目指せ! 標高1122メートル

山の神にお供して歩きつづける、ある山のぼら~の記録。ネイチャー、冒険の本もとりあげるよ。

ヒマラヤの未踏峰に挑むドキュメンタリー映画『MERU(メルー)』

2016-11-13 | テレビ・映画

先日映画『MERU(メルー)』を観る機会があった。ヒマラヤ山脈メルー中央峰にそびえる未踏峰、通称“シャークスフィン”を登るドキュメンタリー映画だ。未踏峰に登るのに、カメラを持ち込んで映像を撮り続けるとは、、、とまず思ったのだが、登るご本人、ジミー・チンは、「ナショナルジオグラフィック」に写真や動画を寄稿するほどの人物。自ら監督を務め、この映画をつくった。

 大きな写真は、監督のジミー・チン

この未踏峰にチャレンジしたのは、コンラッド・アンカー(Conrad Anker)、ジミー・チン(Jimmy Chin)、レナン・オズターク(Renan Ozturk)の3人。驚くほどの強い意志とスキルと体力を兼ね備えた屈強なクライマーたちだ。なかでもコンラッド・アンカーは、1997年南極大陸ドローニング・モード・ランドRakekniven峰にジョン・クラカワーらとともに初登を果たしているつわもの。「ナショナルジオグラフィック」1998年2月号に掲載されているというから、書棚のバックナンバーを引っ張り出してみたら、たしかに掲載されていた。また1999年エベレストでのジョージ・マロリー遺体捜索隊にも参加していて、世紀の発見をしている。

 有名なトップクライマー、コンラッド・アンカー

彼らのシャークスフィン最初のトライは2008年。惜しくも山頂の100メートル手前で断念することになる。その3年後再びチャンスがめぐってくる。しかしそれは、多難な挑戦になった。家族との感情の軋轢を生み、危険を冒すことへの苦悩を強いられる。加えて、出発前に、ジミーとレナンが雪崩に遭い、深刻な事態をもたらした。

それでも彼らは屈することなく、数々のトラブルを乗り越え、ヒマラヤへ飛ぶ。登り始めたら最後、クラックや足場のない垂直の壁をただひたすらよじっていくことになる。

 山野井夫妻のコメントと、泰史さんの寄稿文

映画ではこの3人だけを追いかけるのではなく、家族や関係者をも登場させ、第三者からの視点も入れる。とくに「ナショナル・ジオグラッフィック」に何度も寄稿しているジョン・クラカワーの存在感がすごい。ジョン・クラカワーもトップクライマーの一人だ。あの1996年のエベレスト大量遭難事故の現場に居合わせていて、壮絶なルポを書いている(『空へ(into the Thin Air)』)。うちの書棚を見たら、BOOK OFFに旅立つことなく、前作の『荒野へ(into the Thin Air)』や、『エベレストより高い山(A Mountain Higher Than Everest?)』 とともに鎮座していた。そんな山を知り尽くし、経験豊富な彼の鋭い解説や批判が、映画にアクセントをもたらしている。

山好きのあなたには必見の映画。きっと壮大な映像美と、彼らの内面の葛藤やチャレンジ精神に圧倒され、感動を覚えるはず!

注:シャークスフィンは、厳密にいうとロシア人クライマーが別ルートですでに登頂している。ただ垂直の壁を登っていないということで、世界のクライマーたちが競っていた。

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