いわき鹿島の極楽蜻蛉庵

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鹿島の昔話 「和尚と小僧」

2010-04-18 09:26:36 | Weblog
                      《寺小屋に纏わる話は多い》                 分類・民

                                                             
 鹿島の昔ばなし⑨ 和尚と小僧

 昔な、日吉丸という機転の利く子供がおってな、寺子屋に習いに行っていたそうじゃ。
 日吉丸とは、そののちの太閤秀吉なんじゃが寺子屋には大変貴重な茶碗があって、その茶碗の中には金平糖(こんぺいとう)が入っていて、とても美味だという事を聞いていたんだと。
 日吉丸はどうしても金平糖を食ってみたくて仕方がなかったそうだ。

 或る日、和尚さんは何処かへ出掛けることになり、出掛けに「おめえらは、いたずらしねえで一生懸命手習いして留守居してろ」と言い聞かせて出て行った。
 ところが、今日こそあのお茶菓子を食わねば食う時がなくなってしまうと考えたんだ。

 茶碗は大きくて有名な焼物らしく、和尚さんが大切にしていたものだけど日吉丸は中の金平糖を食い終わるとわざと落として壊してしまってそうだ。
  それまで和尚さんは、子供たちに一つ食べると舌が抜けるとか歯が抜けるとか言い、二つ食べると頭の毛が抜けるとか死ぬとか言って手を付けさせなかった。

 ところが寺に帰ってみたら大切な茶碗は壊れ、金平糖は一つも無くなっていることに腹を立てて「誰がこんなことをしたんだ」と言ったら日吉丸が「すいません、オラがやった」と名乗り出て「実は茶碗に茶渋が付いていて汚いので、井戸端で灰で磨いている内に落としてしまった。和尚さんが帰ってきたら叱られるのは判っていたので、その前に死のうと思って金平糖を全部食ってしまった」と言ったんだと。

 それを聞いていた和尚さんも何とも仕方なくて許すしかねかったんだと。

 あとのことだが和尚さんは日吉丸のことを、他の人に「あの子供は当たりめえの子供ではねえ」と言っていたそうだ。
                     

  本日の催し  4月18日(日)    五黄 先勝   旧暦3/5

    ◆陶芸 「小林健展」  於・ギャラリー創芸工房(鹿島町走熊)   0246-29-3826

    

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