『中高年のための日本の三千メートル峰』 八重 勉 ペガサス¥ 1,470
年配者でたま~に20代に登った記憶が鮮明で、さもついこの間登ったような言動をはく人がいる。そんな話を真に受けて、意外ときつくないのかと思い込んでしまうことがあり、まったくもって危険きわまりない。実際に行くだんになってその山を調べると、とんでもなくハードだとわかって、あっけにとられるのだ。
この本は、アルパイン気分を満喫できる3000メートル峰に山の価値を見出す、著者の自伝的な山行記である。参考文献があまた挙げられているとおり、その山の地理的解説や登山の来歴なども記され、山岳図書としての価値が十分にある。
また「中高年のための」と謳うこともあって、体力の低下した方へのアドバイス、ノウハウがふんだんに盛り込まれている。たとえば北アルプスでは、コース中の難所や時間配分を考慮すれば、どこの小屋に泊まってどうコースを設定すればいいか著者の指摘でおのずと見えてくる。南アルプスでは、ふつうのガイドブックをみると、ロングコースでハードさを強いられるのだが、そうではない無理ない日程の組み方の例をあげている。
私なぞは、登山者の中では、まだまだ若い部類に属する(?)ので、参考にならないかと思いきや、やはり体力の衰えは顕著だから、謙虚に受け止めねばならないのだろう。この夏の編笠ではテントをかついだだけで、バテてくたくたになったし……。山の神推奨の楽チンコースをたどる、山小屋泊まりにするなど、工夫が必要になってきているのは確かだ。
3000メートル峰とくに北アルプスは、仕事の忙しさもあって、また天候不順のめぐり合わせもあって、私はあまり登頂していない。この本を参考に、これからぜひ行ってみたい!
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