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サイケおやじの生活と音楽

ストップモーションとニューミュージック

2020-01-05 17:25:44 | ニューミュージック

私のハートはストップモーション / 桑江知子 (SMS)

「ニューミュージック」という言葉によるジャンル分けは好きではありませんし、誰が何時頃から使い始めたのかも知りませんが、しかし個人的に、それを否定出来なくなったのは、昭和54(1979)年正月早々から流行り始めた本日掲載のシングル盤A面曲「私のハートはストップモーション」からでした。

と言うのも、実はこの歌は某化粧品メーカーのCMソングとして、曲タイトルになっている歌詞の一節が巷に流れまくり、そのサウンドの快適性は如何にも都会的!

つまり、それまでの歌謡曲まや歌謡ポップス、そして歌謡フォークをある意味で分かり易くしていた「泥臭さ」が排除されていたんですねぇ~~!?!

もちろん、同種のサウンドを持った楽曲は既にユーミンや加藤和彦、そして尾崎亜美やブレッド&バター等々のシンガーソングライター達が実践していたのですが、そこで作られていたレコードは主に若者世代の御用達であり、それなりに売り上げも伸びていたところから使われ始めたのが「ニューミュージック」という、まさに新種の歌謡曲を呼称する便利な言葉だったと、サイケおやじは思っています。

しかし、だからこそ、「ニューミュージック」をやっている歌手やグループがテレビの歌番組に出演する事は稀な状況だったところに出たのが、この「私のハートはストップモーション」だったという印象がサイケおやじにはあるのです。

特にシンセ多用のイントロから歌メロに入る瞬間のパートが半拍遅れ、所謂「裏」から歌い始める仕掛け(?)が、それまで歌謡曲や歌謡ポップスに親しんで来た視聴者には新鮮だったんじゃ~ないでしょうか。

既に述べたとおり、そのあたりのフィーリングは既に「ニューミュージック」のジャンルでは普通だったと思えば、「私のハートはストップモーション」のインパクトは絶大でした。

実際、これをカラオケで歌ってみると、イントロからの歌い出しが難しいんですよねぇ~~。なんか……、リズムが分からなくなるというか……。

ちなみに作曲は都倉俊一、編曲が萩田光雄というクレジットを確認すれば、意図的な「ニューミュージック」狙いに走った事は推察に易いと思うんですが、いかがなものでしょう。

しかも歌っている桑江知子が全くテレビ向きじゃ~ないというか、失礼ながら怖いほどの目線にクールな表情、そんなこんなの不愛想なイメージで

  あぁ~~、私のハァ~トはぁ~~

と、ゆったりした16ビートで歌い出すんですから、これはやっぱり、それまでの歌謡曲とは一線を画する印象を世間に与えたんじゃ~ないでしょうかねぇ~~♪

そして、これが所謂頭サビで、続く中間のパートが8ビートで曲調が歌謡曲保守本流の雰囲気へ戻すあたりも、なかなかに用意周到なのかもしれません。

というよりも、竜真知子の綴った歌詞が最初っからCMソング優先モードで、だからこそ頭サビに曲タイトル=キャッチコピーの「私のハートはストップモーション」を持って来る必要があったとしたら、後付けの部分に変化を与えるためにも、ビートのチェンジは有効なのでしょう。

つまり、ここに不思議な安心感が生まれている様な気がするんですよ。

う~ん、と我知らず唸ってしまうほど、実に凝った企画が功を奏したと思うばかりで、それは演奏パートにおいてもシンセ系キーボードを多用しつつも、エレキ&アコースティックの両方を使ったリズムギター、これまたエレピ&生ピアノの両刀使いが全体にアナログ的な優しさを感じさせるんですから、本当に素晴らしい仕上がりですねぇ~~♪

現在でも、ニューミュージックのスタンダート曲として人気が衰えないのも、ムベなるかな!

桑江知子のナチュラルな歌唱は、ニューミュージックのひとつの典型になっている気さえします。

ということで、ついに拙ブログでも「ニューミュージック」というジャンル分けを用いる事になりました。

冒頭述べたとおりの理由から、あえて今まで「歌謡曲」か「日本のロック」、あるいは「シンガーソングライター」に分類していた我が国の大衆音楽の中に「ニューミュージック」が入って来るのは時間の問題でありました。

元旦に記したとおり、サイケおやじの今年の目標は「素直」でありますから、無様な言い訳は恥の上塗り!

それを肝に銘じて、諸々これからも書き連ねていく所存でございます (__)

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