goo blog サービス終了のお知らせ 

OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

シェリーとマリーに会ったなら

2013-08-11 15:20:39 | Pops

初恋のふたり / Cherie & Marie (Mercury / 日本フォノグラム)

世界中で双子デュオが珍しくもない芸能界ですが、それが既に有名なキャリアを重ねた後の再デビューともなれば、様々な憶測や邪推は避けられません。

例えば本日の主役たるシェリー&マリーは、ガールロックの人気バンドだったランナウェイズを抜けた看板ボーカリストのシェリー・カーリーが、双子の妹のマリーと組んだ新プロジェクト!?

実はそこまでの経緯には、やはりランナウェイズ結成時から実質的なリーダーであったジョーン・ジェットとの対立があったようで、もちろん本国アメリカよりは日本や欧州各国での人気が爆発的に先行し、マネージメント側の思惑がバンドメンバー各人の方向性や気持とズレていった事と無関係ではありません。

そのあたりは近年公開された映画「ランナウェイズ」やメンバー&関係者が出した自伝&暴露本によって、微妙な部分まで明らかにされていますが、そんな状況の中、シェリー・カーリーがランナウェイズを脱退すると覚悟した時、とにかくも彼女達をスタア街道に導いたプロデューサーのキム・フォーリーが、待ってましたの策略を巡らした事は推察に易いでしょう。

実際、件のキム・フォーリーがジョーン・ジェット(g,vo)、リタ・フォード(g)、ジャッキー・フォックス(b)、サンディ・ウェスト(ds)、そしてシェリー・カーリー(vo) の5人娘を纏め、1976年にマーキュリーと契約を結び、翌年には既に述べたとおりの大ブレイクをアメリカ以外で爆発させた手腕の素晴らしさがあればこそ、一座のスタアであったシェリー・カーリーが抜けてしまう非常事態がジョーン・ジェットとキム・フォーリーの喧嘩別れに結びつくのは時間の問題というところです。

そしてシェリー・カーリーが1978年に出したソロアルバム「ビューティー&ワイルド」をプロデュースしたのも、必然的にキム・フォーリー!

本日掲載のシングル盤A面曲「初恋のふたり / love at first sight」も、実はそこに収録されていたバブルガム風味のガールロックで、気になる妹のマリーもボーカリストとして、きっちり件のアルバムに参加しているのですから、もはやその既定路線には何も言えませんよねぇ~~♪

しかも驚かされるのは、B面に収録されたのが同曲の日本語バージョンで、これは同年の来日時に録音されたと言われるものですが、作詞:なかにし礼の才気は言わずもがな、A面のオリジナルバージョンよりもテンポを緩やかにした編曲:荻田光雄のクレジットが侮れません。

つまり、そうすることによって、彼女達の日本語歌唱が絶妙の親しみ易さになっているんですが、正直、これはイナタイ!?

ちなみにランナウェイズ時代の彼女は「チェリー」と表記発音されていたのが一般的で、「シェリー」と正確(?)に呼ばれるようなったのは、この頃からです。

そしてもうひとつ、デビュー時から変わってしまったのは、その彼女のボディラインで、ランナウェイズ時代はデヴィッド・ボウイのイメージを踏襲したピッチピチのジャンプスーツ姿でガニマタ&乳首浮き出しのセクシーアクションも、そのスリムな肢体とシャープな面立ちゆえに最高の人気を掴んだ要素だったんですが、それが2年後には、ちょっぴりユルユルな場末感が……。

もちろんランナウェイズ時代からのウリになっていた前述のアクションを双子姉妹でやらかすライプは、それもひとつのロック魂ではあろうかと思いますが、リアルタイムのテレビでシェリー&マリーに接したサイケおやじは、なんとも諸行無常のせつなさに包まれてしまったですよ。

お叱りを覚悟で書かせていただきますが、シェリーは決して上手いロックボーカリストではなく、むしろちょい前の外タレが日本向けに吹き込んでいた「日本語詞の歌謡ポップス」あたりをやったら、我国では相当の人気が継続していたにちがいないと思っています。

