OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ソフトになったマンフレッド・マンの新生

2012-03-08 15:49:28 | Rock

Mighty Quinn c/w So Long Dad / Manfred Mann (Fontana / 日本ビクター)

あらためて述べるまでもなく、ボブ・ディランは偉大なソングライターでもありますから、その作品には夥しいカバーバージョンが存在し、と同時に作者自演のバージョンよりも先に世に出て、ヒットした楽曲も少なくありません。

例えば本日ご紹介の「Mighty Quinn」は、モッド系人気バンドだったマンフレッド・マンが1968年に自国イギリスのチャートトップを飾るほどに大当たりさせた不滅の名曲!

ただし我国ではリアルタイムのマンフレッド・マンが落目になっていたことで流石にそこまでの注目度は無く、実は当時のグループはメンパーチェンジにより音楽性の要だったマイク・ヴィッカーズ(key,g,sax)、そして何よりも一座のスタアだった実力派イケメンボーカリストのポール・ジョーンズの脱退が響いていたことは否めません。

で、このシングル盤を出した頃の顔ぶれはマンフレッド・マン(key)、トム・マッギネス(g)、クラウス・ヴァマン(b)、マイク・ハグ(ds,per,vib)、マイク・ダボ(vo) という、失礼ながらジャケ写を見ても明らかにルックスがイケてない面々……。

しかし音楽的な実力は、その目指した方向性に鑑みて、以前に勝るとも劣らない結果を証明したと言えるでしょう。

と、ここまで書いてきたサイケおやじではありますが、例によってこのシングルは後追いゲットであり、本音としてマンフレッド・マンは好きですが、「Mighty Quinn」の、このバージョンには些かの失望を隠せませんでした。

それは先にボブ・ディランの自作自演バージョンを聴き、一発でシビれまくっていたからなんですねぇ……。

もちろん歴史的にはマンフレッド・マンが「Mighty Quinn」を英米で大ヒットさせたのが1968年春であり、ボブ・ディランが自らの歌と演奏を出したのは1970年に発売した2枚組LP「セルフ・ポートレイト」に収録しての事ですから、はっきり言えば順序が逆でありながら、それがザ・バンドをバックに従えた1969年8月のワイト島におけるライプバージョンであれば、そのワイルドなロックフィーリングは言わずもがなでしょう。

しかし一方、マンフレッド・マンのこのシングルバージョンは所謂ソフトロックであり、浮ついた表現が噴飯物という感情的結論さえあるのです。

まあ、今となっては、どちらが楽曲に対する正当的な表現なのか?

そんな答えはボブ・ディラン本人だって簡単には答えられることではないと思われます。だって現実にはカバーとはいえ、英米ではメガヒットしているんですから!?

と言うことで、ヒット曲の世界も奥が深~~いんですよねぇ、今さら述べるまでもなく。

ただ、その中に有るのは十人十色の感性でしょう。

ですから現在のサイケおやじが、マンフレッド・マンの「Mighty Quinn」も大好きだぁ~~! と居直れる言い訳も成り立つはずですが、その節操の無ささえもボブ・ディランのソングライターとしの力量に免じてなんとやら!?

既に述べたとおり、マンフレッド・マンの長閑な歌と演奏は妙に人懐っこい味わいがあって、ヒットするのもムペなるかなです。

最後になりましたが、B面に収録された「So Long Dad」はボブ・ディランと似て非なるシニカルな感性のシンガーソングライターとして、特にアメリカでは絶対的に評価されているランディ・ニューマンの作品で、実はイギリスでは既に前年に発売されていたシングル曲でしたが、おそらく我国ではここが初出と思われます。

そして、これがまた味わい深い仕上がりなんですねぇ~♪

結局、新生マンフレッド・マンというか、ポール・ジョーンズが在籍していた時代がR&Bやモダンジャズに軸足を置いた「黒人系」だとすれば、メンバーチェンジ意向はジャズ風味はそのままに、もっとお洒落なフィーリングを前面に出した「白人系」と言えなくもありません。

そのあたりの変化と個人的な好き嫌いの評価の判別が、時代の流れの証というやつなんでしょうか?

そう思えば、音楽業界の流行が直後からシンガーソングライターのブームに突入していくのも不思議ではないのですが……

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