「音楽物書」加藤博子をきき手に、鈴木雅明がバッハを「語りおろし」た対談本、『バッハからの贈りもの』(春秋社)。プロローグとエピローグにはさまれた9章からなる構成で、バッハの魅力が饒舌に語られています。「語りおろし」ゆえに体系的とはいえないところもありますが、テーマは多岐で、じつにおろしろく読むことができます。豊富な譜例は、じっさいの対談では実演されていたようなので、NHKなりで、同じ企画の長期番組があれば、と思ってしまいます。しかし、それがかなうことは、まずないでしょうから、いまのところ、鈴木のCDを用意して読むしかありません。