その意味で、このシングル盤に日本語バージョンを入れたレコード会社の判断は大正解じゃ~ないでしょうか。

ただし洋楽マスコミの評論家の先生方は、前述した最初のソロアルバムを酷評するのが常套手段のようでしたし、この日本語バージンも同様の扱いでしたから、ファンの気持は別にして、それが以降のシェリーやシェリー&マリーの活動の足を引っ張るように感じていたのは、サイケおやじだけではないはずです。

何故ならば、現代の耳で聴けば尚更に当時のシェリー&マリーのレコード諸作は素晴らしく、特に正式に双子姉妹名義で1980年に作られたLP「シェリー&マリー・カーリー / Messin' With The Boys (Capital)」は、当時の人気バンドだったトトのメンバー全員が強靭なバックアップを展開した、最高級の洋楽ポップスが楽しめますよ♪♪~♪

それについては、また別に項を設けて書きたいと思いますが、実はきっちりCD化され、ポップスファンの間では密かに(?)愛聴されているそうですから、これ以上、サイケおやじが何を言う必要もないはずです。

ということで、こういうレコードがポコっと作られてしまうんですから、昭和のレコード会社は勢いがあったわけですよねぇ~~~♪

しかし、それを何時までも根に持って(?)、ランナウェイズはもちろん、ジョーン・ジェットやシェリー&マリーがどんなに良いレコードを作ろうとも、所謂キワモノ扱いが収まらない風潮は、なんだかなぁ……。

幸いにも彼女達のレコードは売れまくっていたので、今でも簡単に手に入るブツが多いですし、シェリー&マリーにしても、既に述べたとおりの喜ばしい現状があるのですから、せひっ!

最後になりましたが、掲載したシングル盤のジャケ写のクレジットが「シュリー」になっているのは、ご愛嬌??!?

まあ、そのあたりも、当時の我国洋楽事情の諸々というわけです、はい。

コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

もうひとつのさすらいのギター

2013-08-10 14:41:45 | 歌謡曲

さすらいのギター c/w レイニー・ナガサキ / 入江ゆみ (ハーヴェスト / ミノルフォン)

さて、これが小山ルミとの競作になった「さすらいのギター」の入江ゆみバージョンです。

もちろん発売されたのは昭和46(1971)年で、実は小山ルミのバージョンよりもちょい遅れだった所為もあるんでしょうか、結果的にこちらは売れていません。

ところが入江ゆみは同年夏に行われたベンチャーズの来日巡業にゲスト歌手として参加し、この「さすらいのギター」を歌っていたんですよっ!?

実はサイケおやじは、ベンチャーズのフルコンサートライプは、この時が初体験で、既にリードギターがノーキー・エドワーズからジェリー・マギーに交代していたんですが、それでも本物のロックのビートを激しく発散させるベンチャーズの真髄には大感激!

しかし一方、せっかくの「さすらいのギター」が小山ルミではない、失礼ながら全く知らない別の女性歌手によって披露された事には、些かの失望を感じていたのが本音でありました。

ただし今になって思い起こせば、ラテンロック系の激しいビートを打ち出すドラミングにリードされ、加えてベンチャーズ本来の持ち味であるリズム的興奮に煽られて歌う入江ゆみは、なかなか良かった気もしているんですが……。

そこで掲載のシングル盤A面に収録の「さすらいのギター」は、なんとっ!

歌詞が小山ルミ盤とは異なり、萩原ひかるによって書かれた、もっと直截的にギターと関わる内容が賛否両論でしょうか?

 あぁ~、ギターよ
 むなしい胸を
 わけもなく夕焼けが
 赤く染めるよぉ~♪

と最初から歌われてしまっては、耳に馴染んだ小山ルミの節回しがありますからねぇ~~~。

正直、ど~にもならないものは否定出来ないでしょう。

ところが後に手に入れた入江ゆみ盤を聴いてみると、基本ラインは同じながら、土持城夫の編曲によるグリーンポップスオーケストラ名義の演奏がシャープで熱いホーンセクションも含めて、なかなかにロッキンソウル!

ギターとボーカルのコンビネーションも良い感じなんですねぇ~~♪

その意味でB面の「レイニー・ナガサキ」が、これまたドン・ウィルソン流儀のリズムギターとファズ全開のリードギターが炸裂する正統派エレキ歌謡になっているのは特筆物で、サブタイトル「ひとり長崎の雨に」というテーマで作詞:津坂浩&作編曲:土持城夫の狙いは正確!

