OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ブライアンを忘れない!

2009-07-03 12:15:39 | Rolling Stones

The Rolling Stones In Action (Insect = Bootleg CD)

今から40年前、1969年の今日、ストーンズのリーダーだったブライアン・ジョーンズが天国へ召されました。

そこまでへの経緯や死因については数多くの書物、また近年は映画化もされたほど様々な憶測があるのですが、一番せつないのは、「ストーンズのリーダーだった」と書かねばならないことです。

ご存じのようにストーンズはブライアン・ジョーンズが主導して結成されたバンドですし、ミック・ジャガーやキース・リチャーズが主だった曲を書いたとしても、実際のレコーディングやライブの現場ではブライアン・ジョーンズがテンポやアレンジを決め、演奏そのものをリードしていたことは、残されたレコーディングが証明しています。

特に初期から中期、つまりブルースやR&Bのロック的な演奏をやっていた頃からサイケポップなヒット曲を連発していた1960年代中頃までの大活躍は、ストーンズがトップバンドに成長していく原動力だったのです。

ところが同時にブライアン・ジョーンズは悪いクスリや恋愛問題、それゆえの人間関係の縺れから、バンド内での居場所を失っていくのですが、それでもメンバーは最後までブライアン・ジョーンズを頼りにしていたことは否めないと思います。

しかし現実的には薬物事件で執行猶予付きとはいえ、有罪判決を下されたことから海外巡業に参加出来なくなり、バンドを去ることになったのです。

このあたりは諸事情が複雑に絡み合い、決して一概に決めつけることは出来ませんし、ブライアン・ジョーンズにしても執行猶予期間が満了すれば、再びストーンズに復帰出来ると思っていたフシもあり、また新しいバンドを組むという噂も強くあった時期の訃報だけに、その衝撃と悲しみは計り知れないほどでした。

さて、本日のご紹介は、ブライアン・ジョーンズが本当に輝いていた時期の記録として、ストーンズのライブ演奏やスタジオ未発表テイクを集めた海賊盤CDです。ただし、その性質上、データに不明な点も多く、またCDのチャプターも間違っていたりしますので、これからの文章は、その点を個人的な考察も含めて訂正したものです。

★ホノルル '66
 01 Intro
 02 Not Fade Away
 03 The Last Time
 04 Pint It Black
 05 Lady Jane
 06 Mother's Little Helper
 07 Get Off Of My Cloud
 08 19th Nervous Breakdown
 09 Satisfaction
 10 Ending

 このパートが、このブツの最大の魅力!
 1966年7月28日、ハワイのホノルルで行われたライブステージのラジオ放送音源を纏めたもので、アナログ盤時代から音質良好の名演とされていましたが、CD時代となってからは、さらに音源が追加され、尚更に楽しめるようになりました。
 まず女の子ばっかりじゃないか!?
 としか思えない観客の声援が物凄く、勿体ぶった司会者のMC、それに続くストーンズの突進するパフォーマンスが、まさに全盛期の証になっています。そして既に述べたように、ブライアン・ジョーンズが全体を通して、完全に演奏をリードしているんですねぇ~♪
 「Not Fade Away」における爆発的なハーモニカ、強烈なリードのリフを弾きまくる「The Last Time」の2連発だけで、完全にストーンズ最高の世界が構築されるのは驚異的です。
 そしてブライアン・ジョーンズ抜きでは語れない「Pint It Black」ではシタールを演奏して、と書きたいところなんですが、どうやらエレキギター? また「Lady Jane」ではエレクトリックダルシマーを巡業中に使っていた記録があるんですが、この公演前のサンフランシスコあたりで、それが盗まれてしまったことから、ここではハープシコードで代用?
 ここで「?」としなければならなかったのは、もちろん音源が混濁した熱狂に支配されているからで、ラジオの放送音源といえども、当時としてはこれが限界という事実をご理解願います。ただし演奏は実に秀逸ですよ。後の公式ライブ盤「Got Live If You Want It! (London)」よりもリアルさが当然ながら濃厚で、好感が持てます。
 さらに後半は怒涛のヒット曲が乱れ打ち!
 いずれもスタジオバージョンよりはギターロックの味わいが強く打ち出され、ストーンズならではという2本のギターのアンサンブルが、実に強力です! もちろんブライアン・ジョーンズはキメのリフ、鋭いオカズのツッコミ、さらに攻撃的なリズムギターの真髄を聞かせてくれますが、要所では相方のキース・リチャーズを立てることも忘れませんし、何よりも演奏全体をリードしつつ、ミック・ジャガーのボーカルをグイグイと盛り上げていくのは流石です。
 とにかくブライアン・ジョーンズの存在感は圧倒的! 当時からライブバンドの王様だったストーンズの素晴らしさが、徹底的に楽しめます。
 ちなみに当然ながら、この音源は他メーカーから数種のブツで出回っていますが、ブライアン・ジョーンズのステージでのカッコ良さが突出したジャケ写とデザインにより、本日はこれを取り上げたというわけです。

