アドルフ・フォン・メンツェルの「フリードリヒ大王のフルート・コンサート」(1852年)は、バッハ好きなら一度は目にしたことがある絵画だと思います。ここで紹介する、ヨスト・ヘルマント著、神林恒道・三浦信一郎訳の『メンツェル 《サンスーシのフルート・コンサート》 美術に見る歴史問題』(三元社)は、ドイツ近代史における、その絵の受容をテーマにした本で、115頁にしては(というのも変ですが)ややお堅いといえるかもしれません。購入のきっかけはもっとお手軽で、絵画に描かれた人物だとかの解説にあったのですが、「メンツェル《フルート・コンサート》で鳴り響く音楽について」など、訳者の解説も15頁という紙幅がとられていて、読みごたえがありました。