告白すれば、既に述べた違和感から、サイケおやじはB面の方が好きなほどです。

ということで、厳密な意味合いでは「さすらいのギター」をベンチャーズ歌謡に分類する事は出来ないはずなんですが、逆に言えば、ドン・ウィルソンのスタイルで弾かれるリズムギターがあれば、とにかくベンチャーズになってしまうという真理がありますからねぇ~~~。

ここでのB面「レイニー・ナガサキ」が所謂アクション歌謡路線もイケる仕様になっているのも、なかなか意味深ですし、ペンチャーズ本隊のリードギターが誰であろうとも、その個性的なサウンドの味わいは不滅という現実も踏まえ、この入江ゆみのシングル盤は隠れ人気作だと思います。

CD化されているかは不明ですが、機会があれば、お楽しみ下さいませ。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ディスコ歌謡の太陽は泣いている

2013-08-09 15:28:26 | 歌謡曲

太陽は泣いているセンセーション'78 / 山内恵美子 (日本ビクター)

昨日は湿っぽい事を書いてしまったので、本日は心機一転、スカッと情熱のディスコ歌謡を取り出しました。

ご存じ、いしだあゆみが昭和43(1968)年夏に大ヒットさせた「太陽は泣いている」のカパーとはいえ、あえて「センセーション'78」と銘打っているあたりは文字どおり、昭和53(1978)年夏の芸能界流行事情を今に伝えるものになっています。

それはスバリ! サンタ・エスメラルダ調というスパニッシュ風味のディスコサウンドを大きく歌謡曲に取り入れた、ある意味では賞味期限に注意が必要な商品でもあり、また一方では、何時聴いても、腰が浮いてしまうという、人間本来の本能に訴えかけてくる普遍性を併せ持った狡さをどうとらえるか!?

なぁ~んていう命題がつきまとう仕上がりなんですねぇ~~♪

つまりそれほどの快楽性がモロに出ているのが、この「太陽は泣いているセンセーション'78」というわけです。

そして歌っている山内恵美子は東映から昭和48(1973)年にデビューした女優の「山内えみ子」であり、また翌年には歌手デビューも果たした「山内えみこ」でもあり、さらには後年「山内絵美子」として活躍した華やかな美女♪♪~♪

もちろん最初期にはヌードやキワドイ衣装、極小水着がお約束の存在だったのは、芸能界入りする前はモデルとしての活動があったからですし、男好きのするスタイルとキツイ面立ちが絶妙のコントラストを見せてくれたのは、本人の恵まれた資質と言う他はありません。

失礼を承知で書かせていただければ、自然体というよりも、それほどの努力を感じさせずに周囲を魅了してしまうところに、山内恵美子の魅了があった気がしますし、歌の世界でも、それは堂々と通用していたと思うばかり!?

で、肝心の「太陽は泣いているセンセーション'78」は既に述べたとおり、スパニッシュ調ディスコサウンドに拘ったアレンジになっているんですが、当然ながら作者の筒美京平が自ら仕掛けた目論見は、同時期に大ヒットしていた中原理恵の「東京ららばい」を踏襲した路線であり、いしだあゆみのオリジナルバージョンでは「そこはかとない」せつなさを表出していた橋本淳の綴った歌詞が、ここではなかなかアッパーな雰囲気に転化されているのですから、侮れません。

そこにはカラオケパートの勢いに満ちた演奏が必須なのは言わずもがな、山内恵美子が十八番のツッパリムードを全開させたイケイケの歌唱が良い感じ♪♪~♪

まさに山内恵美子が歌ってこそ、「センセーション'78」というサブタイルが生きてくるんじゃ~ないでしょうか!?!

ということで、ディスコ歌謡には娑婆の諸々、せつなさも暗さも、時には不条理な悲しみや諸行無常の真理さえも霧散させてくれる魔法があって、ついつい「笑い飛ばす」と似て非なる「踊り飛ばす」という用語が浮かんでしまうのは、サイケおやじ本性露呈の享楽性! と、ご理解願いたいところです。

最後になりましたが、山内恵美子の女優としての活動では、やはりデビュー期に東映で主演した「番格ロック(内藤誠監督)」における、山内えみ子名義の演技が忘れ難く、これはぜひとも多くの皆々様にご覧いただきたい傑作なんですが、劇中にロックバンドのキャロルが映っている所為で、ど~してもパッケージ化が不可能になっています。

それはご推察のとおり、キャロル側からの権利の問題が大きく横たわっているのは周知の事実なんですが、もうそろそろ、物分かりの良さを示して欲しいと思っているのはサイケおやじだけではないはず!

