OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

小林啓子の大人の魅力

2013-04-11 15:15:05 | 歌謡曲

比叡おろし c/w 恋人中心世界 / 小林啓子 (キングレコード)

昭和40年代に「カレッジ&歌謡フォークの女王」と称された歌手は森山良子本田路津子と並んで、小林啓子も忘れられません。

しかし彼女は決して最初っから、そういうジャンルのボーカリストで無かったような印象を受けていたのが、サイケおやじの思いでありました。

なんと申しましょうか、歌や佇まいにアダルトなフィーリングが感じられるんですよねぇ~~♪

例えば本日掲載のシングル盤は昭和45(1970)年初夏に発売され、特にA面「比叡おろし」は長らく深夜放送の秋~冬ソングの定番ヒットになっていたほどの人気曲なんですが、それは小林啓子の持ち味である、落ち着いた声の魅力によるソフトな節回しが大きな要因と思われます。

と言うのも、この歌は決して彼女のオリジナルではなく、作詞作曲が作家でもあり、文化評論家としても高名な松岡正剛!? なんとっ! 21歳の傑作記録とされる歌謡フォークの超スタンダードであって、彼女以外にも多くのフォーク系歌手やグループが当時の持ちネタにしていたんですから、その決定的バージョンをレコーディングした小林啓子の実力は侮れないでしょう。

実際、なんともネクラな歌をここまでポップなフィーリングで歌ってしまえば、それは所謂メルヘンの世界でもあり、意想外に神秘的な怖さ(?)や情念の表出さえ感じられてしまいます。

う~ん、リアルタイムのサイケおやじは、この「比叡おろし」をラジオで聴く度に、本来は好きではなかったこういう歌の魅力みたいなものを学習(?)させられましたですよ。

しかし、一番に彼女を強く印象づけられたのは、同じ頃にNHKで放送されていた、今や伝説のテレビ歌番組「ステージ101」のレギュラーとして登場し、溌剌とした歌やコーラス、そしてダンスまでも披露していた姿なんですから、こんな「比叡おろし」みたいなネクラ系を吹き込んでいた、そのギャップには何んとも言えない倒錯性(?)があったんですよねぇ~~~。

おまけに件の番組内オリジナル曲扱いだった、これまた今や我国のソフトロック愛好者が盲目的に信奉する「恋人中心世界」を最初メインで歌っていたのが、小林啓子だったんですから、いやはやなんとも! そう言ってしまえば、ミもフタもありません。

もちろん作詞:小平なほみ、作編曲:中村八大によるそれは、ボサロック歌謡の真髄でもありますから、一度聴いただけでサイケおやじは直ぐに気に入った事は言うまでもなく、しかもレコード屋の店頭で現物シングル盤を確認した瞬間、ジャケ写に登場しているミニスカワンピース姿の小林啓子にイチコロKO♪♪~♪

個人的なツボというか、後にロマンポルノで大看板スタアになる山科ゆりに感じが似ているあたりも、好きになってしまったポイントであります。

ということで、本日も往年のミニスカファッション関連でチョイスしたレコードのお話でした。

そして何故、現代にこういう雰囲気が失われてしまったのか?

世間にはミニスカファッションの女性は大勢、普通にいるのに、ど~しても昭和40年代の風情とは掛離れた存在感と思えるのは不思議ですよ……。

単純に昔は良かった、という気持は無いのがサイケおやじの立場ではありますが、ちょっと考えてしまうのでした。

コメント (11)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« Zも昭和ガールズグループの天国 | トップ | ホットパンツとピーマンの幻想 »
最新の画像もっと見る

11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (毎日がYukiYuki)
2013-04-12 16:52:15
ミニスカどころか顔も知りませんでした。
ラジオで小室等と話していて、この「比叡おろし」をかけていたのですが、途中無音になるところなんか、息が詰まるようでした。
昔のフォークは暗さも魅力の一つだったので、私にもこの曲は特別に記憶に残っています。
このような曲は「死」に関連付けられるように思うのは、私だけでしょうか?
返信する
普通の感覚でしょうか (サイケおやじ)
2013-04-13 16:09:58
☆毎日がYukiYuki様
コメントありがとうございます。

