OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

本田路津子への偏向

2013-03-22 15:03:06 | 歌謡曲

郊外電車で / 本田路津子 (CBSソニー)

昭和40年代後半の歌謡フォークブームで、一際の人気を集めたのが本田路津子でした。

それは特に清涼な歌声と直向きに心へ染み込んでくる節回しのナチュラルなフィーリングの上手さであって、これは「上手さ」なんていう安易な言葉は本来、使うべきでは無いかもしれません。

むしろ天性の才能が歌謡フォークを聞かせるべく、彼女を動かしていたと思いたいほどです。

そして人気が安定し、歌謡フォークがニューミュージックなんていう新種の歌謡曲に変異していく過程には、当然ながら彼女に求められたのが、そっちの方向性だったのでしょう。

本日掲載のシングル盤は、まさにその頃、昭和49(1974)年春に発売された1枚で、特に山上路夫の作詞によるA面「郊外電車で」は、しょ~もない男だけれど、別れられない腐れ縁を自嘲しつつ、綺麗事にして歌う彼女のボーカルが、妙にせつないんですねぇ。

森田公一が十八番のメロディを付け、歌謡フォークに真っ向勝負した穂口雄右のアレンジの所為もあるんでしょうが、正直、本田路津子のレコードの中では、それほど良いとは言えません。

しかしミスマッチの魅力というか、幾分の生臭さが彼女の次なる方向性を示唆していたんじゃ~ないか? と思うんですよ。

ところがそれじゃ~、持ち前の最大の魅力である「声の美しさ」が活かしきれないと思うのも、また本音であります。

結局、この「郊外電車で」はそれほどヒットせず、彼女も翌年には引退された事もありますから、本格的なニューミュージックのブーム到来時に、どのような歌を聞かせてもらえたかは、様々に推察するのみ!?

それはAORという説が有力かもしれませんが、個人的には、かなり素敵な本格的歌謡曲を披露してくれたような気がしています。

ということで、そういう大きな可能性を秘めていたのが、本田路津子という素晴らしいボーカリストでありました。

もちろん大勢のファンにとっては、所謂カレッジフォーク系の歌をやってこそ、本田路津子という公式があろうかと思います。

まあ、そこは天の邪鬼なサイケおやじの感性として、ご理解願いたいのですが……。

コメント (4)
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