OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ユーコのディスコ歌謡

2013-07-20 15:24:19 | 歌謡曲

セクシー・バスストップ / 浅野ゆう子 (RCA)

二度ある事は三度ある!

という故事(?)に倣い、ディスコ歌謡の三連発目は定番とも言える、浅野ゆう子の「セクシー・バスストップ」です。

ご存じのとおり、浅野ゆう子は今でこそ女優として超有名な存在ですが、昭和40年代後半に芸能界デビューした当時はアイドル歌手であり、しかもリアルタイムでは十代半ばでありながら、大人っぽかったところから、ドラマや映画の世界でも、それなりに活動していました。

しかし、その頃のアイドルとしては高身長で、脚の長さをウリにしていたあたりが同性からは嫌われていたようで、実際、ミエミエのミニスカやホットパンツ姿で登場する彼女に対し、サイケおやじの妹なんかは、思いっきりボロクソに!

また、そういう意味では野郎どもにとっても、浅野ゆう子には何か敷居の高い雰囲気を感じていたのも確かだったと思います。

つまりアイドルとしては、幾分親しみ易さが無かった所為でしょうか、しばらくの間、歌手としてはブレイク出来ず、ようやく出た最初の大ヒットが昭和51(1976)年に発売された本日掲載のシングル盤A面曲「セクシー・バスストップ」でした。

もちろんこれは既に述べたとおり、定番ディスコ歌謡の認定を受けるわけですが、その元ネタはアメリカで流行っていたダンスステップの「バス・ストップ」であり、一説によるとバス停に並んでいる人の列からヒントを得たらしいんですが、大きく広まったのはNY周辺で活動していたファットバック・バンドと名乗る黒人ファンクグループが1976年に出したメガヒット曲「Do The Bus Stop」、そして同じ頃のテレビ人気番組「ソウルトレイン」の連携作業が大きいと思われます。

そして忽ち世界中に「バス・ストップ」類似のダンス曲が流行り出し、浅野ゆう子の「セクシー・バスストップ」も、そのひとつというわけですが、良く知られているとおり、作詞:橋本淳&作曲:筒美京平、そして編曲:高田弘のクレジットがあったとしても、その真相はカパーバージョンに他なりません。

と言うのも、実は件の「セクシー・バスストップ」は最初、Dr.ドラゴン&オリエンタル・エクスプレス名義のインスト曲として、昭和51(1976)年春~秋にかけて流行りまくったディスコヒットだったんですが、「Dr.ドラゴン=ジャック・ダイアモンド=筒美京平」という今日の既定事実がリアルタイムでは隠され、あくまでも洋楽扱いになっていたところが如何にも「昭和」の欧米コンプレックスと決めつけられれば、ミもフタもありません。

後に知ったところでは、ビクターレコードの企画として、和製ディスコサウンドを作り、世界に売り出す試みのひとつだったそうですが、それはそれとして、件のインスト曲「セクシー・バスストップ」は尺八や琴の音色を想起させる和物サウンドと東洋的なメロディが巧みに取り入れられ、さらにタイトなリズムセクションが前に出た秀作ですし、皆様ご推察のとおり、演奏しているオリエンタル・エクスプレスはスタジオミュージシャンによる実態の無いグループでしたから、仕上がり完璧!

まさにヒットして当然の結果でありましたが、実は告白すれば、サイケおやじは当時、インスト曲「セクシー・バスストップ」は絶対に外国産で、だからこそ、意図的な東洋趣味が表出しているのだと思い込んでいました。

ですから浅野ゆう子が「セクシー・バスストップ」を歌っていれば、それはてっきり日本語歌詞を附した純粋カパーバージョンとイメージされるわけでして、これは苦しい言い訳ではないつもりです。

ところが実際に浅野ゆう子のレコードを手にし、前述のクレジットを確認して吃驚仰天!?!?

その時になって、ようやく「Dr.ドラゴン=ジャック・ダイアモンド=筒美京平」という正体に接し、うっと呻いてしまったんですねぇ~~~♪

もちろん慌ててオリエンタル・エクスプレス名義のレコードを集め始めた事は言わずもがな、じっくり聴いてみると、その中身はキワモノ的な東洋趣味だけではなく、フィリーや西海岸系モータウン、あるいは後のユーロビートに繋がる欧州産ディスコサウンド等々、諸々の要素が時代の最先端であったニューソウルをキーポイントにして、巧みに纏められた流石のアレンジと演奏ばかり!

現在でも、なかなか面白く聴けるはずと思いますが、それを実践していたセッションミュージシャンの凄腕も侮れません。

このあたりは近々、オリエンタル・エクスプレスのレコードを紹介する段で触れたいと思いますが、肝心の「セクシー・バスストップ」における筒美京平と高田弘のアレンジの違いの妙は、やはり浅野ゆう子バージョンは歌入りという事で、基本ラインは同じでも、ギターやパーカッション、そして手拍子の使い方が伴奏カラオケの流儀に沿ったオカズ系であり、一方、Dr.ドラゴン=筒美京平はインストの強みを活かした各楽器の独自性をも聞かせる面白味がニクイところでしょうか。

個人的には両者共にコーラスワークが好みのツボにジャストミートしています♪♪~♪

ということで、筒美京平とR&Bやソウルミュージックの関連性は言うまでもありませんが、とにかくそれを歌謡曲に活かす感性や技量の凄さ、上手さは飛び抜けたものであり、同時期には岩崎宏美へ「ロマンス」や「センチメンタル」を提供し、浅野ゆう子にしても「セクシー・バスストップ」を契機に「ハッスル・ジェット」、そのシェリー版「恋のハッスル・ジェット」、さらには麻丘めぐみの「夏八景」という極みの和物まで作り出し、このディスコ歌謡という新ジャンル(?)を確立させたのですから、そういう大好物には素直に平伏すのがサイケおやじの立場です。

それらについても追々、拙プログでご紹介する所存ですが、浅野ゆう子には「ユーコ・イン・ディスコ」という、それもんばっかり集めた企画LPもありますし、同じく岩崎宏美にはラジオの人気DJだった糸居五郎のナレーションで曲間を繋いだ「ファンタジー」というディスコ系アルバムがありますので、要注意!

あぁ~、既にどこまで書いても想いは尽きないのが現実でありまして、どうか皆様には、そのあたりの独り善がりをご容赦お願いしたく、本日はここまでとさせていただきます。

コメント (7)
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