フォークがネクラという魅力は否定出来ません。
それは若者のひとつの心情であり、共通の思いなんですが、全てに共感出来るかは十人十色でしょう。
あまりヘヴィになると、ついていけませんから。

「比叡おろし」は、そのあたりが絶妙ですよ。

ミニスカは当時普通のファッションでしたから、普通でいるためには、それを着るのが当たり前だったかもしれませんねぇ。例え後年「お宝」になったとしても。
返信する
Unknown (プレイボール)
2013-07-09 18:05:46
小林さんの比叡おろしと茶木みやこさんの泪橋は歌詞や曲の世界がにてますね。からっぽの世界も独特な感じです。あげますやかなしみごっこのアルバムを持ってますかスロー系フォークしか似合う感じです。
返信する
茶木みやこ (サイケおやじ)
2013-07-10 11:44:23
☆プレイボール様
コメントありがとうございます。

なんと申しましょうか、ジンワリ浸み込んでくる歌謡フォークの魅力は、否定出来ないものがあるんですよねぇ~、正直。
茶木みやこ、そのあたりが上手い歌手だと思いますが、一方でビートの強い、ノリが良い曲も得意みたいですから、興味深々(笑)。

案外、小林啓子みたいな都会派ニューミュージックが本道なのかもしれませんねぇ。
返信する
Unknown (プレイボール)
2013-09-06 22:37:13
最近「ひとりぼっちの午前10時」を入手しました。最初の出だしの所を聞いた時はおくさまは18才みたいな陽気な感じがして,岡崎友紀が浮かんできました。恋人がいなくなると暗い感じになるあたり面白い感じです。岡崎友紀と石立鉄男が喧嘩して別れたような展開のようです。「さよならをいうまえに」も10時の鐘の音にと歌詞にありますが終わりの伴奏に鐘がなってるようなくだりがあって凝った曲だなと関心します。
返信する
深刻さの度合い (サイケおやじ)
2013-09-07 11:37:09
☆プレイボール様
コメントありがとうございます。

小林啓子の歌は、まさに当時のラジオ深夜放送の定番だった雰囲気の暗さ、重さがあります。
しかしそこに泥臭さが無いので、聴いていて苦しくならないんですよねぇ~。

ボーカリストの中には、自分が苦しんで、暗い歌を演じる人もいますが、良いのはその時だけと思いますよ。
返信する
入手しました (プレイボール)
2014-01-24 16:36:55
比叡おろしシングルバージョンしからしさがでていてとてもいい感じです。逆にあげますに入ってるアルバムバージョンはちょっとシンプルすぎる曲だなと今まで思ってました。恋人中心世界もよいですがどちらかといえばCMソングに近い感じです。非売品ソノシートで小林亜星作曲の電気通信の歌を小林啓子が歌ってるのも入手しましたがこれはCMソングだったんでしょうか?「光る電気通信の歌」というタイトルです。
返信する
訂正 (プレイボール)
2014-01-24 17:22:10
非売品ソノシートタイトルは「のびゆく電気通信の歌」です。サイケおやじさんはこの非売品レコードは持ってますか?
返信する
ソノシート (サイケおやじ)
2014-02-02 09:06:01
☆プレイボール様
コメントありがとうございます。

おぉ~、ご紹介のソノシート!
これは以前から欲しくて、たまらないブツです。
もしかしたらCDで音源だけは復刻されているかもしれませんが、やっぱり現物が欲しいですよねぇ~~~。

小林啓子はシンプルな歌でも、微妙に「華」を感じさせる節回しがあるみたいで、好きなんです。
返信する
小林啓子さんのライブが新潟十日町市であります (モリスのり)
2017-02-01 15:45:27
2/26日曜日教会でライブやる告知が出ました。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

歌謡曲」カテゴリの最新記事