何か本日は、それを言いたくて、この文章を書いていたとは思われたくありませんが、ひとつの本音である事は確かです。

ただし、だから言って、この「太陽は泣いているセンセーション'78」が曇ってしまうなぁ~んてこたぁ~、絶対にありませんよ。

とりあえず、踊り飛ばすのが正解でしょうねぇ~~♪

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

可愛かずみを忘れたことはない

2013-08-08 14:26:12 | 歌謡曲

星屑のシネマ c/w 遠い約束 / 可愛かずみ (CBSソニー)

スレンダーな美女と言えば、可愛かずみも決して忘れられず、今も彼女の事を想うと……、気持が苦しくなるのはサイケおやじだけではないはずです。

ご存じのとおり、彼女が我々の前に現れたのは昭和57(1982)年、渡辺護監督による日活ロマンポルノ「セーラー服色情飼育」に主演しての銀幕でありましたが、実はその封切公開前から、成人映画ファンの間ではちょいとした噂の新しいスタア女優として注目されており、不肖サイケおやじも、その方面からの情報、そして雑誌やスポーツ紙の芸能欄等々で、可愛かずみに会える人を楽しみにしていました。

なにしろ彼女は愛くるしい面立ちにスレンダーな肢体、それでいて豊かな乳と品格さえ感じられる乳首の存在、さらには明るさの中に微妙に秘められた翳りが、なんとも魅力ですからねぇ~~~♪

ただし前述した「セーラー服色情飼育」における可愛かずみは、渡辺護監督の成人映画作品としては、些か優しい扱いになっており、後追い鑑賞では、その過大な期待は裏切られるかもしれません。

しかし当時の成人映画は、まだまだ背徳性が強く残っており、一方では特にロマンポルノ出身の東てる美や三保純が裏アイドル的なところから、大きく表舞台で飛躍していた事もあり、可愛かずみも、一般的な偏見よりは、演技力も含めた彼女ならでは個性が広く人気を集めていくのです。

もちろんロマンポルノ出演は、件の1本だけという真相は言うまでもありません。

リアルタイムを過ごされた皆様であれば、彼女がテレビではバラエティやドラマに登場し、時に明るく、また必要とあらば、あえて媚を売るような仕草や演技を見せてくれた事を覚えていらっしゃるでしょう。

そして当時のアイドルであれば、これまたレコードデビューも必須であり、昭和59(1984)年には最初のシングル曲「春感ムスメ」を見事にヒットさせ、いよいよスタア街道を順調に邁進していたのですが……。

数回の自殺未遂騒動から、ついにはあの悲劇です。

その経緯や詳細については、とてもサイケおやじは、ここに記す気持になれません。

ど~しても知りたいという皆様であれば、ネット時代の今日、簡単に情報がご覧になれるはずです。

しかし現実は現実として、ストレートに受け入れるのがファンの義務でもあります。

また、数冊残された彼女の写真集は凄いプレミア物件でもあり、出演映画の中には仕上がりはイマイチとはいえ、日活80周年記念の「女猫」という一般作品の主役という輝かしい1本もあるのです。

さて、そこで掲載したのは昭和60(1985)年夏に発売された彼女の最後のシングル盤で、A面「星屑のシネマ」は作詞:岡田冨美子&作曲:水谷公生が書いた、これがなかなか当時流行のシンセ系サウンドによる、スパニッシュモードの歌謡曲であり、軽く歌っているようで、実は上手いボーカルを聞かせる可愛かずみの演技力(!)が秀逸♪♪~♪

あぁ、デジタルサウンドの中に埋没する彼女の歌声が愛おしい!

