OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

トランクカバーでOK!

2009-08-24 09:55:51 | Beatles

Yesterday & Today / The Beatles (Capitol)

私がビートルズのレコードをリアルタイムで買うようになったのは、昭和40(1960)年9月に我国で発売されたアルバム「ヘルプ! / 4人はアイドル」からでした。もちろん東芝のオデオン盤ですから、一応は英国仕様と同じです。

と書いたのは、それ以前のビートルズのレコードは各国で独自にカットされたシングル盤や個別編集されたアルバムが様々に出回っており、ビートルズにしてもマネージメント側はそれで良かったのでしょうが、メンバー本人達はいろいろと考えるところがあったと言われれています。

それが表面化したのが、1965年のクリスマス商戦用に発売されたアルバム「ラバーソウル」で、相当に時間的な制約がありながら、収められた歌と演奏は捨て曲がひとつも無い名盤になっているのですが、なんとアメリカでは前述した「ヘルプ!」のアルバムが、同名映画のサントラ音源と抱き合わせで発売されていたことから、せっかくの最新作品集がオリジナル仕様の「ヘルプ!」から外された旧作との「まぜこぜ編集」で発売されるという……。

つまりアメリカでは商売がガメツイというか、LPにしても12曲以下の収録がビートルズ以外でも一般的な仕様でしたから、イギリスでは14曲入りのアルバムを組み替えて、ひとつでも多くのアイテムを作り出そうとしたのは、至極当たり前だったのです。しかし既に時代はシングル盤からLPアルバムでの表現へとミュージシャン側の意思が明確になりつつありましたから、穏やかではありません。

そこへ発売されたのが、本日ご紹介の問題作!

既に皆様がご存じのとおり、今では歴史の「ブッチャーカバー」が最初に用いられていたアナログLPですが、それはビートルズのメンバーが精肉解体工場の作業員として人形をバラバラしたあげく、それを抱えて微笑んでいるという、とても不気味なジャケ写とデザインになっていました。そして当然、各方面からの大クレーム! 発売元のキャピトルは速攻で回収に奔走し、そのオリジナル盤は忽ち、コレクターズアイテムと化しました。

そして同じ内容で再出荷されたのが、掲載した通称「トランクカバー」と呼ばれるデザインのアルバムです。ただし制作し直す時間が無かった所為で、初期プレスは既に出来あがっていた前述「ブッチャーカバー」のジャケット表に、新しく印刷した「トランクカパー」のデザインを貼り付けたブツも出回っていて、それを剥がすか否かでも、強烈な存在感を示す貴重盤になっています。

と、長々と述べさせていただいたのは、実は本日の前置きにすぎません。サイケおやじが書きたいのは、カパーよりも中身です。

 A-1 Drive My Car
 A-2 I'm Only Sleeping
 A-3 Nowhere Man / ひとりぼっちのあいつ
 A-4 Dr. Robert
 A-5 Yesterday
 A-6 Act Naturally
 B-1 And Your Bird Can Sing
 B-2 If I Needed Someone
 B-3 We Can Work It Out / 恋を抱きしめよう
 B-4 What Goes On
 B-5 Day Tripper

上記の収録演目は、今となってはミョウチキリンな編集盤でしょう。ご存じのとおり、英国オリジナル仕様のアルバム「ヘルプ!」「ラバーソウル」、そして「リボルバー」からのチョイスに加え、シングル盤オンリーのヒット曲が嬉しい収録ではありますが、もちろん全てがアメリカ本国では未LP化のトラックばかりでした。その事情は、前述したとおり、米国キャピトル側がやっていた独自発売の結果です。そして当然ながら日本では、このアルバムはリアルタイムで見送られ、昭和45年の秋になって、ようやく国内プレス盤として発売されることになります。

ところでサイケおやじは正直に告白すると、リアルタイムで発売された「リボルバー」には全くついていけず、あれほど好きで宇宙的な回数を聴きまくった前作アルバムの「ラバーソウル」、それに続くシングル盤「Paperback Writer / Rain」とは完全に次元が異なったとしか思えない中身に???

何と言うか、ほとんどの曲が不穏な空気と悪い予感に満たされたような味わいで、確かに楽しい「Yellow Submarine」や美しい「Her There And Everywhere」ぐらいしか共感出来るところがありませんでした。様々な要素が入りすぎて統一感が見い出せないアルバム全体の作りが、私には進み過ぎていたのです。

当然ながら「リボルバー」も、従姉から聴かせてもらっただけで買うことはありませんでした。しかもそこへ最新シングル曲の「Strawberry Fields Forever」が追い撃ちですからねぇ……。

まあ、このあたりの流れと問題は「Penny Lane」と「愛こそはすべて」によって、少しずつ解消されるのですが、こうして時が流れました。

そして昭和45年になって、ようやく我国でも発売された本日ご紹介のアルバムを聴き、まさに目からウロコ!?! 実は友人が買ったものを聴かせてもらったのですが、既に知っていた曲ばかりとは言え、その流れの自然な心地良さが、まず絶品♪♪~♪ 強引に頼み込んでテープコピーさせもらい、中毒症状を呈するほどに聴きまくりました。もちろん持っていなかったアルバム「リボルバー」を買ったのは、言わずもがなです。

ちなみにアメリカでの発売は1966年6月とされていますから、本来は「リボルバー」に収録の「I'm Only Sleeping」「Dr. Robert」「And Your Bird Can Sing」が、本国イギリスよりも2ヵ月ほど早く世に出ていた事実は重大です。

もちろんサイケおやじは後年、このアルバムのアメリカ盤をゲットしていますが、そこではまたまた仰天! なんと前述3曲の疑似ステレオ疑惑が濃厚!!! それはおそらくアメリカでの発売を急がされたあげくの緊急措置だったと思われるのですが、その所為もあって、ステレオ盤が尚更に楽しめます。つまり収録演目がオリジナルの発売時期の相違から、本来はバラバラなミックスが上手く統一感を持たせた微妙なリミックスと編集によって、そうした違和感が上手く緩和されているように感じるのです。

アメリカ盤特有のカッティングレベルの高さも良い感じ♪♪~♪ アルバムとしての流れの良さも、さらに加速していますよ。

ただし、それはキャピトル盤だけであって、後年のアップル盤になると、前述した3曲もリアルステレオのバージョンに差し替えられ、またミックスのバラバラ感が元どおりに強くなってしまいました。前述した日本盤も同様です。

そのあたりはモノラル盤をゲットすれば特に気にする必要も無いのですが、こういう奥の細道もレコード鑑賞の楽しみだと思います。

そして誰もが一度はやったであろう、「私的お好みカセット」を作る時、サイケおやじはビートルズ中期傑作集として、この「イエスタディ&トゥディ」をベースとして、「Paperback Writer」や「Rain」を加え、さらに「ラバーソウル」や「リボルバー」からの選曲の後には、「Tomorrow Never Knows」で締め括るというアブナイ事をやっているのでした。

最後になりましたが、私は「ブッチャーカバー」のオリジナルは、当然ながら所有していません。しかし精巧なレプリカの海賊盤アナログLPは所有しています。それは世界的な名画の複製を壁に飾る事と共通するところかもしれませんが、流石に「ブッチャーカバー」は、その気になれません。

一説にはビートルズの米国キャピトルに対する嫌がらせとする「ブッチャーカバー」は、そればかりが話題にされますが、虚心坦懐に中身の編集が秀逸である事は、再評価が必要ではないでしょうか?

私は、好きです♪♪~♪

そして、これから楽しまれる皆様には、ステレオ仕様のキャピトル盤をオススメ致します。

コメント (2)
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