OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

スペクトラムは和製の極み

2016-02-07 15:29:15 | 日本のロック

F・L・Y / ミーチャン GOING TO THE HOIKUEN / スペクトラム (日本ビクター)

EW&Fの影響力の大きさについては昨日も述べたとおり、世界各国で人気を集めた結果としての後追いグループの登場も華々しかったわけで、それが我が国においてはスペクトラムが決定版でありましょう。

もちろんメンバー全員が凄腕のミュージシャンであった事に加え、オフィシャルな衣装も掲載したシングル盤のジャケ写から一目瞭然、スペーススーツと中世欧州趣味を勝手に混ぜ合わせたような雰囲気は、まさに芸能界がど真ん中としか言えません。

実際、このスタイルでライブステージやテレビ番組に登場していたスペクトラムは、それだけで周囲を圧倒(?)していた印象が今も強く、しかも演奏そのものが驚異的に上手かったんですから、あながちキワモノとばかりも決めつけられず、しかしこれはやっぱりコミックバンドか色物系のグループにちがいないっ!?

等々の論争さえもあったそうですが、個人的には世間を呆れさせ、ある意味では顰蹙があってこそ売れるというのが芸能界の方程式だと思っていますし、何よりもスペクトラムは徹底したプロ集団ですからねぇ~~。そんなこんなの外野からの声だって自らの人気の証明だと認識していたフシがあったとしても、決して不思議ではなかったと思います。

また、それが絶対的に高度な演奏力を誇っていたグループの存在意義と相互作用していたとすれば、今のサイケおやじが書いている戯言なんかは無用の長物!

残された音源や映像を素直に楽しむことに「後ろめたさ」を感じる事なんかは、愚の骨頂でしょう。

そこで作詞:Mabo & 作編曲:スペクトラムによる肝心の掲載盤A面曲「F・L・Y」は如何にも「アース」な歌謡曲であり、いきなりアップテンポで炸裂する痛快なホーンの合奏とビシバシのリズム&ビートがほとんどAORな曲メロにジャストミートしていますし、新田一郎が十八番の裏声歌唱が堂々の居直りと云っては贔屓の引き倒しになってしまいますよ。

だって、これを実際のライブでやっていたスペクトラムの凄さって、どうやっても侮れるものではありません。

ですからB面収録の「ミーチャン GOING TO THE HOIKUEN」が当時人気を集めていたチャック・マンジョーネ風のフュージョンインストになっている事にも説得力がありますし、この愛らしいテーマメロディと多分、兼崎順一であろう中間部のアドリブソロのソフトタッチな心地良さは、もう何度でも聴きたくなりますよ♪♪~♪

ちなみに「ミーチャン」とはスペクトラムの当時の所属事務所だったアミューズの大里社長の愛娘であり、曲中では新田一郎との楽しい会話で特別出演という仕掛けも楽しいところです。

ということで、もちろんスペクトラムも二番煎じの肖りヒットを狙った存在でありながら、これが日本で登場したという事実は、まさに様々な分野でテクノロジーに秀でていた我が国の特質のひとつだったように思います。

あぁ、確かに発売された昭和55(1980)年春の音がしていますねぇ~~♪

コメント
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