ですから、その意味ではB面「遠い約束」が同じソングライターコンビの作品でありながら、最高に泣きそうになる抒情派歌謡フォーク調のスローな仕上がりなっているは、たまりませんねぇ~~~♪

もう、何度聴いても、サイケおやじは、その歌詞と曲メロ、彼女ならではの、せつない歌唱に涙を抑えきれません。

もちろん儚い表情を見せる、ジャケ写の彼女のポートレイトも含め、既に述べた、悲しすぎる彼女の最期を知ってみれば、尚更です……。

極言すれば、この「遠い約束」を聴いて、一緒に泣いてくれるのが同志、と思うばかりなんですよ。

ということで、今日はもう、何も書けなくなってしまいました。

ただただ、皆様には可愛かずみの歌を聴いていただきたい、そんな一心であります。

サイケおやじは、彼女の事、忘れません。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夏場の出張はキツイです…

2013-08-07 11:33:13 | Weblog

ということで、猛暑の中の移動が辛くなっているのは、年齢的な衰え!?

いやいや、そればっかりじゃ~なくて、やっぱり異常に暑いですよねぇ~~~▼◎?▲?

例によって本日の1枚は休載ご理解願いたいところですが……。

どうぞ皆様も健康に留意され、気持ち良くお過ごし下さいませ。

明日帰ります、予定では。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

木之内みどりの大人の階段

2013-08-06 15:15:55 | 歌謡曲

ジュテーム c/w ヨーヨー / 木之内みどり (NAV)

自分ではロリ趣味が無いと思っているのに、ふっと気がつくと、例えば小林麻美とか、スレンダー系の美女が好きだったりするサイケおやじですから、木之内みどりもその対象として、かなりレコードを集めたひとりです。

しかしリアルタイムでアイドルをやっていた頃の彼女は、決して歌手として大成したとは言い難く、むしろグラビアやテレビバラエティ、そして映画やドラマでの活躍によって人気を集めていたのが実情でしょう。

そこには失礼ながら、歌唱力が些か不安定だったという真相があり、しかも当時は「スター誕生!」等々のテレビオーディション勝ち抜き組の実力派アイドルが続々とデビューしていましたから、持ち前のキュートな可愛らしさが一番のウリだった彼女としては、誰もが知っている大ヒットを出す事は素直に難しかったと思われます。

ただし昭和49(1974)年のデビュー曲「めざめ」から彼女の音源を虚心坦懐に聴いてみれば、そのあたりを逆手に活かした好企画盤がどっさり作られていて、昭和52(1977)年に発売された本日掲載のシングル盤も、その1枚!

まずはA面「ジュテーム」をお聞き下さいませ♪♪~♪

結論から言えば、これが如何にも当時流行だった洋楽系AORのサウンドを取り入れた、ちょっぴり歌謡ボサノバのアイドルポップスなんですが、既に公式デビューから3年を経て、少女から大人の女へと成熟しつつあった彼女のイメージを上手く活かした音作りになっている事は、ジャケ写の雰囲気からもストレートに伝わってくるはずです。

もちろん作詞:松本隆、作曲:佐藤健、そして編曲:瀬尾一三の仕事に手抜かりなどあろうはずもなく、エレピの隠し味や弾んだベースの響きも素敵なんですが、なによりも細身の彼女のボーカルを引き立てるガイド的な女性コーラスがニクイばかり♪♪~♪

以下は完全なるサイケおやじの妄想にすぎませんが、この「ジュテーム」の仮歌バージョンは、きっと上手い女性ボーカリストが歌っていたにちがいありませんよ、例えばここでコーラスを担当している誰かが!?

そしてB面の「ヨーヨー」が、これまたニクイ歌謡フォークの名曲にして、如何にも木之内みどりの「らしさ」が全開の好トラックで、これまた結論から言えば、このシングル盤が発売される直前に出ていた超絶の名作LP「硝子坂」からのカットなんですねぇ~~~♪

それについては後々、必ず拙ブログで項をあらためてご紹介致しますが、とにかく歌謡フォークに特化した、ひとつのトータルアルバムとしては、夥しいアイドル歌手の作品中、嘘偽りなく、サイケおやじは出色の仕上がりと断言したいほど!