★ロンドン '68
 11 Family (2 Version)
 12 Still A Fool
 13 Now I've Got A Witness

 次のパートは1968年前後のスタジオ録音アウトテイクですから、ブライアン・ジョーンズの参加も曖昧な演奏です。
 まず「Family」は1975年に公式発売された未発表曲集「Metamorphosis (Abcko)」にも収録されていましたが、ここでは未完成の2つのバージョンが楽しめます。それは前半がアコースティック、後半のエレキというギターアレンジの違いが特徴的ですが、前述した「Metamorphosis」にはアコースティックバージョンが完成されて使われただけに、エレキバージョンが貴重です。
 そして「Still A Fool」は今でも海賊盤でしか聴くことの出来ないストーンズ流儀のブルースロック♪♪~♪ 重いビートにスライドギター、猥雑なボーカルに絡みつくピアノ♪♪~♪ 8分を超える演奏ですが、最初っから最後まで、グッと惹きつけられますよ♪♪~♪ 気になるスライドギターはブライアン・ジョーンズだと思いますが、ちょっと不調気味なところが逆に凄く、またミック・ジャガーのハーモニカも印象的です。
 しかし最後の「Now I've Got A Witness」は???と、疑問符だらけの演奏で、曲そのものはストーンズのデビューアルバムに入っていたモータウンサウンド系のインストだったんですが、ここに収録されたのは、そのアウトテイク? とすれば録音は1964年になるはずですが、ここでは公式バージョンとは異なってピアノが大きく使われていますし、ブライアン・ジョーンズのハーモニカが尚更に冴えまくり! キース・リチャーズのギターも健闘していますよ。う~ん、これはもしかすると、ジーン・ピットニーがピアノを弾いたとされる伝説のバージョンなんでしょうか? 素直にシビレます。

★その他いろいろ
 14 Mona
 15 Walkin' Thru The Sleep City
 16 Something Just Stick In Your Mind

 実はこのパートはジャケットに記載のデータがテキトーというかデタラメというか……。3曲ともライブバージョンとされていますから、完全に???です。
 おそらく「Mona」は番組出演のBBC音源?
 「Walkin' Thru The Sleep City」と「Something Just Stick In Your Mind」は、これも前述した「Metamorphosis」に収められて世に出たアウトテイクの未完成バージョンで、両方とも1960年代ならではのホップな雰囲気が眩しいほどですよ。

ということで、やはり最初のパートである1966年のライブが最高! 記録的には当時の北米巡業の最終地であり、ブライアン・ジョーンズが参加した最後のアメリカ公演でもありました……。

ストーンズは度々の危機を乗り越え、現在でも転がり続けているわけですが、ブライアン・ジョーンズがいなければストーンズも当然、ありませんでした。

あらためてご冥福をお祈りいたします。

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