないのでしょう。本のなかに企業の自戒・叱咤が染み渡っています。執筆の最後箇所に次のような文があります。「経営は『砂上の楼閣』と同じである。自己点検,自己変革しなくなったら,その時点で終わる」と。柳井さんは自らと社員を奮い立たせるためにこの本を書いたのでしょう。
組織外部にいるジャーナリストや学者が書いた本と違い,この本は内容があまり整理されていません。すこし読みづらい印象を持ちます。しかしそれがかえって,緊迫感を得させてくれます。経営の厳しさが伝わってくるのです。
なお,柳井さんがかつて書いた『一勝九敗』新潮社を併せて読むと,ファーストリテイリングの事業活動の道筋がもっと詳しく理解できます。
今もっとも日本で注目されている企業といえばファーストリテイリング(ユニクロ)です。それを取り上げたビジネス書は書店にたくさんに並んでいます。私がお勧めするのは,ファーストリテイリング現会長・社長柳井正さんが書いた『成功は一日で捨て去れ』新潮社です。
これには,2005年に3年ぶりに社長に復帰してから最近までのトップの目から見た事業活動の足跡が書かれています。単に活動事例が記述されているだけでなく,それに対するトップの思いや,活動の成果が出た後の評価が書かれている点が興味を引きます。
ユニクロの成功事例が書かれ,それに対するトップの感想や内部事情が語られているのは興味深いでしょう。しかし,とくに面白いのが,ユニクロの危機として安定志向病が蔓延していることが指摘され,これを如何に払拭していくかということがしつこく語られている点です。また,野菜販売,海外進出,企業買収での失敗を率直に失敗と認めその原因と影響について当事者の視点で語られている点も目を引きます。
この手の本ではことさらに成功事例が強調されるものです。今破竹の勢いで成長を続けるファーストリテイリングなら成功事例のオンパレードになってもおかしくありません。しかし,現役のトップにしてみれば,成功に酔うような余裕や隙はないのでしょう。本のなかに企業の自戒・叱咤が染み渡っています。執筆の最後箇所に次のような文があります。「経営は『砂上の楼閣』と同じである。自己点検,自己変革しなくなったら,その時点で終わる」と。柳井さんは自らと社員を奮い立たせるためにこの本を書いたのでしょう。
組織外部にいるジャーナリストや学者が書いた本と違い,この本は内容があまり整理されていません。すこし読みづらい印象を持ちます。しかしそれがかえって,緊迫感を得させてくれます。経営の厳しさが伝わってくるのです。
なお,柳井さんがかつて書いた『一勝九敗』新潮社を併せて読むと,ファーストリテイリングの事業活動の道筋がもっと詳しく理解できます。