■泣く女 c/w 女なの… / 青山ミチ (クラウン)
時には思いっきり濃厚な味を楽しみたいと思えば、それが歌謡曲の場合、サイケおやじは青山ミチのレコードを聴いてしまいます。
ご存じのとおり、彼女は13歳頃から歌手として公式デビュー以降、そのパンチの効いたボーカルスタイルで日本語詞のポップスカパーを十八番にしていたところは、まさに弘田三枝子のライバルという地位も認められており、そこには日米ハーフ、特に父親の黒人の血筋から受け継いだと思う他はない、強靭なブラックフィーリング、つまりナチュラルなソウル&ブルースっぽさがありました。
尤も、そんなことをサイケおやじが推察したのは、後に様々な洋楽とか、本物の黒人音楽に接してからだったというのが本当のところです。
そしてリアルタイムの昭和30年代後半から、実は様々なスキャンダル、特に悪いクスリ関係でのプランクを挟みながらも、常に凄いレコードを出し続けられたのは、彼女の歌の実力があればこそと思います。
さて、そこで掲載したシングル盤は昭和44(1969)年に発売された、真に脂っこい歌謡演歌の決定作「泣く女」をA面にした偏向的傑作!
なにしろイントロから咽び泣くテナーサックに湿っぽいギターが配され、しかもバックのリズム隊のヘヴィなビート感も強い印象を作り出す中、青山ミチが歌うのは、これぞっ! 正統派盛り場演歌のスワンプ表現としか言えません。
あぁ~、流石は作詞:高橋譲治&作編曲三木たかしの狙いをさらに煮詰めた歌いっぷりは、青山ミチの他に誰が!?
本当にそう思うざるを得ませんねぇ~♪
そして一方の「女なの…」が、これまたジャジーな作編曲を完全理解したミッチー節が全開の仕上がりで、むしろこちらにヒット性が強いと思われるほど、作詞:高橋譲治、作曲:嵐一平、編曲:井上忠也は良い仕事ですよ♪♪~♪
当然ながら、青山ミチが青山ミチである存在証明は、随所で披露される粘っこいコブシがゴスペルっぽさに共鳴する味わいなのかもしれません。
ということで、今となっては決して万人向けのレコードではなく、真に昭和歌謡曲が好きで、しかも濃厚さを求める皆様には必須のアイテムでありますが、良いものは良いに決まっています。
そんな居直りにもならない屁理屈は、青山ミチという天才歌手の前では完全に無力とは思いますが、彼女が残した代表的な音源はCD化されておりますので、どうかお楽しみ下さいませ。
歌謡ブル~ス、万歳です♪♪~♪
コメント&応援、ありがとうございます。
クラウン期の濃厚さは、ちょっと類例が無いほどですよ。
例の問題から逼塞し、「全日本歌謡選手権」で復活した直後の達観したような歌いっぷりは最高でした。
ところが、その後に再びの……。
これは本当に哀しくて、せつない思いをさせられました。
そして、だからこそ、青山ミチの歌は孤高なのかしれません。
僭越ながら、手持ちのCDポリドール期「ゴールデンベスト」を調べました。
「ヴァケイション」「ひとりぼっちで想うこと」「ミッチー音頭」
「いたずらなミッチー」「恋のゴーカート」「ミッチー・マーチ」
「ABCからZまで」「いろはにほへと」
以上がモノラルミックスで入っていました。