■Altamont Free Concert 1969 40th Anniversary Special Edition
/ The Rolling Stones & Guests (Idol Mind = bootleg)
昨年末には40周年に事よせた名盤ライプ「Get Yer Ya-Ya's Out!」のデラックスエディションが発売され、やはり世界一のロックバンドはストーンズだっ! を再認識させられたわけですが、実はその裏盤として、例の「オルタモント」の決定的なブツが登場していましたので、ご紹介致します。
それはなんとディスク4枚セットの音源&映像集で、もちろんプートながら「40th Anniversary Special Edition」と付けられたサブタイトルが潔いと言っては不謹慎でしょうか。しかし1969年12月6日の歴史に刻まれた真実の一端を間違いなく追体験出来るのです。
しかも結論から言えば、音質は過去最高!
特にこれまで流通していたストーンズのパートが、各種のソースから継ぎ接ぎで構成されていた所為で音質や音圧がバラバラだった欠点が、可能な限り補正修復され、かなり聴き易くなったのは嬉しいところです。
☆Disc-1:Opnning Acts
01 PA Sound Check with Moog
02 Opening Announcement
03 Savor / Santana
04 Jingo / Santana
05 Evil Ways / Santana
06 Announcement
07 The Other Side Of This Life / Jafferson Airplane
08 3/5th Of A Mile / Jafferson Airplane
09 Fat Angel / Jafferson Airplane
10 White Rabbit / Jafferson Airplane
11 Free Bird / Jafferson Airplane
12 Ballad Of You & Me & Pooneil / Jafferson Airplane
13 Six Days On The Road / Flying Burrito Bothers
14 High Fashion Queen / Flying Burrito Bothers
15 Cody Cody / Flying Burrito Bothers
16 Lazy Day / Flying Burrito Bothers
17 Black Queen / Crosby, Stills, Nash & Young
18 Pre-Road Downs / Crosby, Stills, Nash & Young
19 Long Time Gone / Crosby, Stills, Nash & Young
20 Down By The River / Crosby, Stills, Nash & Young
21 Announcement for The Rolling Stones
このパートは前座出演したサンタナ、ジェファーソン・エアプレイン、フライング・ブリトー・ブラザース、クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングという超豪華なバンドの演奏が楽しめるわけですが、音源はサウンドボードと会場からの隠し撮りのミックスながら、全く普通に聴けるレベルですから、たまりません。その臨場感とリアルな音声感覚は、まさにロック全盛期の熱気の凄さを今に伝えるものだと思います。
特にジェファーソン・エアプレインの演奏は強烈至極! しかも途中で勃発するトラブルの状況までもが、克明に記録されていますから、その緊張感は筆舌に尽くし難いものがあるのです。激烈なギター、ドライヴしまくるベース、ド迫力のボーカル、炸裂するビート! 荒っぽい中に、これがロックという真実が堪能出来ますよ。
そしてキース・リチャーズと友達関係にあったグラム・パーソンズが率いるフライング・ブリトー・ブラザースの痛快なカントリーロック大会、人気絶頂だったCSN&Y、デビューからいきなりのブレイクを果たしていたサンタナの熱演も期待どおりですから、時にはフェードアウトしたり、あるいは劣悪になる音質であっても、贅沢は禁物だと思います。
☆Disc-2:The Rolling Stones
01 Introduction
02 Jumping Jack Flash
03 Carol
04 Sympathy For The Devil
05 The Sun Is Shining
06 Stray Cat Blues
07 Love In Vain
08 Under My Thumb
09 Brown Sugar
10 Midnight Rambler
11 Live With Me
12 Gimme Shelter
☆Dics-3/part-1:The Rolling Stones
01 Little Queenie
02 Satisfaction
03 Honky Tonk Women
04 Street Fighting Man
これが後々まで問題となったストーンズの苛烈なライプのパートですが、既に述べたように、これまでに流通していたブツの中では一番に感度良好な音質ですから、ますます、そのリアルな凄みが堪能出来ます。
演奏や現場の状況については、拙稿「転石音盤史 1969 part 6」に詳しく書いたつもりですが、やはり何度聴いても、この日のストーンズは逆境をエネルギーに変えてしまう魔性のテンションが最高潮! リズムはワイルドだし、バンドアンサンブルもギリギリの危うさがストーンズ本来の魅力に直結しているようですから、途中までは半ベソ状態だったミック・ジャガーも後半では開き直りの熱唱を聞かせてくれます。
