OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

忘れじのアストロノウツ

2009-07-02 12:52:02 | Rock

太陽の渚 / The Astronauts (RCA / 日本ビクター)

昭和40年の我が国にエレキブームを爆発させたのはベンチャーズですが、しかし元々の張本人はアストロノウツというが、歴史上の真実です。

それは前年、つまり昭和39(1964)年に日本だけで大ヒットした「太陽の彼方に」が、アストロノウツの演奏だったことが発端です。

この曲はご存じのように、所謂サーフィンミュージックの代表格として、今でも夏の定番になっていますが、それまでの経緯が如何にもアメリカ音楽産業の在り様を示しています。

まずサーフィンミュージックと称される一連のエレキインスト曲は、南カリフォルニア周辺の学生に受けたのが最初と言われていますが、それは今日で言うところの「ガレージ」物であり、インディーズだったのです。

そして、そうした地域のヒット曲を買い取って全国規模で発売していくのが、当時のアメリカ音楽産業では常套手段! サファリーズやシャンティーズが出したシングル盤が売れまくったことから、いよいよ大手レコード会社が自ら制作に乗り出し、そこでデビューしたのが、本日の主役たるアストロノウツでした。

しかしアストロノウツというバンドは本来、コロラド州の学生バンドだったということから、全くサーファンには無縁でしたが、それをRCAレコードのスタッフが、あれこれと考え抜いたアイディアとレコーディング現場の魔法を駆使して、本物以上にサーファンしているサウンドが生み出されたというわけです。

それはツインリバーブを多用したギターアンサンブルがキモであり、様々な効果音を臆面もなく入れてしまったという、結果オーライの産業ロックかもしれません。それゆえにアメリカではリアルタイムで10枚ほどのアルバムが発売されていますが、シングル曲に関しては、それほどの大ヒットが出ませんでした。

ところが日本では前述したとおり、独自にカットした「太陽の彼方に / Movin'」が夏場に破格のウルトラヒット! おそらく当時の洋楽売上の記録を作ったんじゃないでしょうか。あの懐かしい、ノッテケ、ノッテケ、ノッテケ、サーフィン♪ という日本語バージョンも良い感じ♪♪~♪

ちなみにベンチャーズが日本で本格的にレコードを発売出来たのも、その「太陽の彼方に」のメガヒットに負けじと、東芝レコードが後追いした結果だった事は有名な逸話です。

そして翌年1月には、この両バンドがジョイントコンサート企画で来日し、エレキブームを現出させるのですが……。結論からいえば、その後の歴史からしても、ベンチャーズの圧勝! アストロノウツは忘れられた存在になっていくのです。

さて、本日のご紹介は、そのアストロノウツの来日記念盤としてヒットした人気曲♪♪~♪ 原題は「Main Tile From “Ride The Wild Surf”」として、どうやらハリウッド映画の主題歌らしいのですが、曲メロはキャッチーだし、演奏はビンビンのエレキインストでシビレます。しかし効果音としてミョウチキリンなホルンが、本当に良いこところで鳴り響き、これがシケラますねぇ、正直……。

このあたりは制作姿勢の感性の違いかもしれませんね。

肝心のアストロノウツのメンバーはボブ・デーモン(g)、リッチ・フィフィールド(g,vo)、デニス・リンゼイ(g)、ストーミー・パターソン(b)、ジム・ギャラガー(ds) という5人組で、ギターが3本にベースとドラムスという編成は、あの東宝映画「エレキの若大将」で加山雄三が結成したバンド編成と同じというのが、たまりませんねぇ♪♪~♪ 加山雄三が劇中で、「ギターは4人居たほうが、良いんだけどなぁ~」という台詞が、実に意味深だと思います。

しかし、そのアストロノウツには、あまりプロ意識がなかったと言われているとおり、ライブ演奏の実力もベンチャーズにはもちろんのこと、我が国のプロのバンドにさえ軽く見られるほどだったとか……!?

ここからは、あくまでもサイケおやじの妄想になりますが、おそらくアストロノウツのスタジオレコーディングは本人達よりも、セッションミュージシャンが演じている部分が多いのではないかと思います。

むしろ、そうして出来上がった楽曲が先にあり、それを実際のライブ巡業で聞かせるためにアストロノウツがコロラド州から連れてこられたというほうが、あっているような……。こんな事情は、当時のアメリカの芸能界では当然だったんですけどねぇ。

ということで、アストロノウツこそが、日本にロックの夜明けをもたらしたバンドではなかろうか!? というのが本日の結論です。

そして告白すると、サイケおやじは決してこのレコードを自分のお金で買ったのではなく、親戚のお姉さんからのもらったのが真相です。しかも、その時の彼女の言い分が、ベンチャーズの方がシビレるわ! と言うものでしたから、さもありなん……。

でも、個人的には、このアストロノウツのエレキの音は、お気に入りなんですよ。ちなみにB面に収録の「Around And Around」はストーンズも演じているチャック・ベリーがオリジナルのR&Rですが、ここでの脱色されたトホホ感も、今となっては苦笑しつつも、捨て難い味わいだと思います。

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