■Highway Star / Deep Purple (Harvest / ワーナーパイオニア)
1970年代ロックの超名曲のひとつがディープ・パープルの「Highway Star」であり、殊更日本では聖典化しているわけですが、それゆえに幾つものバージョンがこれまでに残されています。
例えば本日掲載した日本盤シングルは、1972年7月に来日記念盤として発売されたものですが、収録されたは基本的にアルバム「マシン・ヘッド」に入っているバージョンと同じであり、それは当時、我国独自の方針が貫かれた証です。
しかしアメリカでは短く編集された所謂シングルバージョンが発売されているんですねぇ~~~。
また皆様ご存じのとおり、「Highway Star」は件の来日公演でも看板曲として演され、そこから作られた2枚組LP「ライヴ・イン・ジャパン」のA面ド頭に収録されるや、その傑作アルバムを文字どおりハナからケツまで熱くさせる導火線になっていたのですから、たまりません♪♪~♪
もちろん演じていたメンバーはイアン・ギラン(vo)、リッチー・ブラックモア(g)、ジョン・ロード(key)、ロジャー・グローヴァー(b)、イアン・ペイ(ds) という、おそらくは歴代最高の人気を集める顔ぶれでしたからぇ~♪
説明不要のハードロック天国が楽しめるわけですが、これが海外盤になると既に述べたように、きっちり3分弱の編集バージョンですから、日本盤シングルにカットされたアルバムバージョンの6分強の存在感に比すれば、それに慣れ切っていた日本在住のファンにとっては物足りないと思います。
しかし本当にそうなるのは、前述した「ライヴ・イン・ジャパン」に聴かれるスピード違反的なライプバージョンに接して以降という説も有力!?
もちろんやっている事の基本線は一緒でしょう。
ただしスタジオバージョンにはキーボードやギターに露骨(?)なオーバーダビングがあり、またSEの使用がどうにも「こじんまり」した感を強くさせるのにな対し、日本でのライプバージョンは、まず如何にも「前のめり」なノリが魅力であり、それをドリフトさせる急ブレーキとギアチェンジの妙を堪能させてくれるイアン・ペイスのドラミングがあればこそ、リッチー・ブラックモア渾身のギターソロも、例の名フレーズの洪水が冴えわたったんじゃ~ないでしょうか?
そしてリアルタイムから今日まで、夥しいギター少年少女がそれをコピーせんと挑む時、ほとんどが1972年の日本で記録されたライプバージョンを目標にしているはずと思いますが、いかがものでしょう。
恥ずかしながらサイケおやじも、昔はそのひとりとして告白させていただきますが、当然ながら完璧に出来るはずもなく、キメの三連フレーズがデイヴ・メイソンやめろっ!
と周囲から顰蹙でしたから、いやはやなんとも……。
う~ん、それにしても「ライヴ・イン・ジャパン」は全てが名演の塊の中において、「Highway Star」の恐ろしさは一期一会と思うばかりです。
ということで、そうなってみるとますますオリジナルスタジオバージョンの冷遇がくっきりする感じですが、それもこれもリッチー・ブラックモアの暴虐的アーミングに免じて、というところかもしれません。
なにしろジョン・ロードの指示かもしれませんが、リッチー・ブラックモアが辞めてから去来したギタリストには、ほとんど同じギターソロをコピー演奏させていましたし、再結成後のステージではイアン・ギランがスキャットでそれを「なぞる」演芸までも披露していたんですから、いろんな意味で最高のハードロックが「Highway Star」なのかもしれませんねぇ~♪
良い時代でした。