ですから、このシングル盤にB面とはいえ入れられた「ヨーヨー」が、本当はA面曲として扱われても不思議ではない傑作である事は言わずもがな、実は「ジュテーム」よりは下世話なヒット感覚が横溢していますよ。

 あなったぁ~~♪
 行ったり 来たりぃ~♪
 行ったり 来たりぃ~♪

という、サビのキメには、特にグッと惹きつけられます♪♪~♪

「ヨーヨー」という曲タイトルは、まさにそういうわけなんですねぇ~~~。

ちなみに作詞:松本隆&編曲:瀬尾一三はA面と同じコンビですが、ジワジワと効いてくるメロディを書いたのは当時、「とんぼちゃん」と名乗るフォークデュオをやっていた市川善光! おまけにバックの演奏が、上手すぎる名人バンドだったラストショウと知ってしまえば、ただただ聴いてしまうのみ♪♪~♪

表面的には歌謡フォーク否定派のサイケおやじにしても、我知らず本性を暴かれてしまうほど、これは素晴らしいと素直にさせられてしまいます。

ということで、今となっては木之内みどり≒例の逃避行事件~芸能界追放のネタばっかりが優先されますが、アイドル歌手というか、彼女の歌というよりも、制作スタッフの創意で作られていたリアルタイムの楽曲、レコードの数々はなかなか味わい深く、良く出来ていると思うばかり!

まあ、それはサイケおやじだけの思い込みかもしれませんが、ご紹介の折々には、どうかお付き合い下さいませ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

錦城ロコと一緒の朝は…

2013-08-05 15:24:23 | 歌謡曲

朝をあなたと / 錦城ロコ (キングレコード)

昭和40年代の歌謡界では、ソングライターの内弟子を経てのレコードデビューが珍しくなく、本日ご紹介の錦城ロコは、いずみたくの門下生のひとりして、佐良直美や由紀さおり、あるいは今陽子と同列の存在だったのですが、残念ながら大きなブレイクはなく……。

しかし彼女のレコードもまた、中古市場では隠れた人気商品と思われます。

そして掲載のシングル盤は昭和44(1969)年に出た、これがなんとも夏向きのジャケットデザインでありながら、中身は特にA面「朝をあなたと」が所謂お色気歌謡と言いたくなるほど、絶妙の「気まずさ」がニクイ仕上がりなんですねぇ~♪

結論から言えば、好きな男とメイキングラブの翌朝、コーヒーを飲みながら、その余韻に浸りつつ、あぁ、もういちどぉ~♪♪~♪

みたいな、おねだり独白の歌なんですが、サウンドの作りが曲メロも彼女の歌声も、極めて穏やかモードの歌謡フォーク調であり、決して悶えや微妙な息づかいが用いられていないところに、深淵な策謀(?)と仕掛があるように思います。

しかも、この爽やかな避暑地の夏仕様というジャケ写ですからねぇ~~♪

もちろん作詞:山上路夫、作曲:いずみたく、そして編曲:親泊正昇の仕事は狙ったものなんでしょうが、 もしもこれを由紀さおりが歌っていたら!?

なぁ~んていう妄想も強く浮かんでしまうほど、錦城ロコの歌唱は上手くて、同時に何かしらのツッコミを入れたくなる不思議なソツが感じられるんですから、やっぱり彼女は魅力的なボーカリストなのでしょう。

告白すればサイケおやじは錦城ロコが何枚レコードを出しているかも知らず、私有盤もこれっきりなんですが、既に述べたとおり、中古屋では歌謡曲愛好者の探索物件上位リストに入る歌手だそうですから、纏まった復刻が望まれますねぇ~~~~。

ということで本日、これを出してきたのは、ジャケ写が夏向きという狙いしかなかったんですが、久々に朝から針を落してみたら、すっかり忘れていた濃厚な内容にオロオロしてしまったですよ、恥ずかしながら♪♪~♪

そして中学生だった頃のサイケおやじが、某イベントで彼女と佐良直美が一緒に登場し、健全(?)な歌謡フォークを聞かせてくれた思い出が逆説的に心に蘇っている次第です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

南陽子の誘惑には負けてしまうなぁ……

2013-08-04 15:42:41 | 歌謡曲

誘惑 c/w 月夜のいたずら / 南陽子 (RCA)

所謂ねちっこいボーカルというのは、フェロモン歌謡のひとつの条件かと思いますが、特に昭和40年代の歌謡ポップスで活動していた女性シンガーは、例え二十歳を過ぎていたとしても、立派にアイドルで通用していたのですから、良い時代でした。

そして本日の主役たる南陽子は、そういう意味では決定的な存在と思うばかりで、殊更昭和48(1973)年に発売された掲載のシングル盤収録の両面2曲は素晴らしいですよ♪♪~♪

とにかくまずはA面の「誘惑」からして、歌謡フォーク調のイントロからAメロでの中近東風モード、そしてサビに入ってからのニューソウル的な展開が実に自然に流れる構成が匠の技!?!

