■悪魔とモーリー / Mitch Ryder & The Detroit Wheels (New Voice / 東芝)
全てが鬱陶しい今日この頃、音楽ぐらいはスカッとする1曲を求めて取り出したのが、本日ご紹介のシングル盤です。
主役のミッチー・ライダーは白人ながら、実に黒っぽい声質と熱血のロック魂を自然体で表現出来た天才で、結果的に全盛期は短かったんですが、それゆえにリアルタイムで残した音源は何時聴いてもR&R好きにはたまらないものばかりですよ。
いや、全ての大衆音楽ファンは聴かずに死ねるか!
そう断言して後悔しないものが、確かにあります。
で、この「悪魔とモーリー / Devil With A Blue Dress On & Good Golly Miss Molly」は原題からもネタバレしているように、前半はショーティ・ロングの「Devil With A Blue Dress On」、そして後半はリトル・リチャードの「Good Golly Miss Molly」という黒人R&Bをメドレー形式で演じたものなんですが、その味付けは徹底的なハードロック!
まさにゴリゴリの突進ロックが存分に楽しめますから、アメリカでは1966年晩秋に大ヒットし、我国でも翌年に発売された時には、かなりラジオから流れていましたですねぇ~♪ もちろんサイケおやじも瞬時に虜になりましたが、例によってレコードは買えず、4~5年後になって中古屋で見つけた時は本当に嬉しかった1枚です。
ちなみにミッチ・ライダーはデトロイト育ちということで、自然と黒人R&Bに親しんでいたところからバンドを結成し、当地を訪れる有名スタアの前座を務めていたそうです。
そして1965年、正式レコードデビューする時にミッチー・ライダー&デトロイトホイールズと名乗り、メンバーはミッチー・ライダー(vo)、ジム・マッカーティ(g)、ジョセフ・クバー(g)、ジェイムス・マカリスター(b)、ジョン・バタンジェッ(ds) という5人組となって、幾つかの印象的なハードロックヒットを飛ばすのですが……。
それは本当に初期だけだったようで、巡業ライプを含む実際の活動ではホーンセクションを含むオーケストラ的なバンドと一緒だったようです。
というのも、ミッチ・ライターの歌い方やアクションは明らかにジェームス・ブラウンからの影響が大きく、それゆえにステージマナーも模倣していたと思われますが、近年になってネット等で接する映像にも、それは顕著でしたねぇ。
まあ、個人的にはエリック・バートンのライバル的存在としても評価していただきたいボーカリストだと思っています。
ただし残念ながら、1968年頃には喉がダメになったらしく、セミリタイア状態となって、幾度かのカムバックから現在も地道な活動はやっているらしいのですが、15年ほど前にそれに接した友人の話では案の定、声が苦しくなっていたそうです……。
それとご存じのとおり、この「悪魔とモーリー」はブルース・スプリングティーンが例の原発反対コンサートのライプ盤「ノーニュークス」でも演じていたように、やって良し、ノッて良しの極みつきですから、ついついアマチュアバンドもその気になってしまうのですが、現実的にはボーカルの力量が相当に求められることは言わずもがな!
実はミッチー・ライダーが十八番の演目には、こうしたR&Bや有名曲を焼き直したメドレー形式が多く、必然的に体力と気力、さらにはロック&ソウル魂が絶対条件になっているのです。
そして今日では、そのあたりの同系ヒット曲を収めたベスト盤CDも手軽に楽しめますから、これはぜひっ!
心底、スカッとしますよ♪♪~♪