今週のバッハは、アンドラアーシュ・シフの「J.S. Bach: Clavichord」を楽しんできました。じっさいには、「インヴェンションとシンフォニア」など、きいていない曲のほうが多いのですが、それらはまた後日に楽しむ予定です。「J.S. Bach: Clavichord」は、シフがいつものピアノではなく、クラヴィコードを弾いて録音しているというのが特色。もちろん重要なのは、クラヴィコードでの演奏だからということではなく、師であるジョージ・マルコムが「サスティンペダルを使わず、指だけでバッハのポリフォニーを実現する方法を教えてくれた」(シフ解説)というように、音楽をどう表現(奏者として音楽を完成させる)するかでしょう。これからきく半音階的幻想曲とフーガ(BWV903)は、クラヴィコードにふさわしい曲といえ、チェンバロのような華やかさはないにしろ、ファンタジアもフーガも多感な表現が楽しめます。弾いているクラヴィコードは、ヨリス・ポトフリーゲが製作(ヤコブ・スペッケンの1743年製にもとづく)した楽器。録音は2018年です。なお、シフにはもちろん、ピアノでの録音もあります。
CD : ECM 2635/36(ECM Records)