OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ゼップ観音両面宿儺

2014-06-06 14:54:47 | Rock

D'yer Mak'er c/w The Crunge / Led Zeppelin (Atlantic / ワーナーパイオニア)

さて、先日ちょっぴり書きましたとおり、現在のおやじバンドはゼップ化が進行中ということで、特に相方のギタリスト氏とドラマー氏に主導されつつ、練習とはいえ、ドシャメシャなハードロック大会をやれているのですから、中年ロック者達にとっては、これが絶好のストレス発散になっているのですが……。

やはり正直、疲れるんですよねぇ~、いやはや、情けないっ!

特に既に還暦越えのボーカル氏にとっては、声が苦しくて、ハイトーンのシャウトなんかは続けられる芸当では無く、それでもゼップをやるしか無いとなれば、本日掲載のシングル盤A面曲「D'yer Mak'er」を選んでしまうのも潔いでしょう。

ご存じのとおり、この「D'yer Mak'er」は堂々のロックの王者に君臨していたゼップが1973年に発表した通算5枚目のアルバム「聖なる館 / House Of The Holy」に収録されていた、なんとっ!

驚くなかれのレゲエ風リズムを用いたオールディズ趣味の愛らしい(?)曲ですからねぇ~~~、そんなこんなも件の「聖なる館 / House Of The Holy」が賛否両論の渦中に置かれた要因のひとつとさえ言われた、率直に言えば「らしくない」典型作でありましまた。

そのあたりはゼップ本人達も充分に分かっていたんでしょうか、少なくともサイケおやじはブートも含めて、このライプバージョンは聴いたことがありませんから、おやじバンドしても素直にコピー出来る世界は大歓迎♪♪~♪

なにしろ曲調が既に述べたとおり、懐かしのロカパラード黄金律に沿った循環コードですし、そこへレゲエっぽいビート感のドタバタリズムが入るとあっては、これをトーシロがやる場合はナチュラルにバタバタするところが逆説的に味わい深くなるんですから、いゃ~、流石はゼップの深淵さに触れた思いです。

ちなみに曲タイトルは原題で「D'yer Mak'er」、それを邦題は「ディ・ジャ・メイク・ハー」としていますが、英語本来の発音では「ジャメイカァ」ですので、う~ん、レゲエのリズムを入れたのは、そこから連想する「ジャマイカ」を意識したんでしょうかねぇ~~?

という逸話が当時から広く流布するほどだったのは、それだけゼップにとっては意外性が在り過ぎた歌と演奏という証かと思いますが、それはそれとして、とにかく冒頭からロバート・プラントが必要以上(?)に刹那の節回しを聞かせてくれるところでツカミはOKってなもんでしょう。

おやじバンド全員の総意として、これなら楽勝と思うのは甘い思惑ではありますが、それなりに出来てしまうところも素敵な名曲と思うばかりです。

しかし、このB面収録の「The Crunge」が、これまた危険極まりない名曲にして、ゼップならではの名演というか、これこそがハードロックファンクの決定版!

アッと驚くのはボンゾのヘヴィなドラミングが、おそらくは9拍子?

そしてジミー・ペイジのカッティングがメタリックな質感になっているのも痛快至極ですし、ロバート・プラントのボーカルさえもがトーキングスタイルですからねぇ~~~、ジョン・ポール・ジョーンズであろうシンセの彩りも冴えまくりですよっ!

いゃ~、こんなにタメとモタレが効いたファンクが心地良いなんて、目からウロコとは、こういう事なんでしょうか?

ですからゼップのライプの現場でも、例えば「胸いっぱいの愛を / Whole Lotta Love」等々の中でメドレーっぽく演奏されていたりすると、その瞬間の緊張と緩和は見事なほどで、おやじバンドでも懸命に取り組んでいるというか、実はサイケおやじが一番にやりたがっているのが真相というわけです。

ということで、サイケおやじの独断と偏見からすれば、件のLP「聖なる館 / House Of The Holy」は、必ずしも好きではありません。

なんとなく散漫という印象もあり、それでもA面ド頭の「永遠の詩 / The Song Remains The Same」から「The Rain Song」へと続く流れには感服させられますが、それもなんだか、煮え切らずみたいな……。

でも、それがゼップという総合力で勝負するバンドの真髄のような気がしていますし、このシングル盤みたいに極端な両面性を堪能させてくれるあたりは真骨頂なのかもしれません。

そして何よりも凄いのは、アマチュアバンドがやってみたいと憧れさせる楽曲を常に提供してくれた事ですよっ!

もちろん簡単ではないにしろ、例えばイエスの様に、最初っから諦めざるをえないようなシロモノではありませんし、それでいて、なんとなく雰囲気だけは近づけるような気分にさせられるあたりは、ジミー・ペイジやジョン・ポール・ジョーンズが頭脳派の面目!?

好き嫌いは別にして、ゼップは認めさるをえません。

コメント (2)
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