当然ながら作曲:小林亜星&編曲:高田弘の良い仕事は確信犯(?)なんでしょうが、阿久悠の綴った歌詞が、これまた曲者で、日常的な生活の中で突然発情してしまう女性心理を南陽子というフェロモン系アイドルシンガーに歌わせるミエミエ企画が、居直らずに堂々とやれてしまうのは、流石の三人衆というところでしょう。

もちろん南陽子本人の歌の表現力、そのフェロモンの程好い発散具合は絶品♪♪~♪

さらにバックの演奏パートも強烈に凄く、特にサビで蠢きまくるエレキベースは圧巻としか言えませんし、その流れで終盤では完全にソウルジャズになっているこのカラオケは、永久保存したいほどです。

ちなみに件のエレキベースは今日の研究によると、ジョージ大塚トリオ等々で活躍していた寺川正興ではないか? という推論があるようですが、当時のスタジオセッションに参加していたプレイヤーは、ほとんど限られた顔ぶれだったそうですし、同系の演奏がリアルタイムの歌謡曲のバックでは頻繁に聴かれますので、気になる皆様はレコードやCDでご確認下さいませ。

個人的には同じエレキベースでも、ピック弾きで固い音質を響かせるのが江藤勲、既に述べたとおりの自由性の高い演奏が寺川正興か? という分類に拘っている次第です。

閑話休題。

一方、同じ作家トリオが手を組んだB面の「月夜のいたずら」が、またしても最高の極みで、基本的には明るいソフトロック系歌謡ポップスでありながら、随所で溢れる南陽子のフェロモン唱法がたまりませんよ♪♪~♪

特にサビでの「ごめんなぁ~さぁ~~い」の節回しの妙は、これまた好きな時に発情しては男を惑わせる女の本性を表現して、絶品!

う~ん、こういう名曲名唱がB面扱いなんですから、昭和歌謡曲は本当に侮れませんねぇ~~~♪

ということで、ジャケ写からして当時のミニスカファッションの典型を拝めるる「お宝」レコードでもあり、内容の素晴らしさも含めて高得点盤なんですが、残念ながらリアルタイムでは大きなヒットにはなっていません。

しかし、その普遍性は時を経るほどに深く認識されているようで、彼女のレコードが中古市場の人気商品になっているのは紛れもない事実ですし、復刻CDが出ている事も最近知りました。

そして南陽子のような短命な実力派アイドル歌手が登場していたからこそ、業界も世間も勢いがあったと思います、例えそれが刹那的であったとしても!

サイケおやじは南陽子が大好きです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

いしだあゆみは夏の夢

2013-08-03 15:30:07 | 歌謡曲

太陽は泣いている c/w 夢でいいから / いしだあゆみ (日本コロムビア)

「そこはかとない」という言葉を知った時、イメージとして浮かんだのが、いしだあゆみでした。

と言うよりも、サイケおやじは本日掲載のシングル盤A面曲「太陽は泣いている」が大ヒットしたリアルタイムの昭和43(1968)年夏、それを歌っていたいしだあゆみの不思議な存在感に圧倒(?)され、結局は後追いで「そこはかとない」という言葉に謎解きを委ねたのが真相です。

つまり、いしだあゆみのアンニュイな雰囲気の良さは、この「太陽は泣いている」のような、ある意味ではGSっぽい歌謡ポップスを歌っても、決して激しい情感を露わにせず、むしろ淡々としたクールさが情念の炎を!?

なぁ~んていう、分かった様な、分からない様な解釈に導かれる魅力にあるんじゃ~ないでしょうか?