気になる音質は過去最高! 様々なソースのミックスながら、各音源のレベルとピッチを上手く調整した、実に良い仕事になっています。特にこれまで頭が切れていた「Jumping Jack Flash」「Carol」「Stray Cat Blues」が改善されたのは高得点♪♪~♪ カセットっぽい録音がモロ出しだった「Brown Sugar」にしても、なかなか迫力のある音質で楽しめますよ。
肝心の演奏は、個人的にはミック・テイラーの頑張りというか、本当は現場の状況にビビっていたと思われるのですが、持ち味のギタープレイは冴えまくり♪♪~♪ 中でも「Carol」でのキースとのギターアンサンブル、「Gimme Shelter」での爆発的なアドリブソロ等々、全篇で大暴れしていますよ。
もちろんキースのヘタウマギターも気合いが入っていますし、ビル&チャーリーの場数を踏んだ姿勢は、どんな状況でも腹の据わったビートを生み出す原動力として、他のバンドでは絶対に出すことの出来ないグルーヴを提供しています。
☆Dics-3/part-2:Local Radio Broadcast
05 MC by The Taper on Radio
06 Introduction
07 Jumping Jack Flash
08 Carol
09 MC by The Taper on Radio
10 Sympathy For The Devil
11 Evil Ways
12 Jumping Jack Flash
13 Carol
14 Mick Jagger Live MC
15 Sympathy For The Devil
このパートは某ローカルラジオ放送番組からの音源で、当時の状況を語るのは、この中の貴重音源を提供したテープ所有者だと言われています。そして流石は放送音源とあって、聴き易さは言うまでもありませんし、幾分ペラペラした音質が如何にも当時のラジオという雰囲気で懐かしくなります。まあ、これはリアルタイムを知っている者の気分かもしれませんせんが、こんな感じで洋楽を楽しんでいたんですよ、なんていうところを、お若い皆様にも知っていただければ宜しいんじゃないでしょうか。
☆Disc-4/part-1:Altamont Was The Nightmare (DVD-R)
01 IMP Slate
02 Prologue
03 The Altermont Venus
04 CSN&Y Live Scene
05 The Stones Live Scene
4枚目は映像ディスクで、このパートはリアルタイムの現場で観客によって撮影された貴重なサイレントの8ミリフィルムにプートからの音声を被せ、さらに撮影者によって当時の状況が語られるというのが凄いところだと思います。
ネタバレがありますから、詳しい中味は伏せますが、イギリスからビーチボーイズに憧れてアメリカ西海岸へやってきた撮影者が、実は違っていたアメリカの現実に失望し、さらにオルタモントのフリーコンサートで幻滅した当時をリアルに語ってくれるその内容を、親切な日本語字幕付きで知ることが出来ますから、思わず唸りますねぇ。
肝心のライプシーンは本当に極僅かなのが残念ではありますが、臨場感は満点!
☆Disc-4/part-2:Altamont Weekend (DVD-R)
06 IMP Slate
07 Opening MC
08 Jumping Jack Flash
09 Carol
10 Let’s Get Together
11 Report & Interviews
12 Evil Ways
13 Carol
14 Mick Jagger Live MC
15 Sympathy For The Devil
16 Report & Interviews
17 Ending MC
18 Let’s Get Together
続くパートは、1969年12月8日に放送されたテレビニュース番組「Newswatch」の音声に、当時の貴重な現場写真やフィルムを合わせたもので、もちろん日本語の字幕が付いていますから、所謂「オルタモントの悲劇けが当時、どのように報道されていたかが興味深いとろこでしょう。
その中では無料コンサートだったはずが、裏ではお金に纏わるあれこれが混乱の原因のひとつだったとか、現場での暴力、悪いクスリ、夥しい群衆……等々、報道されることそのものが、今となっては虚実入り乱れたものと感じられます。
このあたりは、十人十色の感想になるでしょうねぇ……。
マスコミの身勝手な結果論も含めて、誰が悪者かなんて決めつけられないわけですが、とにかく歴史となったイベントをさらに深く堪能するためには、最適の資料になったことは間違いないと思います。
ということで、まさに40年前の、もうひとつの事実が浮かび上がってくる秀逸なブツです。もちろん本篇映画「ギミー・シェルター」も必見ですし、公式ライプ盤の「Get Yer Ya-Ya's Out!」も聴いてから後に接するのがベストでしょう。
つまり物事は多角的に検証してこそ、その真実に近づけるという世の中の仕組みがある以上、例え海賊盤であるにしろ、こうしたブツが出るのは喜ばしいことではないでしょうか。
一般的に言われているように、ブート業者なんて金儲け主義の塊というのも、また真実ではありますが、流石は「Idol Mind」というメーカーの熱意が伝わってくる良い仕事として、サイケおやじ的には高得点なのでした。
謹賀新年、よろしくお願い致します。
これは本当におっしゃるとおり、狙っていたと思いますが、それにしても凄かったですね。
次はBBC音源の完全復刻を望みたいです。