具体的には似たような曲調を演じていても、例えば黛ジュン泉アキの様なストレートな情動ではなく、しかし西田佐知子の様なお色気のオブラートに包むでもない、これがいしだあゆみの絶対的な個性と思うばかりです。

ちなみに楽曲クレジットは作詞:橋本淳&作編曲:筒美京平という黄金コンビですから、今となっては大ヒットしたのも当然と思われるかもしれませんが、ラガロック調のフレーズを奏でるイントロのギターに続き炸裂(?)する所謂ズンドコビートには、当時としても幾分素直に馴染めないものがあり、しかしだからこそ、続く曲展開に惹きつけられてしまうという魔法が確かにありましたですねぇ~~♪

実際、この曲はバンドで演奏してみると、かなり纏めるのが難しい!? 等々、サイケおやじは痛感するところが多々あります。

一方、B面収録の「夢でいいから」が、尚更にいしだあゆみの本領が発揮された名曲名唱で、しっとりとした情感を決して流されずに聞かせてくれる彼女の節回しの上手さは、「上手い」という言葉では決して表現しえない魅力に溢れていますよ♪♪~♪

あぁ、このジャズフィーリングと芝居がかった歌い回しには、聴く度にシビれさせられます♪♪~♪

これぞっ! いしだあゆみの真骨頂!!

実はこの「夢でいいから」は、後に中島まゆこの秀逸なカパーバージョンが作られるのですが、やはり個人的には、いしだあゆみに軍配を上げてしまうのが本音です。

ということで、「そこはかとない」は「なんとなくいしだあゆみ」という語句解釈として、サイケおやじの独り善がりの辞書に入れてあります。

最後になりましたが、掲載したシングル盤ジャケットは当時の慣例として、リバーシブル仕様なのも嬉しいところで、特にB面扱いには勿体無い「夢でいいから」が、彼女の綺麗な「ワキ見せ」ジャケ写なのも、マニアにはたまらないブツの証になっています。

う~ん、こういう雰囲気、こういうシチュエーションを堪能させてくれる女性芸能人が、今の日本には全く存在しないのが、現代の不毛を象徴しているように思います。

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夏にも美しい西島三重子

2013-08-02 15:23:45 | Singer Song Writer

あきらめてサンバ / 西島三重子 (コンチネンタル / テイチク)

最初は有線かラジオで接したと記憶していますが、この「あきらめてサンバ」を歌っているのが、まさか西島三重子だとは思いませんでした。

なにしろ西島三重子と言えば、昭和51(1976)年の大傑作「池上線」を筆頭に、グッと心に滲み入る、せつなさ優先モードの歌謡フォークを聞かせていたシンガーソングライターでしたからねぇ~~~~。

つまりそこまで驚嘆させられるほど、「あきらめてサンバ」は捨て鉢な享楽の歌であり、もちろん女心の悲しみや哀感は充分に込められているはずですが、何か全てを「その場しのぎ」にしなければならない、なかなか現実的な状況が???!?

そして同時に彼女の歌いっぷりの良さ、特に初っ端からラテンフュージョン全開のサウンドをバックに「い~のさぁ~~、い~のさぁ~~♪」とキメの本音(?)を吐露した後、そこに至る経緯や背景を思わせぶりに訴えてくる説得力が、サイケおやじは大好きです。

ちなみに作曲は当然(?)西島三重子、作詞は門谷憲二とクレジットされていますが、今泉敏郎のシンセを多用したコンパクトなアレンジは、如何にも発売された昭和56(1981)年らしい、実に良い仕事だと思います。

また、ジャケ写のポートレイトに登場している西島三重子の美しさ♪♪~♪

これも明らかにイメチェンを図った施策なんでしょうが、ハッと気がつけば、レコード会社がワーナーからテイチクに変わっていたんですよっ!

結果的に大きなヒットにはなりませんでしたが、こういう路線の西島三重子も大好きですし、ちょっと後々が怖い気はするものの、この歌の世界の彼女と不適切な関係になるのは男の本懐かもしれません。

ということで、もちろん西島三重子はサイケおやじがお気に入りの女性歌手であり、それは自らのチンケなツッパリから、リアルタイムでは公言出来ませんでしたが、レコードは地道(!)に聴いて、集めています。

そして幸いにも、現在では代表曲がそれなりに満遍なくCD化されていますので、有名なワーナー時代の諸作同様、テイチク移籍後の彼女の歌もお楽しみ下さいませ。

特に夏場は、こういうラテンフュージョンサウンドでの西島三重子が愛おしい♪♪~♪

それもサイケおやじの告白であります。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする